今回の主な登場人物…
誉獅子雄:ディーン・フジオカ
若宮潤一:岩田剛典
小暮クミコ:山田真歩
レオ:ゆうたろう
江藤礼二:佐々木蔵之介
ゲスト
石橋卓也:金子ノブアキ
梶山裕太:矢野聖人
細谷潤:小林喜日
細谷優子:小島藤子
優子の母:朝加真由美
謎に今回の登場人物を列挙してみましたが、みなさん、お気付きでしょうか?
そう!女性キャラが3人しかいないー!!!しかも、今回のヒロイン担当の優子さんは亡くなっているというアクセント的な存在だし、その母もワンシチュエーションにしか出ないしで、ほぼメンズ!
薄々感付いてましたが、このドラマ、女性キャラが極端に少ないんですよね。レギュラーメンバーの女性キャラが山田真歩さん演じる小暮刑事だけですよ?
公式HPの相関図を是非ご覧になってください、シンプルな人物構成も相まって、山田さんの紅一点感が際立っています(またそれと併せて『モトカレマニア』の相関図も見比べてみてください。『シャーロック』のシンプル具合が際立ちます。ちなみに『モトカレマニア』もすっごい面白いです!)。
しかも山田さんには失礼ですが決してヒロインポジションじゃない!っていう。それってかなり画期的ですよね。今クールの他のドラマを見渡してみても必ず女性が主人公だったり、ヒロインだったりします。みなさんの記憶の中のドラマも辿ってみてください…女性ヒロインがいないドラマって珍しいでしょう?
またそれだけじゃなく、このドラマが“月9”ってところにさらなる味わい深さが出てきます。だってどんな作品だって“ボーイミーツガール”が基本だった月9において、ガールにミーツしないどころか、ガールがいないんですよ?
で、せっかくなので“月9”第1作(と言われている)『アナウンサーぷっつん物語』以降の作品群を見渡してみたんですが、女性主人公ではなく、ヒロインもいない月9は『シャーロック』以外ないんですよ。おそらく…。だって、自分調べだから。
僕の記憶が定かでない80年代~90年代初期に、もしかしたら見落としがあるかも…しれませんが、僕の記憶がはっきりしている90年代中盤から2000年代では見当たらないです 。みなさんもどこかで月9の作品一覧をチェックしてみてください。そして万が一そんなドラマがあったら…こっそり教えてくださいね。
というわけで今回の第4話。これまで女性で統一していたゲストが男性だったというだけでなく、キーマンが“ボクサー”、舞台が格闘技の聖地“後楽園ホール”、そして事件現場が後楽園そばの“男坂”…ってこれはもう確信犯的に、制作チームが“男”をより強調してきたと言って間違いないですね。
で、その設定が実に巧妙。ボクシングといえば獅子雄が初回からやたらと強調してきたアイテムで突然出てきたものではないし、これまで“TOKYO”を意識してきたロケ地が今回は自然と後楽園ホール周辺になるし、しかも“男坂”だし、その周辺一番のランドマークである東京ドームをバックにお馴染みの“バイオリン”が拝め…、これまで築いてきた設定が巧みに絡み合った“バイオリン”にはちょっと涙しましたよ。
いくら原作に“ボクシングの腕前はプロ級”という設定があるとはいえ、その意味付けをして、ボクシングといえばの“後楽園ホール”を使って、しかもその周辺に“男坂”があることまで気付いて事件現場にし、さらに今回はちょっとこれまでとはハズして男性ゲストに…って、どんな会議をしたらそんなアイデアが出るの?考えすぎてて怖い!
キャラ造形や、ドラマチックな展開、驚きのトリックだけじゃない、設定づくりに演出要素、そして原作リスペクト!とそのどれも考え抜かれているこのドラマには本当に脱帽です。特に作品の外側をつっつきまくって楽しみたいという僕みたいなドラマウォッチャーにはたまらんです。
とはいえ肝心なのは中身です。今回はそれぞれのシーンで“何が本当なのか?”を疑心暗鬼になりながら見ていたこれまでとは異なり、獅子雄の洞察力の見事さを堪能しているうちにあれよあれよとスピーディに真実へとたどり着いていくという展開で、前回みたいにやたらと人を疑って、心の中で謝るという、岡田義徳さんのようなことにはならない安心設計でした。まずあやしい人物・行動を見つけたら、どういう理由・経緯で?という謎を獅子雄がすぐさま解明していくので気持ちいい。
また、溜まりに溜まったボクシング愛が爆発し、やたらとテンションが上がりつつも、ちゃんと推理力は発揮するという獅子雄と、嫌だ嫌だと言いつつも結局やっちゃう、そして出来ちゃう賢くキュートな若宮、そしてなんやかんや言いながらもお似合いじゃん!と言わざるをえない二人の関係性…まさに月9!! どんなドラマ、設定でも月9って表現できるんですね!その辺も相まってやっぱりこのドラマは巧いなー。
text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)