第7話は『隕石家族』の真骨頂!
毎回そんなようなこと言ってる気もするけど、今回はまさに!
ママ(羽田美智子)が好意を持つ男性(中村俊介)に好意を持つパパ(天野ひろゆき)というクレイジー、隕石は衝突するのかしないのか?世論が分断してしまうサスペンス、「君と一緒に“宇宙”へ行きたい!!」壮大なるピュアラブストーリー、「本当の娘じゃない!?」明らかになった出自問題から展開する家族愛…と、このジャンル不明のカオス状態こそ『隕石家族』!
今回は冒頭から、あまりにも唐突に意外な流れでパパのリストラ問題が家族にバレてしまい“すこぶる絶好調だな!”なんて画面に向かって余裕げにツッコんでたんだけど、再び隕石衝突の危機が訪れた事によって生まれる混乱が描かれ、今まさにリアルの世界と重なる…ってなんだか怖くなってきて、顔もこわばっちゃったんだけど、そしたら若い男女が織りなす純粋さと壮大さが最高レベルの恋愛模様にホッコリ…心癒されてたら、途端に“本当の娘問題”が明らかになり、あったかすぎる家族の絆に涙…って、ただドラマ観てるだけなのに、僕なんだか情緒不安定な人みたいだな…なんつって冷静な自己分析してたら、ロケット発射の10カウントから始まる“あるシーン”にぶっこまれたタイミングが最高な一言に爆笑!してたら、衝撃のトゥービーコンティニュー!!
このドラマはとにかくラストの引き、つまりトゥービーコンティニューがいつもすさまじいですね!せっかくだし、最終回前なので、これまでの“トゥービーコンティニュー”を振り返ってみましょう。
第1話…パパがキャプテン(中村俊介)に接近し不穏
第2話…秘密を知った翔太くん(中尾暢樹)にパパ困惑
第3話…パパがキャプテンに恍惚の表情を見せ、大地震
第4話…パパがキャプテンに告白し、隕石逸れる
第5話…パパがリストラされ、キャプテン「金貸して!」
第6話…パパ、キャプテンを家に連れ込む
…すべての回を振り返ってみてわかったんですけど…まさか全部、パパ絡み!
そしてやっぱり、パパがキャプテンに恍惚の表情を見せた直後に大地震だった第3話、告白した直後に隕石が逸れた第4話、だったら次回はなんだと思ったら「金貸して!」の第5話、この一連の流れが最高ですね!
だけど、今回も負けちゃいません。もちろん今回も例外なくパパ絡みで、最高に気になるトゥービーコンティニューが待っているのでお見逃しなく!ヒントは僕が散々ネタにしてきた“恐怖のマッサージチェア”です!
“恐怖のマッサージチェア”が気になる方はこちら!
このドラマ枠においてマッサージチェアは呪いのアイテムですね。そしてまさか僕が散々ネタにしてたマッサージチェアが伏線となって最終回へなだれ込むだなんて、まさに“僕得”ドラマ!
ただ “衝撃”とは言っても、今回のラスト、普通のドラマであれば、丁寧に伏線が張られ、そのオチに向かって物語は準備万端に進んでいくから、予想はできるし、さほど驚きもないはずなんですよ。だけどこのドラマ、お分かりの通り、普通じゃない!最初に触れたクレイジー、サスペンス、ピュアラブ、家族愛と、他ではそれ1本でやれるようなネタが連続するもんだから、いくら丁寧に伏線が張られてても、前のシーンが全力過ぎるからついつい忘れちゃうんですよね。
だから、今回も最後に衝撃の展開を迎えるだけど、一瞬なんのこと?ってなっちゃう。だけど核心に触れた瞬間、バチバチバチーってパズルが合って、まさか、そこ!?どうなるの?!来週!!となるわけですよ。これ、視聴者がこういう思考になるってわかってて仕掛けてたとしたら、とんでもない技術ですね!?
そして散々いろんなことに興奮しといてなんですが、今回の見どころは何と言ってもキャプテン。キャプテンがとんでもなくいい仕事をするんです。前回突然、パパに家へ連れてこられたキャプテンは、認知症でおじいちゃんと勘違いしてしまうおばあちゃん(松原智恵子)を即受け入れ、家族に馴染み、馴染みすぎて朝食に何故か燻製を作り始め、台所を我が物顔で使い、こなれた感じでレモンティなんか淹れちゃったりして、昼間勝手にシャワーを浴び、裸でリビングを歩き、パパに金を返すどころか高級腕時計を買い…と見事な怒涛のクズっぷりを披露します。ここまでのふるまいを見ただけも相当なのに、まさか“娘の出自問題”でとどめを刺してきます。
一体それらの行動は、“人たらし”として描きたいのか?“自由人”として描きたいのか?善なのか?悪なのか?すごく混乱するんだけど、最後にキャプテン自ら、その謎を解くような名言を放ちます。
「その先は言わないで、想像して楽しむから…」
まさにそれ!善とか悪とか、ハッキリ言いきれないキャプテンのキャラクター造形、それをどっちにもとれるようにフワフワと見事に演じる中村俊介さんが秀逸。そして、どういうドラマなんだとはっきり言いきれない、そんな感覚こそ『隕石家族』なんですよね。
来週、いよいよ最終回。だけど今回のラストも、次回予告を見ても“隕石追突の危機!”からかなり程遠い展開っぽくて、それがこのドラマらしくって笑っちゃうんだけど、だからこそ待ちきれない!
あ、あと、このドラマ、あまりにもカオスなもんだから、ここまで興奮して楽しんでるの僕だけなのかな…って変な心配してたんですけど、『週刊フジテレビ批評』でテレビ解説者の木村隆志さんがイチオシに挙げてましたよ!
『週刊フジテレビ批評』 の記事はこちら!
なんだか安心!!木村さんが言ってるんだから、間違いなく面白いですよ!このドラマ!!
text by 大石 庸平 (テレビ視聴しつ 室長)