8月29日(土)にフジテレビで放送される『なんでこの人と結婚したんですか?』。世の中の「なんでこの人と結婚したのだろう」と感じてしまうカップルに直接話を聞いてみよう、という番組だ。MCの千鳥も「タイトルからちょっと失礼ですよね(笑)」と突っ込んだ、チャレンジングな番組が生まれたのは一体なぜなのか?プロデューサーの風間直美さんと総合演出の渡邊美香さん(共に共同テレビジョン)に話を聞いた。
番組では、結婚当時月収6万円だったミルクボーイ・駒場孝と“ぽっちゃりボディ”のメイプル超合金・安藤なつのそれぞれのパートナーにインタビュー。付き合った経緯、そして、魅力を感じ、結婚を決意した瞬間などたくさんの初告白を引き出した。
「出川哲朗さんの奥様は、どうやって“光る原石”を見つけたのだろう?」
――企画が生まれた経緯は?
風間:以前、出川哲朗さんと番組をやっていて。今やとっても人気者の出川さんですが、よく考えたら“抱かれたくない男”ナンバー1だったよなぁ、と。奥さんはどうやって出川さんの光るモノを見つけたのだろう?と考え始めたのがきっかけです。
渡邊:失礼ですよね!(笑)でも、風間から「どうしたらこんなにいい男が見つけられるんだろう」って言われて、「そうだ!思いきって、お相手に聞きたいことを聞いてみればいいんだ」と思いました。
風間:独身でいわゆる“負け組”と呼ばれている私たちが、素敵な人、すなわち“光る原石”を見極めたい!という思いで始まった企画なんです(笑)。
“毒”が全くない…「テレビとして成立しているのか?」
――駒場孝さん、安藤なつさんのそれぞれのパートナーがインタビューに応じ、手応えがあったのでは?
渡邊:いえ、それが…。実は「まずい!テレビとして成立するのかな」と焦りました。駒場さんも安藤さんも、それぞれのお相手がもっと辛辣なことを言ったり、よく結婚できたな~と思わせるエピソードがあったりするのでは、と予想していたのですが、全くなくて。
風間:そうなんです。番組を企画した段階では、意地悪に掘り下げていくつもりだったんです。 私はドキュメンタリーのディレクターの経験が長く、何か見つけては「なぜ?なぜ?」と根掘り葉掘り聞いてしまうタイプなのですが、 人間臭い「毒」が出てこなかったんです。
渡邊:私もワイドショーや情報バラエティの現場が長いので、つい「月収6万円の男性とよく結婚を決意できましたね?」という聞き方になってしまい…。しかも、打ち合わせの段階から何回も(笑)。でも期待した答えではありませんでした。
――「テレビとして成立しないかも」と思ってから、実際にどうしたのですか?
渡邊:待てよ?毒だけがテレビじゃない、優しい番組があってもいいのでは?と思い始めたんです。スタッフと話していて「この番組は“究極の結婚式VTR”を作る感覚なのかも」と。ご夫婦が幸せを感じる、そういう番組にしたら、きっと楽しいはずだな、じゃあ、思い切ってそっちに舵を切ろうと。
目指したのは“究極の結婚式VTR”
風間:こんなにも「ハート」とか「胸キュン」とか「ズキューン」なんていう言葉を使ったことないですよ(笑)。VTRには、かわいいイラストもたくさん出てきます。【幸せエピソード×かわいすぎるテイスト】に、スタジオの大悟さんが照れ気味だったのも面白かったです。
渡邊:千鳥のおふたりも結婚されていますが、あまり自分の生活を見せないイメージ。でも、妻のことや子供のことも、つい口に出していましたね。毒を全く生み出せなかったけれど、これは“嬉しい誤算”になりました。
独身のプロデューサーと総合演出が、「ちょっと意地悪に聞いちゃおう!」とスタートした企画が、面白い方向に転がったのは間違いない。完成した番組を見た渡邊さんは「私っぽくないな、平和だなー」と思ったとか。風間さんは「これは、令和版『新婚さんいらっしゃい!』です。次に同じ番組を作る機会があったら、芸能界だけではなく色々な分野の方に、また根掘り葉掘り聞きたいですね。今は、結婚のスタイルもさまざまですから、そのような話もできたらいいです」と熱く語った。
ちなみに、この番組に関わった制作スタッフは全員独身だという。渡邊さんは最後に「ここは学びの場。結婚できたらひとりずつ卒業する、ということにしています(笑)」と締めくくった。
週末の昼下がり。あなたも、MCの千鳥と一緒に、ちょっと照れながら“究極の結婚式VTR”を堪能したくなったのでは?
風間直美…演出・プロデューサーとして、ドキュメンタリーやバラエティ番組を手がける。『村上信五の情熱の鼓動』『羽生結弦 覚醒の時/ 進化の時 』『築地市場 魚河岸の誇りと涙』など。映画「僕がジョンと呼ばれるまで」(監督)。
渡邊美香…情報番組やバラエティ番組の演出・ディレクター。『ノンストップ!』『チコちゃんに叱られる!』など。