『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』第2話完全版

五十嵐唯織(窪田正孝)たちのもとへ、陸上大会中にてんかんの発作を起こして転倒し、頭部を強打したという12歳の小学生のCT検査依頼が入る。

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その小学生・速川走太(長野蒼大)は、陸上競技のオリンピック選手だった一郎(眞島秀和)と叶恵(入山法子)を両親に持ち、ひとつ年下の妹・花恋(白鳥玉季)とともに数々の大会で優勝するなど、日本陸上界の未来を担う才能として注目されている選手だった。

走太は、以前からてんかんの治療中で、甘春総合病院の脳外科に通院していた。走太のCT画像を読影した甘春杏(本田翼)は、薬物療法が上手くいかなくなっているため、外科手術を選択する可能性に言及する。そこで唯織は、少しでも治療の選択肢を増やすために、詳しい検査をしてはどうかと提案する。

同じ頃、広瀬裕乃(広瀬アリス)は、庭木の手入れ中に転落したという患者・柳田哲平(きたろう)の検査を担当していた。だが柳田は異常も見られないのに、いちいち大げさに騒ぎ立て、裕乃を困惑させる。

柳田は、なぜか裕乃のことを「アカネ」と呼び、1人にしないでくれと懇願。実は柳田は、動物園の飼育員をしており、アカネというのは最初に担当したチンパンジーの名前だった。アカネの写真を見せられ、裕乃は憤慨する。

一郎は、担当の脳外科医・渋谷(野間口徹)から、追加の検査を提案される。原因部位の特定ができれば、外科的なアプローチが可能になるかもしれない、というのだ。てんかんが治る可能性があると知った走太は、検査を頑張ると一郎に約束する。

さっそく走太のSPECT検査と、ファンクションMRI検査が行われた。そのデータをもとに、画像を照らし合わせる唯織。それを読影した杏は、原因部位が右足全体の運動野の広範囲に及んでいることを知る。

その部位を除去すればてんかんの症状が治まる可能性はあったが、同時に、走太は右足の機能を失ってしまうことも考えられた。それを知った一郎は、余計な期待をさせたと言葉を荒げ、手術を拒否してしまう。

裕乃は、検査を控えた柳田から呼び出される。左足にある小さなアザが痛むのだという。

そんな柳田の対応に悩まされていた裕乃は、廊下で走太に会う。治療以外の時間、走太は一郎の教えを守り、足の指を折り曲げる運動をするなどトレーニングを欠かさなかった。「努力は裏切らない」。一郎からそう教え込まれていたのだ。

同じ頃、院長の灰島将人(髙嶋政宏)は、副院長の鏑木安富(浅野和之)を呼び、前院長で循環器内科長・大森渚(和久井映見)に隠し子がいるという噂があることを伝える。渚が503号に頻繁に出入りしていることからそういう噂が立ったらしい。

渚がなぜワシントンに渡り、一介の医師として再び甘春総合病院に戻ってきたのかもわからなかった灰島は、503号室の入院患者を調べるよう、鏑木に依頼する。

一郎が手術を拒否したことを知った唯織は、このままてんかんの発作を繰り返せば脳に重い負担がかかり、最悪の場合、認知機能の低下などを引き起こす可能性があると考え、てんかんを治す選択肢があることを走太に伝えないままでいいのか、と一郎に訴えた。

しかし一郎は、歩けなくなるかもしれない手術を受けさせる親がどこにいるのか、と取り合わない。そんな2人のやり取りを偶然目撃した灰島は、技師の立場で患者の家族に意見を言うなんてあり得ない、自分の意思で技師として働くことを決めたのだから立場をわきまえないなら出て行け、と唯織と上司である技師長の小野寺俊夫(遠藤憲一)に怒りをぶつけた。

その頃、ラジエーションハウス内では、整形外科医の辻村駿太郎(鈴木伸之)が杏を美術館デートに誘おうとした話題で盛り上がっていた。情報の出どころは田中福男(八嶋智人)だ。

するとそこに、柳田が裕乃を呼んでいるという知らせが入る。今度は、むくみが気になるらしい。裕乃は、レントゲン検査でも異常が見つからなかったことから、走太のように治したくても治せない患者もいるのに、と呆れる。だが、話を聞いていた唯織は、自分が見てくる、と言って柳田のもとへと向かった。

退院した走太は、さっそく練習を再開した。だが、その最中に再び発作を起こして倒れ、甘春総合病院へと搬送されてしまう。唯織は、杏のもとを訪れ、走太に治療の選択肢があることを伝えるべきだと主張する。子どもの人生を決め、その責任を背負えるのは親だけだ、という杏に対し、唯織は、治療の可能性を最大限に広げ、患者に提示できるのは我々だけだ、と返す。杏は、唯織との話を打ち切り、部屋を出た。

同席していた辻村は、杏のあとを追いかけ、美術館に行かないか、と誘った。辻村は、そういう気分になれないという杏に、こういう時だからこそ息抜きが必要だと告げ、夜の7時に美術館で待っている、と続けた。

裕乃は、仕事の後もてんかんに関する勉強を続けていた。そこにやってきた小野寺は、柳田のことを切り出す。柳田は、大袈裟に騒ぎ立てていたのではなく、左大腿骨静脈内に血栓があり、あと少し発見が遅れていれば危険な状態だったのだ。唯織が担当医に頼み込んで超音波検査をして見つけたのだという。

小野寺は、ショックを受けている裕乃に、1人の患者にとことん入れ込むのはお前の良いところだが、技師として何が一番必要なのかもう一度考えろ、と助言した。

裕乃は、柳田の病室を訪れる。裕乃は、柳田に謝り、一つのことに悩んでしまうと上手く感情のコントロールが出来なくなる、と打ち明けた。すると柳田は、チンパンジーが時折見せる表情――グリマスの話を始める。柳田が持っていたアカネの写真は笑っているように見えるが、実は笑っているのではなく怖がっているのだという。

裕乃を最初に見た時、柳田は、そのぎこちない笑顔がアカネにそっくりだと思ったらしい。「きっと人も同じ。見えている顔と心の中は違う」。柳田は、そう裕乃に告げた。

杏は、廊下で陸上雑誌を読んでいた花恋に気づき、声をかけた。すると花恋は、「お兄ちゃんは嘘つきだ」と言って走りだってしまう。

杏がラジエーションハウスを訪れると、唯織と他の技師たちが走太のことでまた口論していた。何を選ぶにしろ、自分で決めないといつか必ず後悔する、という唯織。それを聞いていた裕乃は、柳田の話を思い出す。裕乃は、ずっとてんかんに苦しんできた走太の本当の気持ちは誰にも分からない、だからこそ彼自身の声が聞いてみたいと杏たちに伝えた。

その言葉に心を動かされた杏は、裕乃とともに一郎たちのもとへと向かった。

杏と裕乃は、一旦帰宅しようとしていた一郎たちを呼び止め、手術の件も含めてこれからどうしたらいいのか、走太も含めて話し合おうと提案する。裕乃は、走太が嫌な顔一つせず真剣に検査を受けていたことに触れ、その思いに応えないまま大人たちだけで勝手に決めてもいいのか、と訴えた。すると、話を聞いていた花恋が、「パパはいつも命令ばっか。お兄ちゃんの気持ちなんか全然わっててない」と言い出す。するとそこに、走太が再び痙攣を起こしたという連絡が入る。

病室に駆けつけた一郎たちは、落ち着きを取り戻した走太に、手術のことを伝えた。そこにやってきた唯織は、走太がどうして頑張れるのか、その理由がわかったと話し、彼のインタビュー記事が掲載されている陸上雑誌を示す。そこには、走太の座右の銘として「努力は絶対に裏切らない」という見出しがあった。続けて唯織は、てんかんの発作が死の恐怖を味わうこと、そして発作が起きていない間も、次に起きたらどうしようかと怖くなっていくその心情に触れ、どうしたいのか自分自身で決めて良いと思う、と走太に伝える。

すると、てんかんを治したい、と即答する走太。てんかんだけは、自分がどんなに努力してもどうすることもできない、というのだ。続けて走太は、お父さんの夢を叶えてあげられなくてごめんね、と謝った。その言葉を聞いた一郎は、思わず走太を抱きしめ…。

杏と渋谷は、走太の画像データを見ていた。それは、小野寺たちがずっと修正作業を続けて作り上げた、原因部位を絞った画像だった。渋谷は、これがあれば左足のダメージを最小限にして手術できるかもしれない、と喜んだ。

裕乃のもとへやってきた一郎は、家族が向き合えるきっかけを作ってくれた、と礼を言う。この先、走太には苦労が待っているかもしれないが、それでも父として「努力は絶対に裏切らない」と教えていきたい、と言って去っていく。

杏は、辻村とのデートの約束を忘れていたことを黒羽たまき(山口紗弥加)から指摘され、慌てて美術館へと向かった。すでに閉館時間を迎えていたが、辻村は駆けつけた杏の姿に安堵し、待っている間に確信したといって、好きだと告白する。

裕乃は、柳田の病気の件で唯織に礼を言い、気づけなかったことへの後悔を口にする。そんな裕乃に唯織は、自分も一郎を怒らせることしか出来なかった、走太の気持ちを引き出すことが出来たのは裕乃がいたからだ、と返す。唯織の言葉に心が揺れる裕乃。検査に向かおうとした唯織を追いかけた裕乃は、一緒に行かせてほしい、と頼んだ。

一郎は、プレゼントを持って走太の病室を訪れる。それは、リハビリ用のシューズだった。走太の笑顔がこぼれる。

その頃、仕事を終えた小野寺やたまきたちは、辻村とデートしている杏の噂話をしていた。それを偶然聞いてしまった唯織は、ショックを受けて立ち尽くし…。

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