2月15日(土)から3月31日(火)まで、全国の東急ハンズにて文具の祭典「文具祭り2020」が開催中。
初日の2月15日(土)には、目利きの審査員たちがこの1年で発売された文具の中から、アイデア・デザイン・機能性の面から厳選した受賞文具の開発者が登壇するスペシャルイベント「文房具屋さん大賞2020」授賞式が池袋・サンシャインシティにて行われた。
人気文具メーカーの最新商品が揃い、「文具を試して、比べて、選んで実感することで自分に合った文具に出会える」と銘打たれた「文具祭り2020 スペシャルイベント」にフジテレビュー!!が行ってみた!
自分にぴったりな文具を、試して探そう!
会場に足を踏み入れるとそこには人気文具メーカーのブースが並び、新製品や人気商品の文具が陳列販売されている。ブースにいるメーカーの方に直接その文具の説明を聞けるのも魅力だ。
気になった文具を“試せる”のがこのイベントの醍醐味!「試しまPEN? SPECIAL」コーナーでは、様々なペンを思う存分試せるので、見た目や書き心地、発色など、お気に入りの1本を見つけることができる。
会場にはお祭り気分を盛り上げる、文具を使った「文具縁日」も開催されており、「マスキングテープすくい(1回500円+税)」「ノート射的(無料)」「カラーペン輪投げ(無料)」が楽しめる。
筆圧と筆記速度を診断、運命の書き心地に出会う
自分が書きやすいと思って使用しているペンは本当に合っているのか?もっと書き心地の良いペンがあるのでは?そんな書き心地を追求したい人におすすめなのが、「Pentel CLINIC」ブースだ。
ここではボールペンを扱うメーカー(株)ぺんてるが、筆記速度と筆圧を測定して最適なペンを提案してくれる。
まずは問診票で自分の筆圧と筆記速度についてYES,NOで答え、それから測定器に文字を書くと、筆圧と筆記速度を一角ずつデータ化し、全体の測定結果を平均化して診断。
記者の自己診断は「筆圧が高く筆記速度は速め」だったが、実際の測定結果を見てみると、一般的な平均筆記速度は30mm/s、平均筆圧は200gfのところ、筆記速度は平均よりも速く、筆圧は平均よりもやや低いという結果が出た。
この診断結果に合わせたペンを試し書きさせてもらうと、たしかにこれまで使用していたペンよりもスラスラとした書き心地が得られた。即座にそのペン「エナージェル0.7(定価200円+税)」を購入したのは言うまでもない。(ボールペン診断は所用時間約15分)
作業が捗る!ストレスを軽減させる文具
普段使用している文具も、知って選ぶことで圧倒的に使用感がアップし、機能性もあがるということを身をもって体験したところで改めてブースを巡ってみると、文具の進化を目の当たりに。
用途に合わせてストレス軽減!はさみの進化がすごい!
「キャップのない携帯はさみ」というキャッチコピーで人気を博しているコクヨ(株)の新商品「SAXA POCHE」(定価650円+税)は、片手の操作だけで使用できるコンパクトな携帯はさみ。
パステルカラーで展開されたカラーバリエーションも可愛く、かさばらずに持ち歩ける便利で画期的な発明品だ。
スタンダードなはさみも進化を遂げており、「SAXA」シリーズは従来製品よりも切れ味4倍で驚くほどに軽い。そして特殊な形状の刃先により、はさみでは切り難かった結束バンドも難なく切れる。
テープを切っても刃先がベタつかなかったり、耐久性の高い100万回切れるチタンコート製のはさみも登場。使うシーンに合わせて選ぶことで、余計なストレスを軽減することが可能だ。
ちぎらなくても良い!“マステ”の進化がすごい!
今や、本来の用途以外にも手帳を可愛くデコる際には必要不可欠な存在となったマスキングテープ。可愛い “ マステ文化”を牽引してきたと言っても過言ではない、(株)マークスのマスキングテープがさらなる進化を遂げていた。
マスキングテープを手でちぎると、キワの部分がどうしてもベタベタしてしまう…しかしこの新商品はテープにミシン目が入っているため、手で簡単にピッとカットすることができる。
それに上から水性ペンで書ける表面処理が施されているのもポイント。タテ型にロールが並んだ形状もスリムで、持ち歩く荷物を少なくしたい“手帳デコり派”にはぴったりの一品だ。
ノミネート文具1500の中から選ばれた大賞は?
会場のステージでは、「文房具屋さん大賞2020」の授賞式が開催。2013年にスタートし、今年8冊目の刊行となったムック本「文房具屋さん大賞」(扶桑社)にて選出された各部門のナンバー1文具が表彰される。
受賞商品を企画開発した担当者も登壇して開発秘話を披露し、ヒット商品の裏側にある苦労と文具作りの情熱を語った。
大賞「EMOTT」(三菱鉛筆)
「カラーペンファンの期待に応えた」と評価され 、大賞を受賞した「EMOTT」(定価1本200円+税)は インスタ映えを意識し、 生活の中に溶け込むシンプルなデザインが特徴。
「キャンディポップ」「フローラル」といった、グループ分けされた配色も絶妙で、海外からの人気も高いという。もちろん、滲(にじ)まない、裏写りしない、耐久性のある細いペン先、など機能性も高い。
デザイン賞「サクラクラフトラボ004」(サクラクレパス)
これまでの多機能ペンにはなかった「新しい懐かしい、をつくる。」をコンセプトに企画された「サクラクラフトラボ004」(本体価格 定価8000円+税)は、細部にまで重厚感のあるデザインが魅力。
手に持った時の重量バランス(上部はアルミ製で軽く、下部は金属製で重く)や、素材に洋白(500円玉の素材となっている合金)を使用するなど、使用するごとに愛着が湧き、手放せなくなるこだわりが詰まった商品だ。
機能賞「タップテープ」(カンミ堂)
片手で貼れる両面テープの「タップテープ」(定価495円税込)は、マッチ箱ほどのサイズのケースに等間隔で切れ目の入った両面テープがロール状に入っている商品。
カットしたり剥離紙をめくる必要がなく、手軽に両面テープをポンッと貼れ、しかも簡単にはがせるといった優れものだ。
カンミ堂は社員11名の小規模な会社だが、社員全員で文具愛を持って開発会議をしているといった開発秘話も披露された。
アイデア賞「クリアレーダー」(シード)
向こうが透けて見える透明な「クリアレーダー」(定価100円+税)は、SNSで「美しい消しゴム」として話題となり、生産が追い付かないほどの人気だという。
大正4年に創業された老舗文具メーカーのシードによる、開発までの紆余曲折(原料が供給できなくなり生産ストップしたり、プラスチック製の消しゴム部分とスリーブ部分の癒着を防ぐために奮闘したり)が語られ、小さな消しゴムひとつに込められた歴史に会場も感心しきりだった。
高まり続ける文具熱、2020年のトレンドは?
誰もが使用する身近な存在でありながら、メーカーの絶え間ない努力によって年々驚くほどの進化を続けている文具。パソコンやスマホの台頭で実際に文字を書く機会が減ったかと思いきや、文具の人気は近年高まる一方だと、書籍「文房具屋さん大賞2020」(扶桑社)を編集する扶桑社の秋葉俊二さんは語る。
文具祭りの監修と「文房具屋さん大賞2020」の審査委員長を務める、文具メーカー(株)ノウト代表・高木芳紀さんは文具のトレンド傾向について、「特にSNSの影響が強い」と分析する。
インスタ映えを意識して、きれいに書いた文字や絵をペンと一緒に公開する人が増えており、それは世界的に流行している。機能性も良く色や太さの種類が多い日本製の文具は海外でも大人気だという。
年々激化する開発合戦だが、「純粋に字を書いて消すだけではなく、プラスした面白さが必要な時代になったのかもしれないですね。もうこれ以上はないだろうと思っても毎年それを超えてきます」と、日本の文具のレベルの高さについて語る高木さん。
また、生活に密接した文具が多く登場しているのもここ数年の特徴で、今まで文具が使えなかった水場などでも使える文具が出てきたりと、文具の可能性はさらに広がりを見せている。
普段の生活の中で身近に存在する文具。使い勝手が良かったり、手になじんだり、書くことの楽しさを再確認したり。お気に入りの文具を見つけて使うことは、生活をほんのちょっと豊かにしてくれるのかもしれない。
*会場で発売されている商品は今後、東急ハンズ店舗にて取り扱いのない商品も一部含まれております。