フリーアナウンサーの滝川クリステルさん(47)がフランス語の翻訳を担当した絵本『本当の赤ずきん――こどもは読んではいけません』が2025年6月25日に発売されます。
オオカミに襲われた赤ずきんが最後は助かるグリム童話と異なり、恐ろしい結末を迎える“ペロー版”のストーリーをベースに描かれた今回の作品。2児の母でもある滝川さんに、絵本を通じて子どもたちに伝えたいメッセージや、日々の夫婦での子育てについて語ってもらいました。
日常に潜む“危険” 「包み隠すべきではない」の真意
滝川クリステル:
現実の世の中には危険がたくさんあります。そういう暴力的な面を包み隠すべきではなく、子どもにちゃんと伝えて、気づいてもらう機会を大人が与えないといけないと思っています。
オオカミに食べられた赤ずきんとおばあさんが、狩人に助けられ、最後はオオカミが死んでしまうというのが、日本でよく知られているグリム童話版『赤ずきん』のストーリー。
しかし、グリム童話版よりも100年ほど早く誕生していた“ペロー版”は、赤ずきんとおばあさんが助からないという、真逆の結末となっています。
今回、滝川さんはこの“ペロー版”をもとにした絵本のフランス語翻訳を担当しました。
子ども向けの物語は一般的にハッピーエンドが多いですが、この絵本は誰も救われないバッドエンド。
絵のタッチとも相まって、一見、子どもに読むべきかためらってしまうほどの“怖さ”も感じる内容ですが、だからこそ自分の子供に読み聞かせてほしいと、滝川さんは話します。

滝川:
自分は、子どものときにもっと世の中の危険というのを知っておきたかったという思いがあって、「本当に危ないんだよ」ということを(子供には)伝えたいと感じていました。
知らない人について行ってはいけない、とか。(危険や恐怖は)絵本だからこそ伝えやすい。子供にリアルな動画を見せるわけにはいかないので。絵本はすごくいいツールで、親としてありがたいなと思っています。

そうした滝川さんの考えは、この絵本の翻訳にも反映されていました。
物語の中盤、森で赤ずきんがオオカミに遭遇する場面。
原作のフランス語版では、赤ずきんはオオカミに
「もしかしたらまたそのうち会えるといいね」
と伝えていました。
この表現を、滝川さんは日本語訳で、
「またすぐ会えるといいね!」
と翻訳。
あえてよりポジティブ、かつ無邪気に応じるニュアンスに意訳したといいます。
滝川:
すぐお母さんに言われたことを忘れて、簡単に知らない人についていく子どもの油断や隙を、より分かりやすく見せたいという意図がありました。
(赤ずきんは)無邪気に振る舞い、結局最後まで何が危険か分かっていないですよね。子供たちに「だからダメなんだよ」というのを伝えたくて。
大事な宝物を守るため――。そんな思いを込め、滝川さんはこの絵本の言葉を選びました。