水木しげるさんが描いた妖怪たちは、どのように水木さんの頭の中で作り上げられたのか?その秘密に迫る展覧会に、フジテレビュー!!編集部が行ってみた!

7月8日(金)から東京シティビューにて開催中の「水木しげるの妖怪 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」展は、水木さんの生誕100周年を記念した初の大型展覧会。

水木さんの描いた日本の妖怪たちがどのように生まれてきたかを紐解きながら、水木さん自身の妖怪関係資料やコレクション、妖怪画の原画が100点以上にわたって一挙公開されています。

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大都会の天空に妖怪が勢ぞろい!

会場に足を踏み入れると、広々としたエントランスの開放感に驚きます。見下ろすと都会の風景や東京タワーが一望でき、ここが52階だということを実感。一面ガラス張りなので、天候や時間帯によっても違う顔を見せてくれます。

「天空の水木しげるロード」と名付けられたエントランスの大きな窓には、妖怪の名前が書かれた提灯がずらり。その下には水木さんの出身地である鳥取県境港市に並ぶブロンズ像と同じ妖怪たちが並びます。

入場したらぜひ挑戦してほしいのが、「妖怪カメラAR」を使っての妖怪探し!アプリ(XR 観光体験アプリ「ストリートミュージアムⓇ」をインストールして起動すれば「妖怪探し」の準備完了。

意外な場所に隠れている妖怪もいるため、5体すべてをコンプリートするのは難易度が高く、チャレンジしがいがあります。妖怪の隠れているスポットに「妖怪カメラ」を向けると、その妖怪らしいアクションを見せてくれるので気分もアガります。

「天空の水木しげるロード」は夜になると照明が抑えられ、提灯に火が灯り、雰囲気もガラリと変わります。妖怪たちが活発化する時間帯を迎えると、ブロンズ像の妖怪たちが生き生きしだしたような錯覚も?

水木しげるの人生・背景を立体的に知る

エントランスから続く「水木しげるの妖怪人生」では、水木さんの人生を分かりやすくパネルで紹介しています。水木さんの人生を時代背景と合わせて知ることは、水木妖怪の誕生を知るうえで欠かせないポイント。

水木さんが生まれて幼少期を過ごした境港時代、幼少の水木さんに「六道絵」を見せて地獄というものへの強烈なインパクトを与え、妖怪の話を語り聞かせた“のんのんばあ”との出会い。

南方の妖怪たちとの出会いを経験することになる、生死をさまよった従軍時代。そして、貧困の貸本漫画家から一躍人気漫画家へ。水木さんの人生と歴史が絡み合って立体的に迫ってきます。

水木さんの歴史を頭に入れたらいよいよ、水木さんの妖怪がどのように誕生したのかを知る旅へ。

続くコーナーの入り口には水木妖怪でおなじみの「塗壁(ぬりかべ)」がお出迎え。その巨大さとリアルな質感を、ぜひ間近で感じてみてください。(たまに、まばたきするのでお見逃しなく)

江戸時代の貴重本も!水木しげる所蔵の資料

「古書店妖怪探訪」コーナーでは、水木さんが古書店を頻繁に訪れて集めた、民俗学や妖怪に関する書籍が展示されています。江戸時代の鳥山石燕(とりやま・せきえん、江戸中期の画家、浮世絵師)の「図画百鬼夜行」や、民俗学者の柳田國男の「妖怪談義」をはじめ、江戸時代の妖怪怪談本など、水木さんが妖怪を描く際に実際に用いた貴重な資料がずらり。

これまで水木さんの展覧会は多く開催されてきましたが、本展はこれまでにない「水木妖怪の誕生に迫る」展覧会ということで、公開されてこなかった貴重な水木さんのコレクションがたくさん展示されています。

中には水木さんによる書き込みのある資料まで!すでに描いた妖怪名には「×」印がついていたりと、見どころ満載であっという間に時間が過ぎていきます。まだまだ展示は序の口なのに…。

水木さんは妖怪を描く際に、「図画百鬼夜行」や「妖怪図」といった図画集を参考にしたそうですが、一方で柳田國男さんのような文章のみの民間伝承といった「姿形のないもの」も参考にして妖怪を描きました。

では、その「姿形のないもの」はどのように“水木妖怪”となって生まれたのでしょうか?その秘密が次のコーナーで明らかにされていきます。

“寄せ集めて作る”妖怪誕生の工程を知る

「水木しげるの妖怪工房」コーナーでは、晩年までに千点近くの日本の妖怪を描いた水木さんの創作方法に迫ります。

水木さんの妖怪画を「絵師たちから継承」「様々な資料から創作」「文字情報から創作」の3つのパターンに分けて紹介。資料や素材を寄せ集めて、何のどの部分を使用して形作っていったのかを妖怪ごとに解説していきます。

資料だけでなく、水木さんが収集した人形やお面など、アイディアのヒントになった実物も展示されています。

「ブリコラージュ」(寄せ集めたもので試行錯誤し、新しい物を作る手法)を用いて“水木妖怪”を生み出していった水木さん。妖怪と資料が合わせて展示されているので、「この妖怪は、この資料のこの部分と、この部分を集めて作ったのか」と、こちらも水木さんの創作過程と想像力を追体験する楽しみが生まれます。

緻密な妖怪画の原画が100点以上

そして、水木しげるの妖怪画を存分に味わえるコーナー「水木しげるの百鬼夜行」では、「山」「水」「里」「家」それぞれに棲む妖怪画を展示しています。

原画を間近で見ると妖怪の精緻なき込みに驚くとともに、妖怪だけでなくその背景の描き方の緻密さと密度にも思わずため息がこぼれます。

ただ、黒く塗りつぶした部分にすら、何かが潜んでいるような空気や闇を描き出す実在感、1枚の絵だけで物語が伝えられる圧倒的な画力。水木さんのすごさを体感できる貴重な空間です。

1枚ずつじっくり見たいけれど、時間が無限に過ぎていくので、涙をのんで次のコーナーへ。

カフェにグッズ!妖怪を味わう!

妖怪をたっぷり目で味わったら、続いてはカフェでも味わえます。期間限定オープンの会場隣接のコラボレーションカフェ「妖怪の森Cafe」では、さまざまなメニューに変身した妖怪たちが楽しめます。

会場限定グッズとショッパーも!

がっつりご飯にスイーツに、妖怪を味わったら続いてはグッズコーナーへ!

特設ショップ「ねこや」では、妖怪グッズをはじめ、水木さんの漫画作品、展覧会限定のグッズも多く並んでいます。とにかくグッズ数が多く、ワクワクして目移りしてしまいます。

そして、なんと言ってもうれしいのは、これらのグッズを購入した際に入れてもらえるショッパーが「がしゃどくろ」なことです。このためにグッズを大量買いしてしまいそう…。

夏の1日を天空の会場で妖怪と過ごして、水木さんの創作の源をじっくり堪能し終わったころには、まぶしいくらいの晴天だったエントランスも陽が落ちて、すっかり「逢魔が時」に。

果たして「妖怪」とは何なのかと考えを巡らし、改めて水木さんの偉業を噛みしめつつ、「時間が足りなかったのでまた来よう」と心に決めて会場を後にしました。

<展覧会の見どころを動画で紹介!>

【『水⽊しげるの妖怪 百⻤夜⾏展〜お化けたちはこうして⽣まれた〜』開催概要】

会期:2022年7月8日(金)~9月4日(日)
会場:東京シティビュー (六本木ヒルズ森タワー52階)
公式サイト:https://mizuki-yokai-ex.roppongihills.com/
公式Twitter:https://twitter.com/mizuki_yokai_ex

(c)水木プロダクション