自宅で過ごす時間の増加でサブスクリプションなどの動画配信サービスの需要が高まり、『愛の不時着』『梨泰院クラス』(Netflixで配信中)といった韓流ドラマが高い人気を集めている。

そんな中、韓流エンタメファンの間で注目されているのが、SNSで“韓国あるある”動画を公開している、お笑いコンビ「スクールゾーン」の橋本稜(はしもと・りょう)だ。韓流ドラマの“あるある”、韓国アイドルファンの女子の“あるある”など、思わず「あるある!」と膝を打つようなリアリティと作り込まれた笑いが共存する動画は、見ているうちにクセになる人が続出し、インスタグラムのフォロワーは12.5万人を超えた(2020年8月5日現在)。

この“韓国あるある”はどのように生まれたのか、そして橋本の飽くなき“韓流愛”についてフジテレビュー!!が話を聞いた。

<スクールゾーン橋本稜 インタビュー>

――“韓国あるある”誕生のきっかけは?

相方の俵山峻(たわらやま・しゅん)が2年くらい前からインスタグラムに「こんな人いそう」というキャラクター動画を上げ始めたら、フォロワーが急に伸びてきたんです。僕も焦って「何かしなきゃ」と考えたときに、韓流コンテンツが好きだったのでこれしかないと思い、よく見るシーンをあるある動画にして公開してみようと思ったのがきっかけです。

動画制作は自分のスマホで行っています。最近は段々と凝るようになってきて、動画の編集アプリに課金もしています(笑)。最初に作ったあるある動画は「韓国料理店あるある」で、「韓国料理店で店員さんが厨房に向かって大きな声でオーダーをする」というもので、そのときはまだフォロワー数が4000人くらいしかいなかったのに、再生回数が2、3万回と多くて驚きました。フォロワー数よりも多くの人が動画を見てくれているんだなと知って、頑張ろうと思いました。

――これまでで反響が大きかった動画は?

「韓流ドラマの最後は絶対静止画で終わる」という動画ですね。僕は中学1年生の13歳のときから母の影響で『冬のソナタ』(※)を観て、そこから15年くらいずっと韓流ドラマを観てきていますが、どのドラマも最後は絶対に静止画になるので、僕はそれを当たり前だと思っていました。たぶん見ていない人でもイメージが分かりやすいというところで反響があったのかなと思います。

(※)『冬のソナタ』2002年にKBS第2テレビジョンで放送された、全20話の連続テレビドラマ。日本では2003年に放送され韓流ブームに火を点け、主演のぺ・ヨンジュンによる“ヨン様ブーム”が巻き起こった。

https://www.instagram.com/p/B3ZajBPH_WX/

あとは「韓流好き女子りょう子ちゃん」というキャラクターの、しゃべる時に日本語と韓国語が混ざってしまうという動画も反響がありましたね。「チンチャそれな」という、韓国語の「チンチャ(実に・マジで)」と日本語の「それな」をミックスして「ほんとそうだよね」という意味で使います。よく新大久保で見かける最近の韓流好きな女の子たちが使う言葉です。この動画は大学の韓国語の授業で「今の若者の言葉の使い方のサンプル」として使われているケースがあると聞きました(笑)。

https://www.instagram.com/p/CA-MVQ7HrkZ/

――りょう子ちゃんも最初の頃の動画と比べるとだいぶあか抜けて可愛くなってきたように見えます。

メイクも頑張ろうと思って、途中から必死になって勉強し始めたんです。メイクは「エチュードハウス」「3CE」「CLIO」などの韓国コスメを使用しています。でも、メイクってしているだけで疲れますよね、これを毎日やるのは本当に大変なんだろうなって思います。

キャラクター作りにはすごくこだわっていて、性格も細かく設定しています。りょう子ちゃんは元気いっぱいで性格の良い子で、しゃべる時に小指が立っていたり、ちょっと舌っ足らずだったり、憎めないタイプの女の子。動画ではちゃんとキャラクターになり切らないと、そのキャラクターにない言葉を発した時に違和感が出てしまうと思っているので、作り込んでいます。

――あるあるのネタはどのように仕入れるのでしょう?

僕は見たことがある人しかネタにできないんです。コンビのスクールゾーンとしても「終電間際でずっとくっついているカップル」のような、よく見かける人をネタにしてコントをやっています。ネタを仕入れるために積極的に一人で新大久保にフラッと行きます。周囲を観察するためにご飯を食べたり、コスメ店のおばさんにお店に引っ張り込まれてハンドクリームを塗ってもらったり(笑)。「うちの息子も使ってる」とかそういうワードを覚えておいて「動画に使えそうだな」とか考えています。

――あるある動画を作っていることで私生活に影響が出たことはありますか?

韓流ドラマでは急な坂道の途中に家が建っていて、急な坂道なのに車が止めてあるという風景がよく出てきます。歩いていてそういう風景を見つけちゃうと、「この坂道いいな、動画撮りたい」と思っちゃいます。もちろん人の家なので勝手に撮れませんが。友達と遊んでいても常にそういうことを考えちゃうので、よく「話聞いてた?」とか言われちゃいますね。

海に遊びに行っても「このシチュエーション見たことある、なんだっけ?」と上の空になってしまう。シチュエーションからあるあるを作っていくことが多いので、常にあるあるのことを考えていますね。「あるあるよりネタ作れ」とかコメントでももらうことありますが(笑)。

「ツッコミどころも多いけれど気にならなくさせる不思議な魔法がある」

――これを観ておけば橋本さんのあるある動画をもっと楽しめる「あるあるの詰まった作品」はありますか?

『私の名前はキム・サムスン』(※)です。DVDもお年玉で買ったくらい本当に大好きな作品。“御曹司が出てくる”、“2人の出会いは最悪”、“怒ったらフルネームで呼ぶ”、“元カノとの三角関係がある”、“何かあったらすぐ留学する”、“スーツを素肌の上に着る”とか、そういうあるあるの原点がその作品には詰まっています。

(※)『私の名前はキム・サムスン』2005年にMBCで放送された、全16話の連続テレビドラマ。最終回の視聴率が50.5%を記録したラブコメの王道的作品

――おうち時間が増えたためか、『愛の不時着』『梨泰院クラス』といった最近の韓流ドラマにハマる人が増えて、韓流ブームがまた到来しています。

僕もこの自粛期間には映画も含めて動画配信サービスで韓流作品を100本くらいは観たと思います。韓流ドラマに関しては『冬のソナタ』から飽きることなくずっと観続けているので、ここまでのブームになるとは思わずに『愛の不時着』『梨泰院クラス』はだいぶ早い段階で観てはいました。この2作は新規の韓流好きの人たちをたくさん生み出したと思います。

『愛の不時着』に僕の大好きなヒョンビンが出演しているということは、韓国で放送が始まった去年の段階で母から聞いて知っていました(橋本の母は定期的に韓国を訪れている)。韓国人のおばさまたちが「今日はヒョンビンが出る『愛の不時着』を見なきゃいけないから!帰るわごめんね!」って言われたというのを聞いていたので、日本でも観られる日を楽しみにしていたんです。

K-POPは日本でも相変わらず人気ですが、韓流ドラマの人気がこんなになるとは思いませんでした。この2作品が流行るというのはすごい良いバランスですよね、『愛の不時着』はラブコメで、『梨泰院クラス』は復讐劇で、韓流ドラマって本当に…すみません僕しゃべりすぎてますよね?

――いえ、どんどん話してください!

ただただ好きなものについてしゃべっているだけになっていますが続けると…本当に韓流ドラマってベタで、日本の80年代90年代のトレンディドラマみたいな感じが『冬のソナタ』からずっと変わらず、『愛の不時着』にまで残っている。分かりやすくてベタで、楽しい、そこがすごく好きですし、ハマるポイントですね。

設定はぶっ飛んでいてツッコミどころも多いですけれど、そこも楽しくて途中から全然気にならなくなってくるんです。だってパラグライダーに乗っていたら竜巻が起こって、北朝鮮に不時着するわけがないじゃないですか。それを気にならなくさせる不思議な魔法があるといいますか、そこも韓流ドラマのすごいところです。

――橋本さんが今、一番好きな作品・注目している俳優は?

ヒョンビンはもちろん好きですけれど、チ・チャンウクという俳優さんがすごく好きです。たくさんの映画や、『ヒーラー~最高の恋人~』(2014年KBSで放送されたテレビドラマ)という人気ドラマにも出ていますが、昨年兵役から戻ってきたのでこれから引っ張りだこになるんじゃないかなと思っています。「視聴率王子」とも言われていて、とにかく顔が彫刻の様に美しくてすごくかっこよくて、演技の幅も広くてコメディからシリアスまでこなせる。演技で笑わせるってすごい才能だと思うので、チ・チャンウクはコメディが上手なところが好きです。

韓国映画もアカデミー賞を受賞して注目された「パラサイト 半地下の家族」(2019年に第72回カンヌ国際映画祭<最高賞>パルムドール受賞)を始め、国から予算が出るので予算のかけ方とクオリティがすごい。仲良くさせてもらっている竹中直人さんも韓国映画が大好きなので、よく「あれ観た?」とかLINEでやり取りをします。

最近ではそんな韓国映画っぽい韓国ドラマも増えてきて、『人間レッスン』(2020年Netflixオリジナルドラマ)というドラマは『梨泰院クラス』にも出演していた、キム・ドンヒが主演で、可愛らしい顔なのでラブコメにでも挑戦するのかなと思ったら、高校生が売春を斡旋するようなシリアスな話で。普通に生きたいけれどこうするしかなかった、お金はないけど稼いで大学に行きたいという夢があって…という重厚感のある役柄を演じています。

ちょっと怖くて、後味が良くないような、リアルな韓国映画っぽい作りのドラマがこれから流行るんじゃないかなと思います。『人間レッスン』も結末は観ている人にゆだねられる部分もあって、作品を好きな人たちと話をしたくなるような作品です。

――橋本さんの韓流愛が伝わりました!

最近、親子二世代で僕の韓国あるあるを応援してくれているという声をよくもらいます。僕も家族で韓流ドラマを観ていたので、「『愛の不時着』見た?ヒョンビンやばかったね」という会話をしたり、親子の共通の話題になるところも魅力だと思います。

韓流好きな方ってずっと好きな方が多いじゃないですか、そういう方たちにもどんどん新しい作品を楽しんでほしいです。『愛の不時着』を見てヒョンビンにハマった方にはぜひ『わたしの名前はキム・サムスン』、ヒロインのソン・イェジンにハマった方は映画「私の頭の中の消しゴム」(2004年公開の純愛ラブストーリー映画)、「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」(2018年JTBCで放送されたテレビドラマ)とか。

『梨泰院クラス』でパク・ソジュンにハマった方には『彼女はキレイだった』(2015年MBCで放送されたテレビドラマ )、それから『花郎<ファラン>』(2016年KBSで放送されたテレビドラマ )は時代劇なのにK-POPアイドルのBTSSHINeeのメンバーといったイケメンが揃っていますし、観やすいのでおすすめですね。観たら絶対に“韓流沼”にハマっていくと思います!