福田悠太さんと室龍太さんが、初共演舞台への意気込みを語りました。
3ヵ国のキャビン・アテンダントとの同時恋愛を満喫するモテ男のベルナールと、田舎から出てきたモテない男・ロベールを中心に、恋のドタバタを描く舞台「ボーイング・ボーイング」に出演する福田悠太さんと室龍太さん。
実は共演が初めてという2人に本番への意気込みや稽古の手応え、そして、お互いの“モテポイント”を聞きました。
フランス生まれのドタバタ喜劇で待望の初共演
――共演が決まったときの心境から聞かせてください。
福田:以前「手紙」という朗読劇で一緒になったことはあるのですが、別のチームだったので、同時に舞台へ立つことはありませんでした。いつか濃く絡めたらいいなと考えていたので、今回のお話をいただいたときはうれしかったです。室ちゃんの第一印象はとてもいいヤツで、稽古に入ってみたら本当にいいヤツだった。僕もいいヤツなので(笑)、いい作品になると確信しています。
室:僕も福田…さん…が、福田さん?
福田:普段は「福田さん」なんて呼んでいないので、完全によそ行きのコメントになっています(笑)。いつも通り「福田」って呼んでもらっていいですか?
室:「福田」なんて呼んでないじゃないですか(笑)。朗読劇のときから「明るくてやさしい人やな」と感じていたので、今回の共演を楽しみにしていました。
――福田さんが田舎から出てきた冴えない男・ロベールに扮し、キザなモテ男・ベルナールを室さんが演じますが、この配役についてどう思いますか?
福田:僕は東京生まれの東京育ちで実際はシティボーイなんですけど、まわりからよく「田舎くさい」とか、運動神経が悪いことで「どんくさい」って言われるんですよ。そういう意味では、気負わずに演じられそうです。
室:僕は普段通り、モテモテの役なので……って!ツッコんでもらっていいですか?今、すっごく恥ずかしいです(苦笑)。
福田:(棒読みで)なんでやねん。
室:実際は真逆ですね。人見知りなのでまったくモテません。“爆モテ”といっても、自分が思い描いていたモテ具合とは違う感じなので、楽しんでやらせてもらっています。
「僕、モテないんですよ」自虐発言は“男の技”(福田)
――モテ男の参考にした役柄や作品はありますか?
室:僕は、不良の映画を観ただけでケンカが強くなったと勘違いしてしまうぐらい影響されやすいので、何かを参考にするというのはないですね。
でも、稽古中にふと、なだぎ武さんがコントでやっているキャラクターが出てきたんです。それは、過去に見たことがあるから自然に出てきたものなのかなと。誰かを参考にというのは基本的にしたくないので、何もしていません。
福田:今のはつまり、なだぎさんのコントを見なければよかったっていうことだよね?
室:違いますよ!そこは拾ったらあかん。見たらあかんかったとかじゃなく、できるだけオリジナルでやろうという心構えです。
――室さんが演じるベルナールを稽古で見て、福田さんはどう感じましたか?
福田:僕は室ちゃんのことを、もともとモテ男だと思っていて。こういうことを言っちゃいけないのかもしれませんが、「僕、モテないんですよ」と言うのは、“男の技”だと思うんですよ。その技を使う人がとても多くて、「あ、それだな」って(笑)。
室:モテませんって。
福田:女子の視線に気づいていないフリをしているタイプ。だから、モテ男はごく自然に演じていると思います。
室:ハハハ(笑)。僕が普段からあんなキザなわけないでしょ!?
福田:それに比べて僕は…。(自身が所属する)ふぉ~ゆ~で誰が一番モテないか、指差しゲームみたいなのをやったとき、圧倒的に僕が最もモテないヤツでした。
――お互いのモテポイントはどこだと思いますか?
室:福ちゃんさんを遠目から見ていたときは、寡黙な人っていうイメージやったんですけど、いざしゃべってみたらすごくフランクだし、冗談もポンポン言うし、そんなギャップは絶対にモテポイントだと思います。
福田:“惚れた”ってことでよろしいですか?
室:惚れました!
福田:ごめんなさい、僕はちょっと…。で、(質問は)何でしたっけ?
――相手のモテポイントを…。
福田:そうだった(苦笑)。金髪、金髪。
室:テキトー(笑)。
福田:金髪と関西弁です。
室:金髪と関西弁なんて、そこらへん、探したらかなりいますわ。
福田:金髪と関西弁とネックレス。モテモテですよね。
室:見た目をイジってるだけじゃないですか!中身のこと言うて。
福田:無邪気さかな。朝のあいさつが、お昼の長寿番組のオープニングみたいに「おはよーございま――す!」って(笑)。
室:それ、誰のモノマネですか?
福田:室ちゃん。「疲れたぁー、疲れたっ」って、「ホーホケキョ」と同じテンポで言っていて、鳥かと思ったよ(笑)。
嘘をつくのが下手だから、複数の相手との同時恋愛は無理(室)
――ベルナールは3人の女性との同時交際を楽しんでいますが、スリルにあふれた恋愛についてどう思いますか?
福田:ご時世的にもモラル的にも、同時交際って絶対にあってはいけないことじゃないですか。もし、自分がベルナールみたいな立場になってみたら1日で終わると思います。うまく立ち回る自信はゼロ。
室:僕も無理かもしれない。嘘をつくのが下手で、すぐ顔に出ちゃいますし、ベルナールみたいに頭の回転も速くない。言葉がポンポン出てくるところは似てますけど。
――コメディ作品への思いを聞かせてください。
室:お客様の笑い声が聞こえてくるとすごくうれしいですし、「ここで笑ってください」っていう箇所じゃないところで反応があるのもうれしいですね。
――黄色い声援と笑い声ではどちらがうれしいですか?
室:断然、笑い声です。「キャーッ♡」っていう声はもう何年も聞いていません(笑)。たまには聞きたいけれど、やっぱり笑い声のほうがうれしいかな。みんな笑顔なんやってすぐにわかりますから。
福田:僕は普段、ふぉ~ゆ~というグループで活動していて、最初に黄色い歓声があがるはずのところが、笑い声から始まるようなグループなので、存在自体が喜劇なのかなと(笑)。これまでもコメディを演じる機会は多かったんですけど、“福ちゃんならではのコメディ”を感じとっていただきたいですし、自分でも発見していきたいです。
関西人の僕が発するキザな標準語に注目してほしい(室)
――稽古の手応えを聞かせてください。
福田:初めて台本を読んだとき、「この流れでこのセリフがくるのなら、多分こういう感じのボケになるんだな、ここが笑わせどころなんだな」と感じたところから自分の中で揉みに揉み、つい自分でも笑ってしまうようなひらめきを大事にしていきたいと思いました。そこからの立ち稽古を経て、稽古序盤の僕が今の僕を見たら、「ちょっとお前ヤバいヤツだな」って思うかも(笑)。
室:そもそも僕は、本読みの時点で役作りを失敗しているんです。稽古をしながら、演出の三枝(孝臣)さんから指示されたことを自分の中で解釈して、「そうか!じゃあ、こうできるな」というものが毎日発見できているので、最終的には三枝さんに指示されていない箇所で自分が考え付いたことを出してみようかなと思います。
――苦戦しているところはありますか?
福田:もともと日本語で書かれた戯曲ではないので、笑いどころや風刺も含めて、日本語的ではないところに苦労しています。台本として読むとすんなり読めるのに、セリフを覚えようと思っても簡単に覚えられないんですよ。どうしてかというと、語感が違うから。
ただ、無理やりセリフを覚えて芝居をすると、外国の方はこんな感覚で話しているんだと発見できる面白さがある。そこは、観ている方にも楽しんでいただけるところじゃないかな。
室:会話しているようでしていないので、感情がグチャグチャになります。これまでの作品は、会話の流れを頭で理解して演じてきましたが、「ボーイング・ボーイング」は会話がいきなり違うところへ飛ぶので、ちゃんと整理していかないと体にまったく染み込まない。そこは福ちゃんさんと稽古で何回も繰り返すしかないなと。
そして、何よりも大事なのはテンポ感だと考えていて。そこは関西のノリに似ているので、関西人として柔軟に対応していきたいです。
――キスシーンが多いのも、見どころのひとつですよね。
福田:それこそこの作品の象徴的なシーンだと思うのですが、2022年版「ボーイング・ボーイング」は、僕たちならではのキスシーンになればと。三枝さんが新しい演出を考えてくださったので、想像以上にポップで笑える、早く次のキスシーンが見たいとなるようなシーンになると思います。ぜひドキドキしてください。
――公演を楽しみにしている皆さんへメッセージをお願いします。
福田:初めて脚本を読んだときは古典的なわかりやすいドタバタ喜劇だと感じたのですが、台本を読み進めていくにつれて、恋愛における男女の滑稽さや国境を超えた笑いも感じるようになってきて、深みがどんどん増していったんです。
昨今、よくないニュースもたくさんありますから、そんなモヤモヤを拭うためにも必要なものがエンタメで、こういう作品をやる意味があると強く感じました。これまでいろいろな方が演じてきた役ですが、僕が演じるロベールは“こういう役”と限定せず、僕にしかできないロベールを演じられたらと思います。
エンディングでは、キャストだけじゃなくお客様も一緒に踊れるコーナーを用意しているので、皆でひとつになって盛り上がりたいです。
室:僕は普段、関西弁で話しているのですが、劇中ではキザな標準語を話すので、普段とは真逆な僕を見て楽しんでください。
最新情報は、「ボーイング・ボーイング」公式サイトまで。