宮﨑あおいが、10月24日(日)14時~フジテレビで放送される『ザ・ノンフィクション「~奇跡の夏に輝いてピュアにダンス 待寺家の18年~」』の“語り”を担当する。
2003年から取材をはじめた本作は、「ピュアにダンス」シリーズとして、これまで6作を放送。その中で、2020年放送の『ザ・ノンフィクション「生まれてくれて ありがとう~ピュアにダンス 待寺家の17年~」』は、2021年日本民間放送連盟賞【番組部門】テレビ教養番組部門の優秀賞を受賞。
このたび放送される『ザ・ノンフィクション「~奇跡の夏に輝いてピュアにダンス 待寺家の18年~」』は、令和3年度(第76回)「文化庁芸術祭」参加作品となるなど、評価されているシリーズでもある。
そのシリーズの語りを、毎回務めてきたのが宮﨑だ。また、今回、挿入音楽を作曲家の日向敏文が手がけている。
<宮﨑あおい「子どもが先立つかもしれないというのは、どれだけ苦しいことか…」余命宣告“ダメ人間”の母への思い>
番組が18年間追い続けた待寺家とダウン症のダンサー・優の奇跡の夏の物語
今年、奇跡のような夏を迎えた家族がいる。『ザ・ノンフィクション』が18年間追い続けた待寺家だ。番組が出会った時、13歳だった待寺優(まちてら・ゆう)さんはダンスに夢中で、弾けるように踊っていた。
ダウン症のある優さんは、“ダンスが好き”という一心で踊り続け、道を切り開いてきた。
これまで、自分の障がいに向き合い葛藤し、両親は優さんのサポートに対する考え方の違いで対立するなど、いくつもの困難にぶつかってきた。
そして時が過ぎ、少年は、今年31歳になった。ダンサーとしてのピークは過ぎ、今は、いつか両親がいなくなったとき、どのように自立し生きていくのかが大きな問題だ。
「ダンスをできる限り続けさせてあげたい」母と、「ダンスより自立への力をつけさせるべき」と考える父が対立し、優さん自身も将来への不安を抱えていた。
そんな2020年、人生最大のチャンスが巡ってくる。
障がいのあるパフォーマーたちを世界中の人たちが見つめる最高のステージ。東京2020パラリンピックの開会式への出演だ。一生に一度、あるかないかの大舞台。優さんはその舞台に立ちたいと願い、選考会に挑む。
しかし、世界を揺るがす新型コロナがその夢を阻む。果たして、優さんの挑戦の結末は…。
18歳で、はじめて待寺家の物語に触れて以来、6回にわたり“語り”を担当してきた宮﨑は、本作をどんな思いで読んだのか。収録を終えた宮﨑に聞いた。
<宮崎あおい インタビュー>
――“語り”を収録し終えた今の感想はいかがですか?
すごい歴史を見させていただいているな、と改めて感じました。すごい瞬間に立ち会わせてもらっているんだなと思いました。
――今回でシリーズは7作目。宮﨑さん自身が18歳のときから見守り続けているシリーズですね。
自分の人生が変わっていく中で、待寺家もどんどん変わり、世界もどんどん変わっていって…。担当しはじめた当初は、優くん目線だったものが、自分も子どもを持つようになり、お母さんの気持ちに共感しながら読むようになっていった気がします。
そして、今回は、お父さんの思いを強く感じる瞬間がたくさんあって。番組の中で一部、お父さんが撮影をされたところがあるのですが、ご両親は、優くんの人生や生き方をずっと考えてこられて葛藤もある中、お父さんがカメラを回しているということが、うれしくもあり、感慨深くもありました。また、お父さんがインタビューをしている時の優くんが、とてもいい笑顔をしているんです。それも印象的でした。
――読んでいてどのような気持ちになりましたか?
共感できるところが年々増えていくので、読んでいてもいろいろな感情になりました。お父さんとお母さんが、積み重ねて、積み重ねてここまで来た、ということをおっしゃっていましたけど、仕事も子育ても、きっと積み重ねた先にしか何も生まれないんだろうな、なんてことを思ったら、後半は、いつもですけど、泣きながら読んでいました。
――振り返って、特に印象的だったシーンはどこですか?
まずは、お母さんが優くんが生まれたときのことを話す場面です。(ダウン症ということがショックで)顔を見たくなくて、部屋に閉じ込めておいた、と話された部分は、今でもそうしてしまったことに苦しんでいらっしゃるんだということが…その気持ちが痛いほどわかりました。
あとは、優くんの30歳のお誕生日のシーン。あんなふうに「産んでくれてありがとう」なんて、子どもに言われたら、たまらないだろうなぁ、と。(事前に渡されたVTRでも)何回も見ているのに、何回目でも胸があったかくなるし、ギューッともなる場面でした。
――改めて優さんとご両親にはどんな思いがありますか?
ダンスが大好きだった優くんが、ダウン症と言われることが嫌で一度踊れなくなった時期があって、でも、それを時間をかけて受け入れて乗り越えていった、ということがありましたけど、そういった戸惑いを時間をかけて乗り越えるというのは、お母さんにとっても、お父さんにとっても、きっと同じことで。
やはり時間をかけた分、それを乗り越えた先にある喜びは、人一倍あるのかもしれないとも思いました。だからこそ、優くんはあんなにも優しかったり、強かったりもするのだろうなって。
今回、優くんには大きな奇跡が起こりましたけど、でも、これから先ももちろん優くんの人生もご両親の人生も続いていきますし、絶対にまたドラマチックなことが起こると思います。
どのようなことと出会って、どんなふうなことを感じ、大変なことが起こったときにはそれをどう乗り越えていくのか、見守っていけたらうれしいです。
――最後に、本作の見どころ、視聴者へのメッセージをいただけますか?
こんなに長く一つの家族を追いかけているドキュメンタリーは、なかなか無いでしょうし、見守っていらっしゃる方が多いファミリーでもあると思います。
今回はその家族が改めて一つになって進んでいくという姿が、見られると思いますので、ぜひ、ご覧いただきたいです。
私自身、“語り”を担当させていただくたび、収録後もしばらくは、そこに登場した方を思って過ごすのですが、今回もそうしたいと思います。