「オフビートな空気を生みだす即興劇と合宿感」
<リリー・フランキー&斎藤工 インタビュー>

――本作は前作同様に即興劇の形式で撮影され、出演者が撮影場所の近くに宿泊する合宿形式が採用されているそうですが、そういった効果もあってか作品には独特な空気感が漂っています。
リリー:ゲストの方々が、シーズン1を見て、「これってどんな撮り方をしているんだろう?」という感覚で来ているから、「あまり閉じないようにしよう」と思って演じて、すぐになじめました。
斎藤:確かに、最初からギアが入った状態でいらっしゃいました(笑)。その様子に僕らが慌てふためいた、みたいな構図ではあった気がします。
リリー:関さんと剛力さんのシーンなんて、レギュラー出演者のこちらが2人の舞台をただただ眺めていたっていう感じでした。現場で、マジで笑いました(笑)。
斎藤:観覧という立場で。
リリー:関さんと剛力さんの演技合戦を見て、沙莉が「怖い」って言ったのがすっごい面白かった(笑)。やっぱり自然に出る「怖い」って強いなと思ったんですよ。
斎藤:台本にある言葉もちゃんとしゃべるんですけれど、あの言葉は本当に自然に口から出ていましたね。
リリー:こう見えて、意外と台本通りにやってるんですよ。もちろん付け足しはしていますが、まったく新しいことは言っていないんです。ああいった即興劇の撮影は、やり取りを返したりするものなんでしょうけれど、この作品はほぼほぼ一発で撮っちゃうんですよ。だから演じる側からすると心地良い。
斎藤:シーズン1を経て、監督の清水さんもこの現場の仕上げを経験してるからこそというのもありますよね。我々もその仕上げに対する絶大な信頼を持ちすぎているのはありつつも、「あ、もうこれでオッケーなんだ」っていう瞬間はシーズン1よりあったかなと思っています。
リリー:監督がほぼ一発でオッケー出すんですよね、あまりテストもやらないし。でもそれは、撮影、照明、録音といった全部のスタッフとのコミュニケーションができてるからなんですけれど。普通そのやり方だと緊張感あるじゃないですか?でも、ないんですよね不思議なことに。

――ドラマを見ていると、みなさんが楽しんでいらっしゃる空気が伝わります。
リリー:それさえ伝わってくれたら、このドラマはある程度もう成功しているのかな。昔、久世光彦さんとかが撮っていた頃のドラマ内での遊び方みたいな、最近だとこういう雰囲気のドラマはあまり見られないですよね。
僕は、久世さんの『ムー一族』(※TBS系列で1978年から1979年に放送されたホームドラマ)といったドラマを見て、「ドラマってすごい自由で面白いことができるんだな」って子どもながらに思っていたから、若い人たちがこの作品を見てドラマというものに興味持ってもらえたらうれしいですね。
――この独特な雰囲気には、出演者とスタッフが同じ場所に宿泊して撮影をした“合宿感”も影響しているのでしょうか?
リリー:合宿感もありますよね。あと、いつものレギュラーメンバーはもちろんですけど、共演者ともウマが合ったということですね。だからなのかわかりませんが、このドラマでプレビューを見ている俳優いなかったですもんね?
斎藤:いないですね。
リリー:普通は1シーン撮る度に自分の演技をプレビューでチェックする方もいるんですけど、この現場ではそんなことしない。撮るまではみんなでいろいろと意見を言ったり、脚本について話し合ったりはするけれど、いざ撮っているときにはもうないんですよね。