『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』第4話完全版
五十嵐唯織(窪田正孝)たちが働く甘春総合病院のラジエーションハウスに、黒羽たまき(山口紗弥加)の母・るり子(中田喜子)が突然訪ねてくる。
るり子は、いまだ独身のたまきを心配して、親同伴の見合いをセッティングしてくれるという結婚相談所のパンフレットを無理矢理たまきに手渡す。誰とも結婚する気がない、と反発するたまきに、「いま結婚しないと一生独身で孤独死まっしぐらだ」と言い放つるり子。
実は前夜、自宅マンションでぎっくり腰を起こし、他に頼る人がいなかったため小野寺俊夫(遠藤憲一)に助けを求めたばかりのたまきだったが、唯織だけでなく、整形外科医・辻村駿太郎(鈴木伸之)らにもたまきとの結婚を持ちかけるるり子にイライラを募らせる。
そんな中、堀田成美(臼田あさ美)が夫の誠司(忍成修吾)に付き添われて救急搬送されてくる。弁護士の夫を持ち、2人の子に恵まれた成美は、パティシエの仕事を辞め、今は育児に専念しているという。軒下吾郎(浜野謙太)や田中福男(八嶋智人)たちは、絵に描いたような幸せを手にしている美男美女夫婦を羨ましがる。
腹痛を訴えていた成美のレントゲン写真を見た甘春杏(本田翼)は、便秘だと判断した。成美は人より腸が長いこともあって便秘になりやすいのだという。
それを聞いた唯織は、便秘の原因の一つに大腸がんがあり、成美が40歳であることも考慮して、一度きちんと大腸の検査をしたほうが良いのではないか、と杏に進言する。
それを受け、杏は成美に大腸の内視鏡検査を勧めた。だが成美は、検査が1日かかると聞くと、子どもたちの世話があると言って断る。去年受けた便潜血検査が陰性だったこともあるが、そもそも検査が恥ずかしいという思いもあるというのだ。
それでも諦めきれない唯織は、広瀬裕乃(広瀬アリス)の言葉をきっかけに、気軽に受けられる検査はないかを考え始める。早期に発見していれば高い確率で治る大腸がんが、女性のがん死因率1位になっているのも、検査への躊躇があるからだった。
同じ頃、副院長・鏑木安富(浅野和之)は、503号室の前で前院長であり循環器内科長の大森渚(和久井映見)を待ち構えていた。鏑木は、なぜ渚が、院長というポストを捨ててワシントンへ渡ったのかを現院長・灰島将人(髙嶋政宏)が勘ぐっている、と告げる。
その理由が、この503号室の患者にあるのではないか、というのだ。しかし渚は、患者は自分の子どもだと冗談を言い、その場から去ってしまう。
その夜、小野寺を始めとするラジハメンバーは、るり子に食事に誘われて居酒屋を訪れる。その席でも、女の幸せは結婚して温かい家庭を持つことだ、と主張してたまきの相手探しに余念がないるり子。
たまきは、そんなるり子に呆れて先に店を出ようとした。その時、たまきを止めようとして立ち上がったるり子が、つまずいて転倒し、頭部を強打して意識を失ってしまう。
るり子は、ただちに甘春総合病院に救急搬送される。転倒するとき、るり子が手をつかずに倒れたことから、頭部だけでなく頸椎のMRI検査なども合わせて行われた。
その結果、るり子は、頭部に異常はなかったが、両腕の動脈が狭くなっており、胸郭出口症候群であると思われた。るり子が訴えていた肩や腕の痛みやしびればそれが原因だった。ミカン農家のるり子は、知らず知らずのうちに、肩に負担がかかっていたのだ。
幸い、胸郭出口症候群は姿勢などに気を付けていれば治るという。たまきは、ホッと胸をなでおろした。
病室で眠っているるり子に付き添うたまきが、「頼りない娘でごめん」と話しかけると、目を覚ましていたるり子が言葉をかけた。結婚を急がせようとしたのは、花嫁姿が見たかったからではなく、3年前に夫を失い、自分の体も思うように動かせなくなってきたるり子が、将来、たまきが同じような状況になったら誰が面倒を見てくれるのか心配になったからだった。
たまきが技師控室に戻ると、唯織が大腸検査について調べていた。どうしてそこまでするのか、とたまきから問われた唯織は、検査は病気を見つけるためだけにあるのではなく、検査をして健康だと分かるだけで元気になり、周囲の人たちも安心できると返す。
るり子のことを思い出し、同意するたまき。そのとき、ふとたまきが言った「大腸検査もレントゲンみたいに写真に撮れちゃえばいいのに」という言葉で何かを思い出した唯織は、杏とたまきに、協力を求めた。
別の日、成美を呼んだ杏は、CTコロノグラフィについて説明する。それは、腸内にガスを入れてCT撮影し、腸の中の3D画像を作成するもので、この検査方法なら下剤も通常の検査の半分程度、検査時間も10分程度で済むのだ。
しかし、成美の夫・誠司は、病気が見つかったわけでもないのに大袈裟だ、といって検査を拒否する。誠司に促されて帰ろうとする成美。そんな彼女を呼び止めたのはたまきだった。
たまきは、成美がずっとお腹に不安を抱えていたことを察し、そうした不安を取り除き、子どもたちのためにも体を大事にしてほしいと訴えた。成美は、たまきの思いに心を打たれ、検査に同意する。
検査は、成美の希望でたまきが行うことになった。唯織や軒下たちに指示し、検査を行うたまき。結果はすぐにわかり、成美の大腸からは何ら異常は見つからなかった。
すると誠司は、無駄な検査をして検査料を稼ぎたかっただけではないのか、とたまきたちを非難した。
そこに割りこんできたのは、こっそりたまきの作業を見守っていたるり子だった。るり子は、検査のおかげで、成美はこれから毎日、安心して元気に過ごせるのだからそのほうが幸せだ、と誠司に告げると、「良い病院に来てよかったですね」と成美に笑顔を見せた。
成美も、たまきたちに礼を言うと、たまきのことが羨ましかったと続けた。仕事に一生懸命で生き生きとしている姿に憧れたのだという。
仕事を終えた唯織が帰宅しようとすると、杏が追いかけてきた。杏は、成美の件を受け、患者が検査方法を選択できる大腸健診の冊子の見本を作ったのだという。それを見て、喜ぶ唯織。杏は、消化器内科の医師に提案してみる、とうれしそうに唯織に告げた。
退院することになったるり子は、たまきに会わずに病院を出ようとしていた。あとを追いかけたたまきは、結婚相談所のパンフレットを返し、こう見えても結構幸せだからもう心配しなくていい、とるり子に告げた。
するとるり子は、「もう十分わかったわよ」と言って笑顔を見せる。そこにラジハメンバーもやってきてるり子を見送った。るり子は、ここで自分らしく頑張りなさい、とたまきに言い残して去っていく。
数日後、ラジエーションハウスにるり子が収穫したミカンが大量に届いた。美味しそうに食べる仲間たちを見まわし、ミカンが入った段ボールを片付けようとしたたまきは、また腰を痛めてしまい…。
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