4月11日からスタートする、フジテレビ系オトナの土ドラ『隕石家族』は、あと半年で巨大隕石が衝突、滅亡する運命にある地球が舞台。

小惑星のうち地球に到達したものを隕石と呼ぶが、太陽系内で現在、地球に接近する可能性のある小惑星は、約2万個もあるのだとか。突拍子もない設定だと思いがちだが、実は、おおいに起こりうることなのだ。

ドラマは、終末の日が迫り、ギリギリの秩序を保つ日本の、東京・世田谷に住む門倉家のお話。主婦の久美子(羽田美智子)が突然、「好きな人がいます。地球の最後は、その人と一緒に暮らしたい」と爆弾発言し、家を出て行ってしまうことから巻き起こるスペクタクル・ホームドラマ。

大手電機メーカーに勤める夫・和彦(天野ひろゆき)、中学校教師の長女・美咲(泉里香)、浪人中の次女・結月(北香那)、姑の正子(松原智恵子)ら残された家族は混乱するばかり。

しかし、話はそれだけでは終わらない。長女も次女も、なんと夫も、ついには姑までも、家族に打ち明けていなかった欲望を大爆発し始める。果たして、門倉家の運命やいかに!?

フジテレビュー!!は、『隕石家族』の撮影現場を訪ね、主演の羽田美智子にインタビューした。

<『隕石家族』の現場収録の一コマ>

現場は、門倉家のある郊外のロケ地。どんより曇った寒空の下にもかかわらず、笑い声が絶えない。久美子と結月が外出先から帰宅するシーンでは、短いシーンにも関わらず段取りが多くあることに、「やることがいっぱいあるね」と羽田が北に話しかけるなど、すっかり仲良し母娘でほっこりムードだ。

スタンバイの間も、羽田らキャストはその場に残って、スタッフらと談笑。楽し気な笑い声が聞こえていた。

そんなムードメーカーの羽田に、ドラマの魅力や現場の雰囲気、自身の死生観について聞いたほか、“いつも現場に持ち込むもの”も教えてもらった。

動画では、“最後の晩餐は何が食べたい?”と質問。羽田が人生最後に食べたいものとは?

<羽田美智子 インタビュー>

“死”を考えた時に“生”が輝き出す

──収録がスタートしてから、ここまでの手応えはいかがですか?

脚本の小松江里子さんとは、昼ドラの『花嫁のれん』シリーズでタッグを組ませていただいているので、セリフのいい回しにもなじみがあって、すごく演じやすいです。

──設定を聞かれた時はどう思われましたか?

私自身もおもしろいと思ったし、顔合わせした時に、ほかの役者さんたちがみんな、実は“こういうこと”を考えていたとおっしゃっていたんです。だから、私だけじゃなかったんだなって。

こういうこととは、隕石がぶつかるということではなくて、震災や異常気象などが頻発していて、このままいくと地球が終わってしまうんじゃないか、と心配になるような状況。私自身、そんな想像を常にするようになっていたんです。

そういったように、“死”を考えた時に、“生”が輝き出すと思うんですね。いつか終わりが来る時のために今をどう生きるかを考えていたので、それをいよいよ(芝居で)表現する時が来たんだなと思いました。

──小松さんのオリジナル脚本ですが、台本を読まれた感想は?

これはどんなジャンルなんだろうと思いました(笑)。コメディなのかシリアスなのか、ホームドラマなのかサスペンスなのか、それともSFファンタジーなのか…。でも、ジャンルがないんですよね、ボーダレスで。これは新しい時代のドラマだなと思いました。

物事は、逆さから見ると真実が見えてくる

──設定は究極的ですが、やりとりはリアルで、生活感がすごく出ていますね。

親の介護問題、認知症問題、夫のリストラ問題、奥さんの不倫問題…人が生きるって、人には言えないことをみんな抱えていて、一人ひとりが爆弾を持っているようなものですからね。

物事って、逆さから見ると真実が見えたりするじゃないですか。お金持ちの人が実は心が貧しかったり、お金がない貧しい人たちが実は心豊かだったり…。門倉家も、みんな欠陥だらけなんだけど、家族が集まるとちゃんと一つの集合体になっていて、“逆さめがね”で見るとおもしろいんです。

──確かに、羽田さん演じる久美子は、「最後は家族が一緒にいられたら幸せ」と言っていたのに、高校時代に好きだった人の元へ行ってしまいます。死を意識したからの行動ですが、そういう面も含めて、久美子に共感できますか?

共感しますね。私自身、かつて死を意識したことがあったんです。その時に、今まで生きてきた人生って何だろう、と考えて。そこで、このままいつかこの世から消えていくんだから、あんまり生に執着しても仕方がないと達観した面と、逆に、命がもしあるなら、もっと輝きたいという思いと、両方のベクトルが芽生えたんです。

死を見つめるって、そういうことではないでしょうか。人生に終止符を打つとしたら、残された時間に何をしようかと考える。そこから、本当に生が輝き出すことがあるのではないかと思いますね。

──久美子は、“家族と純愛”二つのものを手に入れたいと言います。それについてはどう思いますか?

ベクトルが逆に向かってしまったのでしょうね。それで家を出て行ったけれど、最終的には家族への愛も純愛だと気づくのではないかなと思います。“家族と純愛”という二つのものがほしかったのだけど、実はそれが一つだったんじゃないか、と。だから、決して二つのものをほしかったわけではなかったということに気づくのではないでしょうか。

久美子だけでなく、パパ(天野ひろゆき)も娘たち(泉里香、北香那)にも、いろいろなことが起こります。その都度、事件が起きるのですが、波乱が起きるごとにいろいろと気づくんです。

深いんですよ、このドラマ。コミカルに描いていますが、奥にあるものはすごく深くて、哲学が詰まっているんです(笑)。

伝えたいメッセージが深淵過ぎて、『一休さん』をアニメにしようとした感覚と同じ

──視聴者も、笑いながらも、すごく心に響くものがありそうです。

伝えたいメッセージが深慮すぎて、『一休さん』をアニメにしようとした感覚と同じですね(笑)。あまりにも深いことを伝えたいけど、まじめにやるとだれも見ないから、ちょっとコミカルにやってみよう、という感じです。

──天野さんとの夫婦役もすごく楽しみです。

天野さんは、すごくかわいいの(笑)。結婚したら、きっとすっごく幸せになれる相手だと思います。役柄もそうですけど、普段も現場でずっと笑顔なんです。それで、みんなを笑わせてくれて、おいしいものを差し入れしてくれて。

娘たちからも大人気で、そのままいてくださるだけでパパになってくれています。ものすごく気を遣ってくださっているんですけど、そう見せないように自然にできてしまうのは、天野さんのお人柄だと思います。

あと半年の命だったら…もう一度、大人の純愛をしたい(笑)

──では、もしあと半年しか生きられなかったら、羽田さんは何がしたいですか?

最後の最後まで仕事をしていたいという自分が一つ。そして、何かやり残したことはないかと考えた時に思ったのは、久美子さんと同じで、もう一度大人の純愛をしたいなと思いました(笑)。

──最後に見どころをお願いします。

今、ドラマは多様化して、それぞれに個性が出て、とってもいい時代になっていると思います。このドラマもすごく個性的で、見たことがない世界にお連れできると自負しています。

表面的に流れているものだけでなく、奥底で伝えているものを感じ取って、明日の糧にしていただけたら。自分ならどうするかなと考えてもらえると、一日一日が充実していくと思います。

このドラマを見て、ちょっとホッとしたり、笑っていただいたり、じんわりしていただけたらうれしいです。

【羽田美智子の現場の必需品は、アロマ】

羽田が“いつも現場に持ち込むもの”、それはアロマ。実は、アロマセラピストの資格を持っているという羽田は、いつも仕事場に数種類のアロマを持参し、用途に合わせて使い分けているという。

「アロマには、抗菌作用や抗ウイルス作用が備わっているので、私自身、薬を服用する前に、アロマを試すようにしています。体調を崩すと現場にご迷惑をかけてしまうので、手洗いとうがい、そして、アロマで予防しています」

電源がある部屋や車内では精油を焚き、電源がない場所やマスクにはスプレータイプを使用する。自身でブレンドして使うこともあるとか。

「現場でアロマを焚いていると、『いい香り』とか『私たちこれで風邪引かない。ありがとう』と言ってくれるんです。最近は、みんなが好きな香りで、かつ抗菌作用と抗ウイルス作用があるものを選んでいます。アロマで地球を救えたらいいな(笑)」

<動画メッセージはこちら!>

撮影:河井彩美