7月6日、高橋一生さんの一人芝居、パルコ・プロデュース2022「2020」の初日前会見が行われ、高橋さん、原作の上田岳弘さん、構成・演出の白井晃さんが登壇しました。

芥川賞作家の上田さんの文学に共鳴する高橋さんが、自ら書き下ろしを提案したという本作。

構成・演出は、これまで高橋さんが出演した「4 four」(2012)、「マーキュリー・ファー」(2015)、「レディエント・バーミン」(2016)を手掛けてきた白井さん。今作は、6年ぶりのタッグ復活となります。

高橋一生は「腹立たしいくらい素晴らしい」(白井)

高橋さんは「抱負はあまり持たないようにしているので、これまで通りということですね。稽古で1ヵ月近く、半分を上田さん、白井さんとの会議で費やしましたが、稽古で積み上げて構築してきたものを信じておりますので、楽しみたいと思います」と挨拶。

上田さんは「一人舞台にしようとなったときに、僕の頭から出たのが『2020』というキーワード。一人舞台であるが故に最後まで追い込めるということが三者それぞれから出まして。ギリギリまで彼を追い込んだ舞台になっております」とコメント。

白井さんは「上田さんの文学を演劇にするのは難しい行為だったんですけど、何度も打ち合わせを重ねて、高橋さんとも議論をし、まとめ、各所スタッフのクリエーションチームの力で刺激的で興味深い作品になったのではないかと思います。高橋くんの頑張りというか踏ん張りは、側から見ていて腹立たしいくらい素晴らしい」と告げると、高橋さんは下を向き照れ笑い。

記者から見どころを聞かれた高橋さんは「全編ですね(笑)」と答え、「全部見てほしいんですけど、被り物をするので、その辺を楽しんでいただけたらと思います。出落ちに近いものも何パターンかありますから、ビジュアル面でも見ていただけたら(笑)」と明かしました。

また、体力作りについて聞かれると「自分は、思った以上に塩分を摂ってなかったんだなと気づいて。『なんで朝こんなに体が重いんだ』と思って、夏バテ防止のタブレットを食べたら、俄然調子が良くなった」と、自身初の夏バテをしたことを報告。

「水分摂ってるつもりだったんですけど、思った以上に汗で出てしまうので。どうか皆さん、今年の夏は自分が思った以上に塩分を摂っていただけたら」と呼びかけました。

客席の声がダイレクトに伝わる

高橋さんの一人舞台が完成していく様を見て、白井さんは「『なんだこの俳優は』という羨望というか、イラだたしさを感じていた」と明かすと、高橋さんは「昨日の通し稽古で、ステージから演出席にいる白井さんの大きな動きが、すごく視界に入って。かつ小さい声で『あいつ』とか『一生』と言ってるのが聞こえて、気が散って仕方ないんですよ」と暴露。

続けて「通しが終わって、近づいてくるときに睨んでるんですよね、白井さん。『何かありました?』と言ったら、『一生むかつくな、出来てんじゃん』と言われて。釈然とした思いを抱えたまま、素直に褒めてくれればいいのにと。全然そんなこともなく」と語りました。

白井さんは「最大の褒め言葉ですよ」と笑い、「何作も一緒に作ってきてるので実力はわかってるんですけど、今回は一人舞台で全部背負って立つので、やりきってる彼を見てすごいなと思った気持ちを、素直に伝えただけです」と弁明しました。

公演で各地を回る際に「楽しみにしていること」を聞かれると、高橋さんは「客席の反応はとても期待してますね。ダイレクトにお客さんの反応がよく分かるんですよね。1人対全なので、とってもよく分かると思うんです」と期待を込めました。

また、大変だったことについては「苦労したことはないですよ。皆さんが支えてくださってたんだなと思いましたね。スタッフさんのチームワークがとてもいいので。俳優部は動きを反芻したりするんですけど、そこで気が散ることもなく、楽しめています」と感謝しました。

上田さんは「僕の作品って難解と言われがちなんです。さらに、(本ではなく)舞台なので読み返すこともできないんですが、通し稽古を見て(その完成度に)びっくりしました。文字にすると3万字以上あって、原稿用紙で100枚程度あるんですね。それを一人で、実際になりたっていてスゴいなと感動しました」と称賛。

高橋さんは「今(原稿用紙100枚と)言われてビックリしました。それだけ入るんだな、人の脳みそって。だから、みんなやれば入るんですよって感じです」と謙遜しました。

<作品情報>

パルコプロデュース「2020」

【東京公演】7月7日(木)~31日(火)PARCO劇場
【福岡公演】8月6日(土)〜7日(日)キャナルシティ劇場
【京都公演】8月11日(木・祝)京都劇場
【大阪公演】8月18日(木)~21日(日)森ノ宮ピロティホール