女優の忽那汐里が2018年にハリウッドに本格的に進出後、話題作に次々と出演しグローバルな活躍を見せている。

14歳までをオーストラリアで過ごし、2007年に『3年B組金八先生』(TBS)でドラマデビューしてからは、数々のドラマや映画に出演。2016年に出演した映画「女が眠る時」のウェイン・ワン監督からのすすめもあり、活動拠点を海外に移してからは、映画「デッドプール2」「アウトサイダー」「マーダー・ミステリー」などの話題作への出演が相次いでいる。

10月22日(金)、「Forbs JAPAN 30 UNDER 30 2021」授賞セレモニー登壇後の忽那に、海外で仕事をし続けること、日々の過ごしかた、大切にしている思いなどを聞いた。

<「Forbs JAPAN 30 UNDER 30 2021」授賞式の様子>

<忽那汐里 インタビュー>

「1本目に受かるまでは数年かかるかな…と覚悟をしていた」

――本日、出演作の『インベージョン』(※)の配信も開始されました。海外での作品出演が途切れることなく続いている状況をどう思っていますか?

海外はオーディション制なので、ずっとオーディションを受け続けています。もちろん落ちているものもかなりあって、受かった作品の中でお仕事をしている状態です。

アメリカで挑戦しようと思った当初は、「最初の1本目に受かるまでは数年かかるかな」と覚悟をしていましたが、こうして出演した作品が次の仕事につながっていくのは、運も味方してくれていたり、アメリカのマネージメントが一生懸命やってくれたり、いろいろなことが重なっているからだと思います。自分では、何でつながっていっているのかはわかりません(笑)。

※Appleのオリジナル映像作品配信サービス「Apple TV+」にて10月22日(金)から世界配信が開始された。忽那は、日本を舞台にしたパートの主人公という重要な役柄を演じる。

――海外で仕事をする中で、大切にしていることは?

私の場合は、日本で十数年間俳優をしてからアメリカに行ったということもあり、いろいろな仕事を日本でさせてもらって培ってきた感覚があって良かったと思っています。自分の中で変えないようにしていることは、ちゃんと作品を見て決めるということです。

一見すると華やかそうな大作だとか、おいしい話に聞こえる作品があったとしても、自分はその作品のメッセージと重なるような思いがあるのか考えて、自分の感覚に合ったものを選ぶようにしています。それは、日本で仕事をしていたときと変わらず大切にしてきたことだと思います。

――精神面でも体力面でもタフさが求められると思いますが、気をつけていることはありますか?

そうなんです、正直まだそこのバランスが見つけられていなくて…。家族が日本に住んでいるので、まだ生活の拠点は日本にあります。海外での仕事がないときには家族のいる日本にいたいなと思いつつも、撮影は半年以上かかる長期のものが多くて。

仕事は順調にコツコツと積み上げ、クルーのみなさんとも良い作品を作り続けられていると思いますが、自分のプライベートや生活面といったところは、まだ慣れていっている最中かなと思います。

――撮影期間の代表的な1日の流れを教えてください。

向こうはユニオン(組合)が強いので、労働環境は厳しくてしっかりしていて、もちろん寝ずに撮影ということはない代わりに、朝がとても早いですね。どうしても朝が早いので、家に帰ってまだゆとりのある時間でも、そこからご飯に行ったり出かけたりはしません。

週2日のお休み以外は、朝の3時か4時に起きて撮影をして、戻って次の日の準備をして…ずっとその繰り返しです。結構、地味な生活をしています(笑)。

――貴重なオフの日は、何をしてリフレッシュしていますか?

私は人見知りですし、友達もそんなに世界中にいるわけではないので、本当に1人きりで過ごすことになってしまいます。やっぱり撮影期間が半年もあったりすると、最初の1ヵ月は美術館に行ってみたり映画を観たり、観光スポットをめぐってみたりするものの、残りの数ヵ月を1人で過ごすわけにはいかなくなってきます。

社交的にならざるを得ないというか、そうでないと撮影だけの寂しい生活になっちゃうので(笑)。 最近は、友達から友達を紹介してもらってなるべく友達を早く作って、ローカルの人にローカルの良さを教えてもらっています。そうやって毎回現場が変わっていくという感じですね。

――「これぞハリウッド!」と感じたことは?

控室として使用するトレーラーシステムや、オプション付きのケータリングではいろいろな食べ物があって…というハリウッドならではのこともありますが、やはり「プレミア」でしょうか。日本ではプレミアというと「完成披露試写会」が当てはまると思いますが、ハリウッドだとセレブレーションのような扱いですし、豪華で毎回感動しちゃいますね。

初号試写がない分、プレミアで初めて観客のみなさんと一緒に作品を観るのですが、みんなで一生懸命作った作品を、プレミアという場でめちゃめちゃ華やかに迎え入れるというのは素敵な文化だなと思います。

――では最後に、今回「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」を受賞したということで、30歳までにやっておきたいことを教えてください。

私は今28歳なので、30歳まではあと1年くらいしかないんですよね。でも、年齢に対して無頓着なので、焦りもなければ30歳を迎えるということにも1ミリもプレッシャーがなくて、30歳までに何をやっておこうということもなく。「あと1年で」と考えてみましたが、意外と満足していて何もないんだなと気付きました(笑)。