ああーもう!言いたいことがいっぱいあり過ぎる!!!

毎回こうやってレビューを書いていると、どんなに面白いドラマでも「あー面白かった!」それだけでよくね?って時がなくはないんですよ。だけどこのドラマはもう8話まで来てて、散々泣けるだなんだって言い尽くしてきた感もあったのに、やっぱりまだまだこんなに言いたい事があふれてくるなんて、本当に『アライブ』ありがとう!

いっぱいあるので、厳選してまとめますね。

①「金八先生かよ!」

まず言いたい事それかよって感じですが、中盤までの展開を見ながら「金八先生かよ!」ってずっと思ってました。それは金八先生のように熱血に物事を解決していくということではなく、ドラマの見せ方が「金八先生」的だなと。今回の患者さんの交流会のシーンとその後の展開は、お話としてもちろん見せてはいるんだけど、視聴者に対して問題提起して考えさせる余地も残してて、まるで「金八先生」の命の授業を受けているような感覚になりました。だからと言って説教くさくて退屈というわけじゃなく、ちゃんとドラマチックな部分は担保しつつ、丁寧にじっくり進行していく、その見せ方と濃度がまさに「金八先生」だなと。

だからフジテレビの歴代の名作医療ドラマをひも解いていった時、『救命病棟24時』は今の医療ドラマブームの先駆け的存在で、『白い巨塔』は社会派で骨太な人間ドラマを描き、『Dr. コトー診療所』は美しい自然を融合させ、『医龍』はこれまで隠してきた臓器を敢えて見せることで新しいドラマ体験を実現させ…と、それぞれの作品には医療を題材にして革命的な何か成し遂げたからこそ名作になったと思ってるんですけど、『アライブ』は命についての投げかけ方が「金八先生」的境地に達した医療ドラマになったと僕は感じました。

なんだかこねくり回し過ぎてよく分かんない結論になってしまいましたが、つまりは歴代のフジテレビ名作医療ドラマと肩を並べたってことです。

②「ギョーザ」で泣ける

え、2個目それ?って感じでしょう。だけど、どうしても言いたい。いまだかつて「ギョーザ」、この4文字で泣けたドラマあります?しかも「ギョーザ」が今回のお話の肝となる伏線になってたとか、「ギョーザ」の感動エピソードが語られたとかじゃなくて、ただ突然に「ギョーザ」って言った瞬間、涙、ダーってなったドラマあります?もちろん、今回登場した幼い頃からがんで入退院を繰り返してきた和樹くん(萩原利久)のエピソードが、高校生だからこその絶妙な心の揺れ動きを見事に描かれていたから、「ギョーザ」で涙、ダー、なんだけど、その後に「母さんの作ったやつ…」って、かぶせるもんね。そら、さらにダー、ですよね。唐突な「ギョーザ」というワードだったからこそ、和樹くんとその家族の色々が想像出来て泣けるし、「母さんの作ったやつ…」でダメ押すんだからね。こういう何気ない部分で、すっごく想像させちゃう力をもっているのが『アライブ』の世界観なんですよ。

③今回も最終回

先週も最終回みたいでしたが、今回はより最終回でしたね!しかも、何もかも都合よく大団円!みたいな最終回じゃなく、視聴後感がすっごく良い最終回。実際は全然最終回でもなんでもないんですけどね。

今回は何といってもこれまでいい味出しまくってた高畑淳子さん演じる民代さんの素晴らしさですよ。高畑さんが演じたことで民代さんというキャラクターにより深みが増したのはもちろん、“元美容部員”っていう設定がここへ来てかなり効いてきましたね。だからこそ、今回初めて交流した佐倉さん(小川紗良)とのお話が無理なく進行できたんだもの。それで、民代さんが終盤のすっごく良い場面で一瞬苦しんで、まさか民代さん!!そんな時にドラマチック展開いらんしー!!って若干怒りかけたあとに、佐倉さんが「民代さんと、一緒に見たいんです」ってね。一瞬、やな予感させといての、とどめワード。ホントになんて良心的なドラマなんでしょう。

そして最終回感をより高めたのは、心先生(松下奈緒)と薫先生(木村佳乃)の絆、民代さんの決断、京ちゃん(北大路欣也)と漣くん(桑名愛斗)の微笑ましさ、佐倉さんと結城先生(清原翔)の恋模様といういつものメンバーの物語に加えて、夏樹先生(岡崎紗絵)も光野先生(藤井隆)もホントにいい活躍、いいエピソードで、光野先生に至ってはただの賑やかしだと思ってたのに(失礼)、すっごくいい先生だし、お話も素敵すぎる。どこかのニュース記事で藤井隆さんがピエロ姿になってるのを見かけたときは、感動に持って行きすぎてない?大丈夫かな?って心配したんだけど、全然そんなことない。逆に全然嫌らしくない演出だったからこそ、とてつもなく感動的なシーンに仕上がっていました。

まだまだ、薫先生が心先生の家に入る瞬間の緊張と緩和とか、薫先生と漣くんの絡みも、お父さんを死なせた原因の一端が薫先生にもあるんだから、嫌らしいドラマだったらもっと地獄の展開になってもおかしくないのに、お母さんである心先生との共通点を漣くんが見出すというとんでもなく美しい結末…とか。ああ、ホントにいいドラマ。

text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)

第8話のあらすじ完全版はこちらから