『純愛ディソナンス』第9話完全版
新田正樹(中島裕翔)が講師として働く予定だったピアノ教室の壁に、何者かが正樹を中傷する落書きをした。
和泉冴(吉川愛)は、朝比慎太郎(髙橋優斗)の靴に赤いスプレーが付着していることに気づき、彼を問い詰める。そんな冴に対し、慎太郎を壊したのは冴だと非難する園田莉子(畑芽育)。慎太郎は「自分がやったことのけりは自分でつける」と冴たちに言い、住んでいるシェアハウスに、立ち退きの話が出ていることを明かした。
正樹は、ピアノ教室の経営者・野水百合子(阿部朋子)に謝罪し、すべて弁償すると申し出る。そして、心配してやってきた冴に「すぐに新しい仕事を探すから大丈夫」と言って安心させようとするが…。
<ドラマ『純愛ディソナンス』これまでのあらすじ完全版>
一方、「モノリスエステート」社長の碓井賢治(光石研)は、息子・北都(和田正人)から、行方不明になっている娘・愛菜美(比嘉愛未)がいまだに見つかっていないとの報告を受ける。
「俺は、死ぬときに家族全員に囲まれて死にたいんだよ。お前と愛菜美、あと正樹」。賢治はそう北都に告げ、手を打つよう指示した。
不動産関係の仕事を探すも、すでに賢治たちの手が回っており、断られてしまう正樹。
落書きの件も賢治たちの仕業だと疑った正樹は、モノリスエステートへ抗議に行くが、そこで北都から、冴たちが住んでいるシェアハウスの土地の権利書を手に入れたと告げられる。
正樹は、苦渋の思いで賢治に土下座し、「もう一度、ここで働かせてください」と頼んだ。
慎太郎は、「気持ちの整理がついたら警察に行きます」というメモを残してシェアハウスから姿を消した。
「よかったね。これで彼のところへ行けるじゃん」という莉子の言葉を否定した冴は、「必ず慎太郎を連れ戻す」と宣言する。
そして、慎太郎がピアノ教室に与えた損害分を弁償するため、冴は母・静(富田靖子)に連絡し、金を借りる。その際、静は、正樹がまたモノリスエステートに出入りしていることを冴に教えた。
書店を訪れていた愛菜美は、自著を万引きしようとする。その手を止めたのは「コアスパーク」社長の路加雄介(佐藤隆太)だった。
愛菜美を半ば強引に彼女のマンションまで連れ戻る路加。「何をしようとあなたには関係ない」という愛菜美に、路加は「小説の続きを待っている」と返す。
だが愛菜美は、正樹という生きるための原動力を失い、消えることしか考えられないと言いだす。
そんな愛菜美に、最初は賢治の娘ということで近づいたが、今は小説家としても、人としてもいなくてはならない存在になった、という路加。そして「頼むから、消えるとか言うなよ」と続けた。
ピアノ教室の百合子に壁の修理費の一部を手渡しに行った正樹は、冴が全額弁償したことを教えられる。
シェアハウスを訪ねて冴から事情を聞いた正樹は、「それで俺が喜ぶと思った?」と彼女を非難。すると冴も、正樹がモノリスエステートに戻ったことに触れ、全然信用してくれていないと返す。
「先生、もしかして、私とのこと後悔してる?」。冴からそう問われた正樹は、「ふざけんな。俺がどんな思いで…」と言いかけるが、それ以上、何かを言おうとはしなかった。
そんな中、正樹はコアスパークの社員・木之本(清水伸)を買収し、「セカプリ」の顧客リストを入手。そこには各界の著名人の名前も並んでいた。
喜んだ賢治は、冴たちが住むシェアハウスを取り壊してマンションを建てるという計画を白紙に戻すよう、北都に指示する。
路加から呼び出された正樹は、愛菜美がマンションに戻ったことを知らされる。愛菜美には正樹が必要なのだからちゃんと話し合ってほしい、と頼む路加。そんな2人の会話を冴は偶然聞いてしまった。
その夜、冴は、高校時代の同級生で映像研の仲間でもあった翔太(浦上晟周)から電話をもらい、慎太郎が実家に戻っていることを知る。
翔太とともに、恩師・小坂由希乃(筧美和子)の墓参りをしている慎太郎に会いに行った冴は「何があっても連れ戻す」と告げる。そんな冴たちの様子を見ていた翔太は、映像研の仲間を集めようか、と提案した。
ほどなく、蓮(丈太郎)と結奈(伊藤萌々香)が合流し、久しぶりに再会を果たした元映像研のメンバーは、それぞれ近況を報告する。
冴は、正樹とのことでみんなに気まずい思いをさせてしまったことを謝ると、映像研の仲間と由希乃がいたから頑張れたと感謝。それに対して、冴と慎太郎に会えて安心した、と返す映像研メンバーたち。
一同は、「これが俺たちの卒業式だな」という翔太の言葉に賛同して盛り上がった。
映像研メンバーと別れ、冴と2人きりになった慎太郎は、「俺ももう卒業しなきゃな」と言うと、ピアノ教室と正樹のところへ謝りに行くと冴に伝える。
そこで、冴が正樹とケンカしたことを知った慎太郎は、「すぐに会いに行って仲直りして来い」と助言した。
正樹は、愛菜美と話し合うためにマンションを訪れる。リビングで断捨離をしていた愛菜美は、「全部捨てるの。で、家の中を空っぽにする──今の私みたいに」と正樹に告げた。
正樹は、幸せにできなかったことを謝り、愛菜美と暮らした生活が楽しかったこと、そして小説家としての才能に嫉妬すらしていたことを正直に伝えた。
愛菜美は、正樹の言葉に驚きつつ、自分さえ我慢すれば丸く収まる、というやり方は、全然優しくないから止めたほうがいいと返し…。
正樹は、マンションの前で愛菜美と別れ、帰ろうとした。そんな正樹の背中に、抱きついてしまう愛菜美。
そこにやってきた冴は、正樹と愛菜美の姿を見て、たまらずその場から逃げ出す。
正樹に手をつかまれて止められた冴は、正樹のことを支えると言ったのに気持ちばかり焦って空回りしていることを認め、「もう自信がない」といって涙をこぼす。
すると正樹は、教師のくせに生徒を好きになったこと、再会したあとも妻がいるのにまた好きになってしまったことに触れ、「でも、そんな引け目とか罪悪感とか、全部越えるくらい、俺はお前のことがどうしようもなく好きなんだよ。だから、頼むからそばにいてくれよ」といって冴を抱きしめ…。
別の日、出社した冴は、騒然とした社内の様子に驚く。コアスパークの顧客情報が外部に流出したのだという。
同じころ、北都はHermitと電話で話していた。シェアハウスの権利書を利用して正樹を自分たちの言いなりにできたと喜ぶ北都。するとHermitは、まだ始まったばかりだと北都に告げ…。
出社した正樹は、デスクの上にあった不審な手紙に気づく。差出人は、服役中の元同僚・加賀美理(眞島秀和)だった。
その手紙には、「すぐそばに禍が迫っている。過去からは、逃げられない」と記されていて…。