ディーン・フジオカさんが、日本を飛び出した理由、そしてまた日本で活動することを決めた理由を語りました。
6月12日(日)の『ボクらの時代』は、6月17日(金)公開予定の映画「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」で共演しているディーン・フジオカさん、岩田剛典さん、佐々木蔵之介さんが登場しました。
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ディーン・フジオカ「世界中どこでも生きていける」というおごりがあった
19歳でのシアトル留学後、香港でモデルデビュー、台北、ジャカルタで俳優活動や音楽制作を行ってきたという経歴を持つディーンさん。
日本を出た理由のひとつが「花粉症がつらかった」と語り、笑いました。
岩田:え、そんな理由なんですか(笑)。
ディーン:そうそう。昔、花粉症の薬ってそんなによくなかった…。
岩田:確かに、そうですね。
ディーン:眠くなるだけっていう。
佐々木:普通、それでは海外行かんけどな(笑)。
ディーン:(笑)。
佐々木:それで行くっていう行動力。
ディーン:1年の4分の1は(花粉症で)しんどい、みたいな。それがないところに行きたいなと思って。
佐々木:なるほど。何歳(のとき)?
ディーン:出たのは、19のときですね。もう本当、簡単に言うと、日本っていう国家に頼らないでサバイブするゲームを、ずっとやってたから。
岩田&佐々木:(笑)。
ディーン:でも、パスポートは変えようか何度か迷ったけど、最終的には日本人でいようと思って、そのままにして。
佐々木:何度か迷った?
ディーン:迷いましたね。自分の妻は、日本人ではないので、簡単にいえば配偶者っていうところから、ほかの国籍を得るということもスムースにできるし。
岩田:そうですね。
ディーン:でも、結局、生まれたのが福島だったから。3.11があったときに、自分はずっと、なんだろう…「もう世界中どこでも生きていける」と、たぶんどこかでちょっとおごりみたいなのがあったけど、「その先に何があるんだろう」みたいなのを初めて突き詰められて。
自分が「やりたい」と思っていることを、自分を満たすためだけじゃなく、何かにつなげられることが、もしかしたらできるのかもしれないっていう。簡単に言うと、そういう感じで、日本で仕事するようになって。
岩田:なるほど。震災がひとつのきっかけだったんですね。
佐々木さんは「俺、サバイバルなんて考えてなかったもんな(笑)」と、感心したように自身の若かりしころを振り返りました。
佐々木蔵之介流 旅の楽しみ方
岩田さんと佐々木さんは、プライベートでは「旅行が趣味」という共通点が。
佐々木:旅行が好きなのは、自分が変わらないから、環境を変えたらなんか…。
岩田:気分転換?
佐々木:なんか、なるかなって。例えば、休みの日にずっと家にいてても、ああ、夜までなんもせんままやったっていうの嫌やから、ちょっとでも外に出ていこう、みたいな感じで。2日、3日あったらアジア行こうとか、1週間あったらちょっとヨーロッパ行こうかな、みたいな感じ。
岩田:どの国でも、どの旅先でも楽しめるってことですよね?
佐々木:そうやね(笑)。こっち(東京に)来たてのときは、お金ないからとりあえず新宿まで行って、どの高速バス乗るか、みたいな…。
ディーン:乗り物に乗ってるのも、好きってことですか?
佐々木:好きやね。飛行場にいてるだけで盛り上がる。
岩田:(これまで行ったのは)何ヵ国くらいですか?
佐々木:何ヵ国やろね。前に数えたのは、42(ヵ国)やったけど。そのあとも行ってるから、ちょっとわからないんだけど。
ディーン:すごい数ですね、それ。
岩田:旅人ですね、完全に。
ディーン:ね。
岩田:生粋の。
佐々木:旅、行ったら絶対思い通りにならない。自分の今までの価値観とは違うことになる。
ディーン:うん。
佐々木:例えば、ご飯食べに行って注文しようと思っても、食べログないわけで。めっちゃ大きい皿で来て、「なんでご飯に牛乳かけたり、ご飯にこんなことすんねん」みたいな。「こんなん頼んでなかったけど、食べるか」みたいなのが、笑える。
ディーン:ハプニングだらけですよね。
佐々木:ハプニングしかない(笑)。そういう失敗が、面白いのかなとは思っている。日本じゃ、そういうことはないし。
岩田:インプットには違いないですよね。そういう、環境を変えるっていう意味でいうと。
佐々木:そうやね。
ディーン:岩ちゃんは?
岩田:僕、結構好きなものがはっきりしていて。大学のときは。ダンスを突き詰めていたので、1人でニューヨークのハーレムに行って、外国人の方とダンスバトルとか、サークル組んでやったりとかしてたんですよ。
ディーン&佐々木:へぇー!
岩田:でも、それ今話すと「本当に、よくさらわれなかったね」ってみんなに言われて。
ディーン:あははは。
岩田:目に入ってくるものが、好きなカルチャーしかないんですよね。タギング…壁にスプレーでやる(グラフィックアート)。あれも、ある種ヒップホップ的な文化だったりするんですけど。何か「ちょっと足をのばせば、体験できるんだな」っていうのが好きで。
ディーン:じゃあ、地図見ないでぷらぷらするとかはあんまり?
岩田:リサーチめっちゃして。
ディーン:なるほど。
岩田:はい。だから蔵さんの、いろんな国に行って、開けて何が出るかな?っていう楽しみ方は、まだしたことないかもしれないですね。
佐々木:「変なところ行きたいな」って思ってるんで(笑)。
と、それぞれの旅の楽しみ方を明かしました。
岩田剛典「マスク越しでも通じ合えた」
3人は、コロナ禍とエンタメについても語り合いました。
佐々木:コロナの間、やることがないから、1人で散歩はしてた。
ディーン:歩くの気持ちいいですよね。
佐々木:気持ちいい。1時間、2時間歩くことが普通になってる。そのときに、「あ、ここにこんな店があるんだ」って、地図見て。普段、車で過ごしてるところを歩いて家に帰ったりしてた。
岩田:何かこう、人生をもう1回考え直したりとかする、いい機会なのかな、とかすごく考えちゃって。だから、実は、そこから始めた趣味を今も続けていて。絵、描いてて。
ディーン:あ、やっぱりあのタイミングだったんだ。
岩田:そうですね。なんかもう、いてもたってもいられないっていうか。やることがあまりにもなさ過ぎるのと、映像作品、それこそNetflixとかもあのときにバーンと日本でも流行ったと思うんですけど。あれを見るだけの生活が苦で。絵は、昔描いていて好きだったから、やってみようかなと思って、注文して。なんとなくやり始めたことが、いまだに(続いている)。ディーンさんは、何してましたか?
ディーン:ひたすら書いてた。
岩田:書いてた?脚本とか?
ディーン:企画書書いたり、曲作ったりとか。それでも時間が余ったら本を。たまってた本、山積みになってる本。読もうと思ってたのとかひとつずつ読んでいって。そのときに、読む習慣、読むリズムみたいなのができたのかもしれない。
岩田:あ、クセがついて?
ディーン:うん。昔に比べると読むようになったから。そのときに作っていたものにも、間違いなくプラスになったし。
岩田:エンタメに携わっていて、本当すごく考え込んじゃって。「自分、何か意味あるのかな?」みたいな。ニュースとかを見ていても、なんかもうエンタメの出る幕じゃないっていうか。「それどころじゃない」みたいな雰囲気になっちゃったときに、自分の存在意義というか、そういうことを考えたんですけど。
佐々木:(微笑んで、黙って耳を傾ける)。
岩田:でも、ライブが始まって、ちょっと自信を取り戻したというか。「あ、待っていてくれてたんだ」っていう。「俺、ここにいてもいいんだ」みたいなありがたみを、すごく感じて。
ディーン:ライブやるって、大変なんだなって思うよね。
佐々木:エンタメとして、映像では見られる。それはみんな家で見てるんだから、それはいいんだけど、自分が現在立っている、そこに集まるのがダメだってことやん。
岩田:そうですね、確かに。
佐々木:「見に来てください」って言えない。
岩田:うん。言えない感じ。
佐々木:でも、そのときに立って「あ、待っててくれたんだ」って。お互いが力になったんだっていうのは、すごくわかる。僕も、人数減らして、あの満席のときの感覚は得られるんだろうか、拍手もカーテンコールもしないとか、どうなるんだろうかと思ったけど、ちゃんとそこは通じるんだなっていうことに「ああ、信じていいんだ」って感謝したっていうか、「ありがたいな」って思ったね。
岩田:僕、すごく感動したんですよね。マスク越しなんですけど、もうみんなが目で…うるうるしてる方もいて、(声は)発せないけど、それでも通じ合えたっていうのがあって、もうグッときて。
佐々木:わかる。
ディーンさんが「岩ちゃんに救われた人は、たくさんいると思うよ」と声をかけると、岩田さんも「自分も救われています」と、ファンの存在に改めて感謝していました。