石橋貴明が文化人、ミュージシャン、タレント、アスリートなどジャンルを問わず“話してみたい”ゲストを迎え、焚き火の前でじっくり語り合うフジテレビ『石橋、薪を焚べる』。

4月28日(火)の放送は、ゲストに美容家でタレントのIKKOが登場。

「オカマ」と呼ばれた少年時代から、美容師を目指したきっかけ、厳しい下積み時代など自身の半生を、石橋の前で語った。

「自分が男だって、あるときまで思っていなかった」

IKKOは、小学2年生の半ばころから「オカマ」とからかわれ始め、ナイフで胸をえぐられる思いをしたという。

そのころは、しぐさが女っぽく、周りから見て「気持ち悪い」と思われたのだろうと回想。

そこから高校生くらいまでが「苦しかった時期」で「高校の時は、ちょっと男っぽくなろうと思ったんだけど、無理でした」と話すIKKOに、石橋は「いつからみんなと違うと思い始めたの?」と問う。

IKKO:そう思うでしょ?だけど私、自分が「男」だって、ある時までずっと思わなかったんです。

石橋:え、だっておちんちん、ついてる…。

IKKO:(笑)。それはそうかもわからないけど、女の姉妹ばっかりで、親戚も女性ばっかりで。女の人たちに囲まれて生きてきて、私も「女」だと思ってたの。

石橋:じゃあ、記憶にないくらいの時くらいからすでに、自分は…?

IKKO:「女」だと。それで小学校5年生くらいになると、すね毛が生えてきたりとか、だんだん声が変わってきたりとかするじゃないですか。家族にすね毛を見られたりするのがすごく嫌で、小学生の頃から父のカミソリで剃ってたんですよ。

と、当時のIKKOは「男」の部分を、家族に「見られたくなかった」と明かす。

何をやってもダメだった下積み時代

そんな中、美容師を目指したのは、キャビンアテンダントにあこがれ「あの制服を着たい」と姉に話したところ、「あんたは男だから、どう頑張ってもあの制服は着られない」と指摘され、ショックを受けたからだという。

「スーツを着てネクタイを締めて生きる人生は考えられなかった」というIKKOは、きれいに着飾ったミス・ユニバースなどにあこがれる気持ちを「自分がなれないのなら、人をきれいにする人になろう」と転換し、美容師への気持ちを強くしていった。

そして、美容学校を経て19歳で上京し、先生の紹介で住み込みで大きな美容室で働くことになる。

横浜元町の大きな美容室で働き始めたものの「こんなバカ、初めて」と言われるほど「何をやってもダメだった」と振り返る。

「長所があればいい」セットとメイクで生き抜こうと

石橋:よく持ったね、IKKOさん、それで。

IKKO:だけど、途中から「技術くらいは一番になった方がいいんじゃない?この店で」と言われるようになったんです。「技術さえあればそれでいい。自分の長所があれば、少しは救われるから技術を頑張れ」と。それでね、私、どうやって生きていけばいいんだろう?と考えた時に、セットが得意だったけど、カットは難しいから、ここで生き抜いていくためには、メイクもできるようになれば、この店でもやっていけるじゃないかと思ったの。セットとメイク。

石橋:じゃあ、(切る真似をして)こういうのはできないの?

IKKO:私、カットがすごい下手で、やってもやっても(左右で)1センチ以上違っちゃって。当時、刈り上げが流行ってたんですけど、虎刈りみたいになっちゃって(笑)。

休日に六本木のメイクの学校に通い、美容室でも評価を受けるようになった IKKOは 、ヘアメイクの世界に興味を持ち始める。雑誌や着物、女優のヘアメイクなどを担当したいと考え、8年務めた美容室を思いきって退職。ヘアメイクの事務所に所属する。

すると、1ヵ月も経たないうちに着物雑誌の表紙を手がけるチャンスをつかみ、以降「(仕事で)使っていただくようになった」と語った。

理論ではなく「これが好きだ」という感動から学ぶ

IKKO:だけど、事務所に入った時も、メイクは「すごい下手」って言われてたんです。

石橋:(下手な部分を)何でリカバリーしていったの?

雑誌の撮影で「透明感がない」と言われていたIKKOは、「透明感って何だろう」と考えていたとき、ある女優の自宅で見たセルロイドの人形にヒントをもらい「チーク」「ハイライト」の重要性に気付いたそう。また、アイメイクの色の組み合わせに悩んだときも、花の色などを観察することで「見る目」を養っていったという。

メイクに関しては、「30(歳)過ぎてもも、40過ぎても勉強していました」と明かし、自分には「理論」ではなく「これが好きだ」という「感動」から学ぶことが合っていると語った。

ほかにも、美容に関する商品開発についてや、今後の仕事の展望を語ったほか、恋愛観についても「一目ぼれ体質、恋をすると仕事をしなくなる」と過去の経験を振り返った。

恋愛に関しては「メンタルな部分で守ってくれる人がいい」と告白し、照れたのか「まぼろし~」と声をあげ、石橋から「ふざけないで(笑)。真面目な番組なんだから!」と突っ込まれる場面も。

実は、同級生のふたり。60歳を目前にして石橋は「頑張りましょうね、お互い。俺、自分の気持ちが折れそうになったらIKKOさんのところに、“ぶつかり稽古”に行くから」と声をかけていた。