東京2020オリンピックで活躍が期待されるアスリートたちに密着するスポーツ番組『村上信五∞情熱の鼓動』。
3月22日(日)の放送は、トランポリン・森ひかると走り高跳び・戸辺直人の強さの秘密に村上が迫る。
トランポリン・森ひかるは、昨年の世界選手権で日本人として初めて優勝、東京オリンピックの日本代表にも内定し、メダルを期待されている一人。
トランポリンは、2000年のシドニーオリンピックから正式採用された競技で、トランポリンの上で10種類のジャンプを連続して繰り出し、わずか20秒程度の競技時間の中で、その技術と美しさを競う。
競技の魅力について、森は「トランポリンは一発勝負の競技で、失敗したらもう一度っていう事ができないので、一発にかける思いや緊張感はトランポリンが一番かなって思います」と答えると、村上も「確かに、競技時間も非常に短い中で、やらなきゃいけないことがたくさんある」と納得する。
森のジャンプ練習を見学した村上は、「高っ!」「きれい」「(ネットの)沈み方がエグい」と感心。トランポリンは、一回のジャンプで体重の10倍以上の衝撃を受けると言われ、見た目以上にハードな競技。中でも森は、ジャンプの高さを最大の武器にしている。
練習見学後、村上がトランポリンを体験することに。とりあえず跳んでみるが、当然森のようにうまくは跳べず「跳んで同じとこに帰ってくるっていうの、できないですね」と、見ている以上に難しい事を実感。高く跳ぶコツを教えてもらって再度トライすると、明らかに上達し、村上も「ちょっと分かった」と自分の体を使って森に教わったコツを感じ取った様子。
4歳でトランポリンに出会い、史上最年少の14歳で全日本選手権優勝、天才少女と呼ばれた森の競技人生をグラフにしてもらうのだが、果たしてどんな浮き沈みがあったのか。
森が史上最年少優勝を果たした年に、東京オリンピックの開催が決定。年齢制限でリオオリンピックに出場できなかった森は、東京オリンピックへの出場が目標となった。高校1年の時に、トランポリン強豪校へ転校、演技点を上げるために技の難度を下げて基礎練習を重ね、その練習の甲斐(かい)あって、昨年の世界選手権で見事優勝。東京オリンピック代表内定を勝ち取り、日本トランポリン界初のオリンピックメダル獲得を目指している。
続いて、村上は走り高跳び・戸辺直人のもとを訪ねる。世界の高い壁に阻まれ続け「日本人とは無縁」と思われてきた競技。それが、戸辺という超新星の登場で変わってきている。
戸辺は、昨年ドイツで行われた国際大会で優勝、13年ぶりに日本新記録を更新した。これはリオオリンピックの銅メダルに相当する記録。いかにして世界という高いハードルを跳び越えたのか。
戸辺は、筑波大学大学院の博士号をもつスポーツ科学の研究者でもある。戸辺の実験室には、“モーションキャプチャー”という機材があり、30台の赤外線カメラで跳躍を撮影、データ化して詳しく解析することで、目標の高さを跳ぶために必要な助走や踏切位置を割り出していくという説明を聞き、村上は「こんな戦いなんですね」と驚く。
走り高跳びの踏切動作は、あらゆるスポーツの中でトップクラスに負荷が大きいと言われ、その衝撃を重さにすると1トン程もあるという。戸辺は踏切の時に強く地面を蹴ることで1トンもの反発力を生み出していて、これが世界レベルのビッグジャンプの秘密でもある。
その1トンもの反発力に耐えられるよう鍛えるトレーニングを村上が体験しようとするが、それが1mの高さの台から跳び降りて、すぐ前にある1mのバーを跳び越えるというものだと分かると、「え?そんなに高いんですか。ちょっとやめときますわ」と怖(お)じ気(け)づく。
先に戸辺にお手本を見せてもらってから、数回体験してみた村上は「もう(ふくらはぎが)パンパンですもんね」とハードな負荷を体感。戸辺のふくらはぎを触らせてもらうと、「パンパンですごいとか、そんなんちゃうねんな。インパラカモシカみたい」と例える。
戸辺は専属コーチを付けず、研究で解明された理想の跳躍を一人で追究してきた。
走り高跳びは助走から踏み込みがうまくつながった時、バーを跳び越えることができる。研究で培われた分析力が戸辺の強さを支えていた。アスリートと研究者の二刀流、そこに戸辺の強さの秘密があった。
取材を終えた村上は「本当にお好きなんだなっていうのが、言葉の端々から伝わってきますし、共感できたところがよかったです。東京オリンピックで一番いい結果が出ることを切に願っております」とエールを送った。