フジテレビは、6月20日(金)28時45分放送の『Cutting Edge TV~Time Trip Series 日本の空撮絶景旅~』において、現行のテレビ放送で受信機ごとに個別のCMを届けられる「アドレッサブルTV広告技術」の実証に成功しました。

視聴者特性に合わせたCMを個別に届けられる「アドレッサブルTV広告」

デジタル広告のように視聴者特性に合わせたCMを個別に届けられる「アドレッサブルTV広告」と呼ばれるテレビサービスは、米国の放送規格では「ダイナミックアドインサーション」、欧州の放送規格では「ターゲッテッドアドバタイジング」とも呼ばれ、大変注目されていますが、日本のテレビ放送で実現したのは初めての事例となります。

フジテレビでは、2016年11月15日(火)に『Oh!江戸東京名所図会』を放送し、マルチピリオドMPEG-DASHと呼ばれる方式により、放送番組を視聴中に番組ごとストリーミング配信に視聴遷移することで、配信番組として「アドレッサブルTV広告」を提供する実証を行いました(※1)。

今回の 『Cutting Edge TV』 では、番組は放送のまま、CM部分だけを受信機に合わせた個別のデジタル動画広告(※2)に差し替えられる点が最大の特徴となります。

番組中にCMの時間になると、対応受信機では受信機ごとに個別のCMが表示され、終了すると放送に復帰

このほか、ネット品質が悪くてもCM画質への影響を抑えられる技術を盛り込んでいる点や、日本の放送規格(ISDB)にグローバルなデジタル広告規格の技術を取り込み、各放送局が既存の放送設備の追加・改修を伴わずにスモールスタートできる点なども特徴です。

一方で、ネット技術をベースとしたデジタル広告においては「フェイク広告」の課題も指摘されています(※3、4)。
 

そこで、「アドレッサブルTV広告」で表示されるCMの広告主情報や考査情報を視聴者に明示し、その情報に暗号技術に基づく真正性を与えられる「フェイク動画広告対策技術」も併せて実現しました。

これにより、従来の放送広告と同様に視聴者に安心して視聴していただくことができ、広告のブランドセーフティにも寄与できる大きな特徴も持ち合わせています。

左)「アドレッサブルTV広告」を表示中に、その広告主情報や考査情報の真正性が暗号技術により検証されているCMであることを示すマークを画面右上に表示(簡易表示)。
右)「フェイク広告対策技術の表示① (簡易表示)」の表示中にリモコンの黄色ボタンが押されると、暗号技術により真正性が検証された広告主情報や考査情報を表示(概要表示)

フジテレビでは、

(1)現在の放送広告に「アドレッサブルTV広告」という新たな選択肢を加える技術であること

(2)放送にグローバルなデジタル広告技術を融合させ、放送設備の追加・改修を伴わずにスモールスタート可能であること

(3)放送サービスとして従来のCMと同様に安心して視聴していただくことができ、広告のブランドセーフティに寄与できるフェイク広告対策技術も併せ持つこと

などから、本技術を将来の有望な放送サービスの手法の一つと考えており、放送業界全体と協力しながら本技術の普及発展に向けた取り組みを進めています。

実際の動作