悪魔の弁護人?…暗そう

御子柴礼司?…読めない

贖罪の奏鳴曲?…はぁ?                                  

ちょっと、東海テレビさん。僕が先週まで観てたドラマなんだと思ってんすか。『リカ』ですよ?興奮冷めやらぬとはこのことで、リカがあの時絶叫した「隆雄さーん!」がいまだに耳から離れないんですよ。思い出しただけでせつない気持ちとニヤついた気持ちがないまぜになって「あぁ先週まで楽しかったなぁ…」って感傷に浸っちゃってるんですよ。

そんな風にさせた作品の翌週に、暗そうだし、読めないし、はぁ?ってなる副題のドラマで、僕はどんなテンションでレビュー書けばいいんすか…。

っと、見始める直前まではそう思ってました。

そうです!全く期待していなかったのです!!!

偉そうに言う事ではないんですが。だけど、先週までの『リカ』を楽しんだ視聴者の皆さんも、この作品のタイトルから抱いたファーストインプレッションはあながち僕と相違ないと思うんですよ。なので大変失礼ではございますが、きっとそうに違いないと仮定して話を進めます。

皆さん、ご安心ください!また、毎週見逃せない土曜の夜が始まりますよー!!

まず、「悪魔の弁護人?…暗そう」ここから崩していきましょう。

それが全く暗くないんです。むしろポップですらあります。

あらすじを見ても、

「悪徳、法外な報酬、絶対勝訴。悪魔と呼ばれる弁護士・御子柴礼司(要潤)には、凶悪犯罪を犯した元少年Aという衝撃の過去が!逆転に次ぐ逆転、戦慄の法廷ミステリー開幕!」

とあります。

うんうん、僕があらすじ担当者だったとしても間違いなくこの謳い文句にするでしょう。だけど、やっぱり暗そうだし、しかも“元少年A”ってダーク感が拭えるどころの騒ぎじゃないワードですよね?それが不思議と暗くない!

その理由は、主人公の御子柴のキャラクターにあります。背後に少年Aという“悪魔”の一面が垣間見える一方で、感情を全く表に出さず恥じらいもなくストレートな物言いをする“悪魔的”な部分が“おかしさ”につながってちょっと笑えるんです。要潤さんのキャラクター造形が秀逸です。

そしてポップにすら見える要因は、主人公のアシスタント役・日下部を演じるベッキーさん。彼女はその存在感が画面をポップにしてくれていて、本来であれば見るのも気が重くなりそうな、背景に隠された“悪魔”の部分をいい意味での“見やすさ”に変えてくれます。この“ベッキーか否か”で、ドラマの印象はかなり違ったものになったんじゃないでしょうか。それくらい暗の陽バランスを絶妙な加減にしてくれるいい配役になっています。

なにより肝心の、このドラマ面白いの?ってことについてですが、「悪魔の弁護人」を一言で形容するとしたら「法廷エンターテインメント」でしょう。

法廷ドラマで、弁護士が主人公の場合、その敵役となる検事側は大抵ポンコツか、弁護士側の主張メインで大したバトルは描かれないことしばしばですが、今回は法廷バトル満載の息詰まる攻防戦になっています。

なんと言っても検事側は津田寛治さんという強敵なので、タイトルが“悪魔の弁護人”で、演じるのは要潤さんで、と勝てる気しかしないお膳立てなのに、それに全く負けていない拮抗バトルが展開されますので、面白くないわけがありません。

また今回の事件は、不倫の末に夫を殺し、子供も見捨てようとした身勝手な被告人の弁護で、しかも一審で懲役16年の求刑が出ている…それを無謀にも無罪へ導こうとします。加えて被告人のキャスティングが奥菜恵さんですよ?これはもう絶対悪いに決まってるのに(奥菜さんには大変失礼ですがベストキャスト!)、物語が進むにつれ、ひっくり返ったり振り出しに戻ったりで、一体どう決着するのか?見逃せません。

結局、見どころ紹介に夢中になって忘れていました。

「御子柴礼司?…読めない」

これは、劇中で是非ご確認ください。むしろその仰々しい名前の裏に何やら秘密が隠されています。

「贖罪の奏鳴曲?…はぁ?」

これは第1話の最初と最後のシーンが対になって、ドラマ全体の縦軸に対する副題だとわかります。贖罪なので、主人公は本当に“悪魔”なのか…?こちらもすごく気になります。

ファーストインプレッションのネガティブな印象は開始3秒で過ぎさって、3.1秒後からは一気に物語に没頭して、あっという間に(ほぼ)1時間が経って、どうしても早く次回が見たくなります。そして皆さんより一足先に見れちゃう僕の役得を恨むことになること請け合いです!

土曜の夜、必見です!!

https://youtu.be/V3-9Q72mDqs

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)