Official髭男dism初のスタジアムツアー最終日、ここからはしっとり聴かせたバラ―ドから一転、“祭りパート”に突入します!

「みんながスタジアムに立てるようなバンドにOfficial髭男dismを育ててくれた」ファンに感謝を伝え『TATOO』『Chessboard』『50%』を歌う

メンバーを呼ぶ声がやまない中、藤原さんの「どうもありがとう!めちゃくちゃ楽しいです!」の声でMCへ。

優しいピアノの音色と共に話し始めた藤原さん。少し雨がパラついてるのを見て「これちょっと雨きてるのかな?みんなしんどくないかい?」と、雨に濡れながらライブを鑑賞するファンを気遣い、ファンが大きな声援で大丈夫なことをアピールすると「じゃあ演出の一部だな。」と返して語りかけます。

Photo by "TAKAHIRO TAKINAMI"

藤原:
今ファイナルということで日産スタジアムに立ってみて、1曲1曲、心を込めてやっているんだけど、心を込めれば込めるほどあっという間に過ぎていくもので…。

でも、もうすでに僕たちの血となり肉となり、絶対忘れたくない、絶対忘れさせない思い出に変わってます。ありがとう。

今から10年前、同じ横浜のワールドポーターズというショッピングモールで僕たちはライブをさせてもらっていました。アコースティックで。

そのときから、いや初ライブの時から1本として無駄なライブはもちろんなくて。失敗したこともいっぱいありました。声が出ないライブもあったし、大輔のギターが天井に刺さって抜けなくなったライブもありました。

いま思うことは、ここから先も何本も何本もライブをやっていくんだけど、やっぱり1本1本どんなに小さなライブも、今日みたいな最高のファイナルも、絶対忘れたくないんだよね。

だからもし人間の脳みそがスマホみたいに限りがあるとして、神様から「記憶消さないといけんよ」って言われても、絶対消したくないんだよね。だったら進化して容量増やしてやろうと思うんだよね。それくらいライブって僕たちとみんなをつなぐかけがえのないものだから、今日というファイナルも最後の一音まで心に刻みつけていこうと思います。みんなもよかったら刻んでやってください!

藤原さんの熱い言葉に観客から拍手が送られると、「今日7万人のみんなとOfficial髭男dismが心を込めて刻む誰にも消せない『TATOO』、聴いてください。」と、ドラマ『ペンディングトレイン―8時23分、明日 君と』の主題歌『TATTOO』のイントロがスタート。

サビの部分ではマイクをファンの方へ向けてファンの歌声に耳を傾ける様子や、藤原さんが「良ければ一緒にどうぞ!」と掛け声をかけ、スクリーンに映った手書き風のフォントの歌詞で会場全体が大合唱する場面も。

最後に藤原さんが「どうもありがとうございます。」と感謝の言葉を口にすると、ファンからは盛大な拍手が送られました。

そして「早いものであと2曲になります。」と終わりが近づいていることを告げると、会場からは惜しむような声が。

藤原:
ラスト2曲なのにこの期に及んで1曲分くらいの時間を割いて、僕はみんなに言葉を伝えようと思っています。もしよかったらちょっと聞いてほしいことがあります。

10年前、僕たちは初めてCDを全国でリリースしました。それより前の2012年6月7日は、Official髭男dismが島根県のライブハウスで誕生した日でもありますけれども、2012年から今まで活動してきていろんなことがありました。

だけど僕はまず、4人で変わらず、誰も欠けず、楽しくここまでやってこれたことを本当に幸せに思います。ありがとう、ならちゃん。ありがとう、ちゃんまつ。ありがとう、だいすけ。

メンバーの方を向き、お辞儀をして感謝の言葉を贈る藤原さんに、小笹さんや楢﨑さん、松浦さんも「ありがとうさとっちゃん」「ありがとうございます!」などと言葉をかけます。

藤原:
初めてみんなで僕が書いてきた曲をバンドでやってみましょうってときは、自分の弾き語りをボイスレコーダーで録って、電気屋さんで買ってきた真っ白なCD-Rに焼いて、その真っ白なCDを3人に渡しました。

そのときから時間が経って仲間が増えて、今ステージの上に乗ってる仲間もかけがえのないファミリーだし、このライブを作ってくれた仲間も本当にみんな最高の人たちで、人に恵まれているな、と思っています。

そして何より僕たちが恵まれているのは、僕たちの音楽を受け取って愛してくれる人たちでした。つまりみなさんのことです。

ヒゲダンを作った最初の頃は、自分たちがいいなと思う音楽であればそれでいいと思ってやってきました。今でもその部分はあります。自分たちがいいなと思った音楽を届けたいです。

だけどそこに「みんなが受け取ったときにどんな気持ちになるかな」「この曲ライブでみんなと共有したらどうなるかな」、そんなことを徐々に考えるようになってきました。

それがなかったら、いま僕たちはこの日産スタジアムに立っていません。みんなの存在がこのバンドの存在を変えました。みんながスタジアムに立てるようなバンドに、Official髭男dismを育ててくれました。

きょう初めて僕たちのライブに来てくれた人たちだっていると思うけど、君たちはこれから先の僕たちの音楽の目的地です。とはいえ、音楽にできることってそんなに多くはないかもしれない。

世界を変えるとか悲しみを完全に取り除くとか、そんなことはできないかもしれないけど、少しでも僕たちの音楽と触れてもらったことで人生に何か彩りを添えられたら。

嬉しいときは一緒に喜べるような、悲しいときは隣で一緒に涙できるようなそんな音楽、ライブを作りたいと思って活動している今のヒゲダンが、僕は大好きです。

きょう本当に最高の時間なんだけど、これから始まる人生の中で、すごく悲しい出来事があったり、「自分の人生の意味って何だろう?」そんなことを考えるときがもし来たとして、そのときにぜひ覚えていてほしいことがあって。

みんなが生きて暮らしているということがこのバンドにとってとっても大切な光で、このバンドを生かす力になってます。

これはもう絶対よ。きれい事なんかじゃない。周りのどんなやつに冷やかされたって。

だって俺は今のこの倒れかけのスタンドみたいに、ぶっ倒れる前に何度も救ってもらったし、これからも救ってもらうよ。

だから生きる意味とか見失いそうになったときは、あなたの人生がヒゲダンを強くしてくれているということをどうか忘れないでほしいし、忘れちゃっても何度でも思い出せるように、これからもいい音楽といいライブを作っていこう、そう思っています。

それがこの日産スタジアムを経て、Official髭男dismが死ぬまで追いかけ続ける夢です。

こんなに素晴らしい夢をくれて、そして僕たちをこんなにも誇らしいバンドにしてくれたみんな、今まで本当にどうもありがとう!

Photo by "TAKAHIRO TAKINAMI"

そして始まった17曲目は『Chessboard』(第90回NHK全国学校音楽コンクール中学校の部課題曲)。
曲のラストのハイトーンでファンを魅了すると、本編最後の曲は、映画『はたらく細胞』の主題歌『50%』

サビの[50]パーでいきたいのにね[100]じゃなきゃダメなんてOhいつ教わったんだっけ?を観客と一緒に歌い、中締めとなりました。