泣…。

最終回にしてちょっと泣いちゃいましたよ。

『リカ』にはこれまで、興奮かドン引きしかしてこなかったのに、リカの純粋な優しさが垣間見えた終盤の“とあるシーン”で、途端に気持ちが入り過ぎちゃいました。

そのシーンだけをみると、決してドラマチックではないし、むしろ琴線に触れてこようとする作為的なシーンですらあるのに、なぜだろう…自然と涙が…。

でも“泣いた”とか言ってしまうと、「最終回によくあるやたらとしっとりさせてこれまでの興奮が冷める大団円系?」と心配してしまう方もおられるでしょう。ですがご心配なく!みなさんがこれまで楽しんできた『リカ』をどうか信じてください!信じれば信じるほど、みなさんの期待を裏切らない『リカ』が待っています!!

ではなぜ泣いてしまうのか。それはとにかく感情を揺さぶってくるからなんです。最終回だからこそのいまだかつてないスピード感で興奮とドン引きを繰り返している間に“感情のメーター”がバカになっちゃうんですね。だから、これまでの『リカ』にはなかった“優しさ”のシーンがほんのちょっと登場するだけで、とてつもない感動に襲われるのです。

その感情の揺さぶりが最も激しかったのは、隆雄(大谷亮平)さん家で繰り広げられたリカ(高岡早紀)との直接対決。

もうくんずほぐれつの壮絶バトルで、お互いの感情をぶつけ合う舌戦からの、取っ組み合い、隆雄さんのアイアンVSリカの注射器、隆雄さんぐるぐる巻き、リカのオペセット、最後は銃撃戦と、字面だけだとふざけてるようにしか見えませんが、これがまた息を飲む攻防戦で一瞬たりとも見逃せません。ホントに一瞬のうちに形勢が逆転していくので、ながら視聴はもちろん、トイレは事前にお済ませください。

また、その過程で“同情メーター”がリカから隆雄さんへ、やっぱりリカへと右から左にビュンビュン振れていって、最後の銃撃戦ではそのメーターが壊れちゃいますのでご注意ください。特に僕は“隆雄さん派”ではないこともあって、隆雄さんが悪いよ、どの口が言ってんの、リカの身にもなって、リカがかわいそう、なにアイアン振り回してんの、女性に暴力反対!とツッコミ入れてた次の瞬間、リカやべぇ…、さすがにやりすぎ、リカやめてー!!と大忙し。そしてやっぱり銃撃戦では「リカーーーーーーーーー!!!」って絶叫してましたからね。どんだけ僕の心を乱せば気が済むの…。

あと先週のタクシーVSリカを成立させたと思った次の週で、それを軽く上回る“銃VSリカ”を成立させるんですからね。これ『ターミネーター』じゃないんですよ?異常愛とはいえラブストーリーなのに銃撃戦なんですよ?普通、成立しないですよ。後世に語り継がれる伝説のシーン誕生と言っていいでしょう。だからこそお見逃しなく!!

そして、なんと言ってもラストがいいんです。きっとみなさんが想像する期待のラストを迎えるんですが、そのラストを迎えるまでの“前振り”が最高です。

最終回あるあるの落ち着いた音楽をバックに、やたらとみんながドラマを総括し始めて、ああ、さっきまでのめくるめく興奮も終わりか…、隆雄さんがやたらと引越しのことについて丁寧に説明するな…、なんてちょっと油断したラスト。ぶちかましてきます。

さすが『リカ』。ちゃんとわかってる!

これまでこの枠で放送されてきた、『火の粉』(ユースケ・サンタマリア主演)、『真昼の悪魔』(田中麗奈主演)、『限界団地』(佐野史郎主演)、『絶対正義』(山口紗弥加主演)という、僕が勝手に名付けた“クレイジーシリーズ”に、また一つの名作が誕生しました。個人的には、みなさんよりも早く『リカ』に触れ、その興奮を共有できた喜びも相まって、“最強クレイジー”は『リカ』になりました。

ありがとう『リカ』。

安易に『リカ』の続編を作って!とは言いませんが、また新たな“クレイジーシリーズ”の誕生を楽しみにしております!(でも本当は続編見たい!!)

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)