ドラマ『おっさんずラブ』がターニングポイント「自分の中のスキルが増えた」

――MEGUMIさん演じる妻の千鶴さんは、源太郎さんの扱い方が見事です。吉田さんは、“こんなことをしてもらうと機嫌が良くなる”というのはありますか?

こういう仕事をしていると時間が不規則なので、外食やデリバリーが多くなったりするんです。でも、「今日は家でご飯が食べたい。鍋なんか食べたいな」と思っていた時に、どこで伝わったかわかりませんが、奥さんから「鍋作って待ってる」と言われた時は、びっくりしてうれしいですよね。

たまにそういう時があるんですよ。まだ結婚して5年くらいですから、何もかもツーカーというわけではないですけれども、徐々にそういう気持ちの交流ができ始めたかなと感じる時があって。食べたいものがその時にあると、うれしいですね。

――上機嫌になると、どうなるのですか?

照れくさいので、奥さんに対して「ありがとう」とかあまり言わない方なんですけど、そういう時は、「ありがとう」と言いますね。「ありがとう」って言うと、気分がいいですよね。すべてが丸く収まるような一夜になります(笑)。

――源太郎さんには、“茶柱が立つとハンサムになる”というシーンがありますが、吉田さんがハンサムになるのはどんな時ですか?

本当に私事で恐縮ですが、子供が生まれて、やっぱりかわいいんです。抱き上げると笑ったり、ちょっとずつしゃべり始めたりして、そういう姿を見ると、自然と笑っているんですよ。

おそらく今までしたことがないような笑顔を、今自分はしているなと思う時が多々あって、その時の顔がたぶんハンサムなんじゃないかと思います(笑)。

――長いキャリアを積まれてきた中で、今作はご自身にとってどのような作品になりそうですか?

監督が繰り出してくるさまざまな演出、要求、それを1つ1つクリアしていくと、いつの間にかふっと楽しいシーンができあがっているという実感があります。

僕の今回の課題として、アドリブをやらないことを挙げているので、そうするとまた違う自分になれるんじゃないか、発見があるんじゃないかという気がしています。

素晴らしい監督の下で、今までやってきたことを止めてみる。そうすると何が生まれてくるのか。すごく楽しみにしていますし、ターニングポイントになるのではないかと思います。ひょっとしたら代表作になるかもしれないし、代表作にしたいと思います。

――これまでに、ターニングポイントとなった作品は何ですか?

どうやってこの演技をしたらいいのかと悩んだことでいうと、ドラマ『おっさんずラブ』(2016年/テレビ朝日系)でした。超えてはいけないところがあるけど、ある程度、大きく表現しないといけないという束縛が多い役柄で、そこをどうやって打ち壊していくかを、いつも考えて演じていたので、自分の中の1つのスキルになったと思います。

――最後に、視聴者へのメッセージをお願いします。

ガンコ親父を中心に、3人の娘たちと奥さんがいろいろな騒動を繰り広げる、あえて令和にお送りする昭和のお父さんが主役のホームコメディーです。

娘たちに言えないことや、それを言えないことの悲しさを抱いているお父さん。そんなお父さんが大好きなんだけど、どう受け止めたらいいかわからない娘たち。それでも、一生懸命にコミュニケーションを取ろうとしている家族。

そこに、男を見る目がない娘たちが選んだ、ちょっとダメな彼氏や娘の元恋人が絡んできて、事態はややこしい方向に進んでいきます。

また、目玉焼きや大根の煮物、どら焼きなどの日常のおいしいものがちょこちょこと出てきます。いろいろな要素が詰まった、なかなか最近では見ることができないドラマになると思いますので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。

撮影:今井裕治