<吉田鋼太郎 インタビュー>
昭和テイストがちょっと残ったホームドラマ「がんばっているお父さん像が全編を通して流れている」
――令和のホームドラマとして、どんな作品になりそうですか?
ホームドラマというと、僕が学生時代に見ていた『寺内貫太郎一家』(1974年/TBS)を思い出します。小林亜星さん演じるガンコ親父が、ちゃぶ台をひっくり返したり、西城秀樹さん演じる長男の周平を投げ飛ばしたりして、家族が手を焼くという、傍若無人さを前面に出した内容でした(笑)。
『おいハンサム!!』は、そこまではやらないけれども、昭和のテイストはちょっと残っています。たとえば、ベロベロに酔っ払って、お寿司の折り詰めをぶら下げて帰ってくるお父さんって最近はあまりいませんが、このドラマにはそういう描写が出てきます。
また、源太郎は3人の娘たちのことが大事でかわいくてしょうがないんだけれども、面と向かって口出しができなかったり…。普段は口数が少ないけれど、娘たちへ愛を伝えたい気持ちでいっぱいだとか、そういうところがたくさんあって、とても微笑ましい存在です。
そんながんばっているお父さん像が全編を通して流れている作品になると思います。
――源太郎のどんなところに魅力を感じていますか?
持って回った表現方法でないと娘たちに自分の思いを伝えられないというシャイな部分ですね。特に、昭和のお父さんはそうだったような気がします。
泥酔して帰ってきて、突然、「お前のことを愛してる!」と言ったりするわけですよね。それが、とってもよくわかるなと思うんです。
――ご自身の中にもそういうところはあると思いますか?
いや、僕はもう現代人になっているので(笑)。今の風潮は、ちゃんと言うことを言わないと、相手に伝わらなくて大変なことになったりするじゃないですか。3月に娘が生まれたこともあって、最近はなるべく言いたいことは言うようにしています。
――脚本・監督・プロデュースを手がけているのは、元フジテレビのプロデューサー・山口雅俊さんですが、脚本を読んだ感想はいかがですか?
山口さんは、映画「闇金ウシジマくん」や「カイジ」シリーズなど多くの話題作を世に放ってきたヒットメーカーで、いろんな意味で有名な方なんです。
とにかくこだわりが強くて、台本を読んだだけだと抽象的でちょっとわからない描写が出てきたり、現場でサプライズが起きたりするんです。
たとえば、台本に「源太郎がオフィスで鼻歌を歌いながらパソコンを見て、仕事のチェックをしている。その内容を少しだけ部下と話している」というト書きがありました。ところが、現場に行ってみたら、「源太郎がオフィスのテーブルの上に靴を脱いで上がって、パソコンを小脇に、部下に向かって大きい声で叱咤激励しながら叫ぶ」というシーンになっている。
しかも、セリフが大量に増えているんです。「まったく違うじゃないか!」とツッコみたくなるくらい。だから、台本を読んだ印象は、はっきり言ってなんだかよくわからないです(笑)。