広瀬すずさんと松坂桃李さんがW主演を務める映画「流浪の月」の大ヒット御礼舞台挨拶が、5月24日に行われ、広瀬さん、松坂さん、横浜流星さん、多部未華子さん、李相日(リ・サンイル)監督が登壇しました。

この作品は、「2020年本屋大賞」を受賞した凪良ゆうさんによる同名小説が原作。10歳の時に、誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗(かない・さらさ)を広瀬さんが、その事件の“加害者”とされた当時19歳の青年・佐伯文(さえき・ふみ)を松坂さんが演じます。

<【関連記事】広瀬すず「めっちゃ面白かった」横浜流星 がジャンポケのコントを完コピ!>

広瀬すず 洋服を買うのが「止まんない」理由とは?

この日は、事前に寄せられた感想にキャスト陣が回答することに。

最初の質問は、作中で少女時代の更紗が「夕飯にアイスを食べる」というエピソードにちなみ、「子どもの頃、やりたいけど周りに反対されてできなかったこと、反対されそうで言い出せなかったことは?」というもの。

「はい!」と最初に手を上げた松坂さんは、「僕は昔、漫画家を目指していて、小学生の頃に学習帳に好きな漫画の模写とかをしてました」と発表。「それを机の中に溜め込んでたんですが、なぜか姉に見つかって。それを見た姉の一言が『絶望的にヘタクソだね』で…。そのときに漫画家になる夢は捨てました」とエピソードを。ノートは「泣きながらゴミ箱に入れました」と明かしました。

一方「そうした経験はなかった」という横浜さんは、「『人任せではなく、自分で発信して、やりたいと思ったことはやれ』と尊重してくれる家族だったので、自分でやるしかないと思い空手を選びました」と明かしました。

そんな横浜さんに松坂さんから「(もし選ぶのが)空手以外だったら?」と質問が。

横浜さんは「マジで球技ができないので、サッカーとかバスケとかやってみたかったです。引かれるくらいできないんで…(苦笑)」と告白。これには松坂さんも「意外!運動神経よさそうだから」と驚きました。

また、末っ子だった広瀬さんは「基本的に、全部おさがりだった」と言います。「新品のものは全く買ってもらえなかったです。制服からリコーダーまでおさがりで、(リコーダーのおさがりは)さすがにイヤだったけど『お兄ちゃんじゃなく、お姉ちゃんのにするから』、『3回消毒するから」と言われて納得した自分がいました(笑)」と振り返りました。

こうした経験からか「(新品で買った)洋服ひとつでもすごく嬉しかったし、大人になって自分で買えるようになったときの爆発力がすごかったです。止まんないですね(笑)」と“反動”があるそうです。

多部さんは「小さい頃“ケーキの食べ放題”に行きたかったけど行けなくて。大人になったら体型とか気にしちゃうので行けなくて、それは(小さい頃に)行きたかったですね…」と語りました。

横浜流星「悲しかった」シーンを振り返る

続いては「言い回しや表現が難しかったセリフ。言われてグッときた、ズシンときたセリフは?」という質問。

横浜さんは、更紗から言われる「私もあなたにひどかったね」というセリフを挙げ、「それを言われる前に更紗にキスをして、でもそのキスから何の反応も返ってこなくて。その言葉を言われて『あぁ、本当に無理なんだな』って、その言葉はすごく残酷だなと。あの近さであの目と表情で言われて『もう無理なんだな』と落胆しました。悲しかったです。自分が悪いことしているので仕方ないですが…」としんみり。

それを聞いた広瀬さんは「私だってつらかったです。私も難しくて、いろいろ考えながらやっていました」と同意しました。

「最後だからハッキリ言いますけど」多部未華子の怒り爆発

そんな広瀬さんが印象的だったシーンは、谷(多部)が文(松坂)の過去を知ってしまったシーンのやりとり。

広瀬さんは「文の谷さんを見る目が急に変わるというか、急にフィルターがかかったようなしゃべり方と、トーンで声が跳ねる感じの言い回しに『うわっ!』と思いました。『そうだよ』みたいなひと言だけにも、感じられる感情がいっぱいありました」と称賛。

そのシーンついて多部さんは、「多部目線で言うと、初めは(谷が文に愛情を)求めるじゃないですか? あんなに何も返してくれない男、どうしていいかわかんないよ!って。谷さんは、それでも献身的に、心と心が触れ合いないかって求めるけど、あんなに何もリアクションしてくれないと、多部だったら『どうして?言いたいことあるなら言って!』と言っちゃうタイプなので(笑)」と苦労が。

続けて「ラストシーンも、ずっと私1人でしゃべってて、何も言ってくれなくて、そこにあのフィルターのかかった、死んだような目で…『もうどうしたらいいの?』って。ずっと1人で何も返ってこない人と戦う谷さんで、多部からしたら『なんてことだ!』という。今日、もう最後だからハッキリ言いますけど(笑)、『何なんだ!』って思ってました」と、文への怒りが爆発。

これには松坂さんも「松坂からしたら、本当に申し訳ない。谷さんがバーッと言って、文が答えるところも、谷さんが言ってくる言葉が全部刺さってくる感じでした。松坂的に言うと、トータル的に谷さんへの向き合い方、『本当に申し訳ございません。代わりに僕が謝ります』という感じです(苦笑)」と平謝りしました。

作品概要

雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗(広瀬すず)に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文(松坂桃李)。

引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2か月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。

それから15年後。“傷物にされた被害女児”とその“加害者”という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。

しかし、更紗のそばには婚約者の亮(横浜流星)がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷(多部未華子)が寄り添っていて…。

映画「流浪の月」は、全国公開中。
©2022「流浪の月」製作委員会
配給:ギャガ