3月19日(木)第1回「大島渚賞」授賞式が行われ、主催者である矢内廣(一般社団法人PFF理事長、ぴあ株式会社代表取締役社長)、音楽家の坂本龍一、大島渚さんの妻で女優の小山明子、映画監督の黒沢清が登壇した。
「新しい映画の才能の発見と育成」を目的に、1977年より40年以上にわたり、国内外に自主映画を紹介してきたPFFこと、ぴあフィルムフェスティバルが、今回新たに設立した大島渚賞。
栄えある第1回目の受賞者に選ばれたのは、小田香監督。
2013年、ハンガリーの映画監督タル・ベーラが指揮する若手映画作家プログラムに参加し、3年間を過ごした小田。ボスニアの炭鉱を捉えた、第一長編作品「鉱 ARAGANE」(15年)が大きな話題を呼び、昨年発表された監督自らがダイビングを学び、水中撮影に挑んだ最新長編作「セノーテ」は6月に劇場公開予定を控えている。
トロフィー贈呈の際、坂本は「大島渚という素晴らしい監督の名前を冠した賞にふさわしい人は誰かと考えたときに、今の日本で考えると小田香さんしかいないと思って、僕の方から推薦させていただきました。『鉱 ARAGANE』も素晴らしかったが『セノーテ』は何倍も素晴らしかった。ぜひ皆さんに見ていただきたい」と小田監督の作品を絶賛。
また、小山は「大島渚賞第一回に小田香さんという素晴らしい女性が選ばれて、大島はさぞかし満足している、すごく喜んでいると思います」と亡き夫の気持ちを代弁し、記念品として「大島監督もよく使用していた」懐中時計を贈呈した。
黒沢は「ニューヨークで審査したが、結構スムーズに決まった。大変重たい賞ですけど、この賞を背負ってさらに素晴らしい作品を撮ってください」とエールを送った。
受賞した小田監督は「これから自分が映画と共に生きていく中で、困難に立ち向かわなければいけないことも多々あるかと思います。そのときには大島さんの座右の銘だったり、確かに生きた人のことであったり、その瞬間瞬間を思い出したいです」
「命を、人生をかけて、”今自分は生きて表現できているのか”を常に問いかけ、映画の道を歩んでいく所存です。今日はどうもありがとうございました」と言葉を紡ぎ、感謝を述べた。
第1回大島渚賞受賞作「セノーテ」は、6月に劇場公開予定。