1月4日(土)、5日(日)21時から二夜連続放送となる、フジテレビ開局60周年記念特別企画『教場』。

本作は“教場”と呼ばれる警察学校の教室を舞台に、「警察学校とは適性のない人間をふるい落とす場である」と考える冷酷無比な教官・風間公親(かざま・きみちか/木村拓哉)と、その教え子たちを巡る物語だ。

放送まで数日と迫る中、生徒役を演じた工藤阿須加、川口春奈、林遣都、葵わかな、井之脇海、西畑大吾、富田望生、味方良介、村井良大、大島優子、三浦翔平らのインタビューを連載。誰もが「大変だった」と口をそろえる撮影のエピソード、木村との交流などについて聞いた。

<南原哲久役・井之脇海インタビュー>

――『教場』の撮影はいかがでしたか?

最初にお話をいただいた時、警察学校が舞台ということで、どこか学園モノになるのかなという印象でした。僕は、今まで学園モノの作品に参加した経験があまりなかったので、若い同世代の役者と共演できることが楽しみでした。

実際、30人の生徒役のみんなと2ヵ月間一緒にやってきたのですが、街に出たら人の命を預かるという職業を演じる責任感からか、いわゆる学園モノとは違って、規律がしっかりとしていて緊張感がありました。その影響もあって、チームワークというか、信頼感が日々強くなっていって、濃厚な2ヵ月になりましたね。

天候がなかなか安定せず大変な撮影でしたが、その中でも乗り越えられたのは、みんなで支え合ってこられたからだと思っています。

――木村さんとは初共演でしたが、いかがでしたか?

本当に真面目で、ストイックな方ですね。真摯に役と向き合っている姿を目の当たりにして、いろいろなことを学ばせていただきました。

風間教官としてはもちろん、座長としての厳しさもありました。でも、休憩の時にお話させていただいたり、役のことで相談に乗っていただいたり、随所に木村さん自身の優しさが垣間見られて、ついて行きたいと思わせてくれる方でした。

僕もいずれ先生の役や教官の役をする時が来たら、木村さんのような振る舞いができるようになりたいです。

――木村さんとのお話で、何か印象に残ったことはありますか?

空き時間に、僕の演じる南原のキャラクターについてアドバイスをくださったことです。木村さんが出ていないシーンのことでも、「南原はこういうキャラクターだから、このシーンはこうなるのもアリなんじゃないか」と、具体的なことまでアドバイスをくださって。とても助かりました。

――撮影現場では、皆さんが仲良くお話されていたのが印象的でした。他の共演者の方とのエピソードはありますか?

風間教官は楽屋に戻らないので、教場のシーンを撮っている時は空気が張り詰めていて。常にみんなピシッと座っていて、緊張感がありました。印象に残っているのは、生徒の中で一番年上の三浦さんが、空き時間に「みんなで練習しよう」と言って引っ張ってくださったこと。

あとは、富田さんがクランクインの時に、全員に手紙を書いてくださったことですね。すごくステキだなと思いました。「今回の現場で初めて共演するので、いろいろとご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします」というような内容を丁寧に書いてくださって。

メールやLINEではなく、一人一人手書きで、記録に残るもので書いてくださったことがとてもうれしかったです。その時点で、僕は勝手に富田さんのことを好きになっていました(笑)。すごく魅力的な方です!

――クランクイン前には、所作などの厳しい訓練があったそうですが…。

他の作品と重なってしまい、所作訓練には半分くらいしか参加ができなかったので、不安でした。僕が初めて参加した時は、すでに2回目の訓練で。その時点で、みんな所作が揃っていたので、ヤバいと思っていたんです。

でも、風間教官や実際に指導してくださった教官からしたら、まだまだ揃っていないらしく、檄が飛んでいてピリッとしていて。「もうダメなんじゃないかな」って思いました(笑)。

一つ一つの動作が厳しいですし、映像的にもみんなで揃えないとカッコよくないので、個人のスキルを高めたうえで合わせないといけない。一致団結というか、連帯責任というか、そこが大変で撮影の時はビクビクしていました。僕が警棒を落としたらどうなるんだろう、と。

でも、不思議なことに慣れてくるとできるようになってきて。だから、事前に準備ができたことは幸せでした。スタッフさんが準備の場を用意してくださったおかげで、気持ちから生まれる芝居だけでなく、規律的なことから生まれる芝居や空気感が出せたのではないかと思います。

――苦労したシーンはありますか?

南原が風間教官に追いつめられるシーンの撮影で、僕が過呼吸のようになってしまい、次のセリフも考えられない状態になってしまったことがありました。

肉体的にしんどくて、信じられるものは自分自身ではなくなってきて、目の前にいる風間教官や宮坂(工藤阿須加)の表情や声を聞いて、それに反応するしかない状況まで追い込まれていました。とても大変だったのですが、自分なりに手ごたえがあったので、いいシーンになっていればいいなと思っています。

――南原は、モノに対する愛情の強いマニアという役ですが、どのように役づくりをされましたか?

僕自身も映画オタクのようなところがある、こだわりが割と強いタイプの人間なんです。だから、南原のモノに対する執着や愛情の暴走などは、理解できるし共感できましたね。それでも「何やってんだろう」と思う時はありましたが(笑)。

自分と似ているところがあるからこそ、行き過ぎてはいけないけど、何か好きなものに夢中になれるっていいことだなと思えたし、演じる中で南原のことがすごく好きになりました。ただ、暴走してはいけないなという反面教師にもなりました。

――今後、お仕事でチャレンジしてみたいことはありますか?

今回は、教えてもらう立場だったので、年を重ねて、誰かに何かを教える責任感のある人物を演じてみたいと思いました。これは初めて思ったかもしれないですね。

――放送を楽しみにしている方々へ、メッセージをお願いします!

警察学校の内部事情やロケ地、訓練内容など、今までのドラマや映画にはない映像がたくさん出てきて、撮影中は本当にワクワクしました。新しいドラマになっていると確信しています。

木村さん演じる風間教官は、冷徹ながらもどこか優しさがあり、カッコよさもあり、僕も木村さんに惚れてしまいました。そういった木村さんのカッコよさと、生徒30人全員の熱量を感じていただけたらうれしいです。

<木村拓哉から井之脇海への質問>

Q.風間教場をひと言で言うと?

真実を見極める場所。

Q.今だから言える風間教官にやめてほしかったことは?

魂が吸い込まれそうな義眼で、見つめないでください。

Q.木村拓哉と共演するならどんな役で共演してみたい?

チェロ奏者(木村さん)と、ピアニスト(井之脇)の話。