<コラム>『ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~』第1話

僕の、一番好きな監督は、この『ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート~』を担当している、鈴木雅之監督です…。

(注意:思い出話始まります。結構長いです。)

最初に監督を意識したのは、のちに“結婚3部作”と呼ばれる1997年の作品、草彅剛さん瀬戸朝香さんW主演『成田離婚』(フジテレビ)でしょうか。(のちの2000年『お見合い結婚』(フジテレビ)、2001年『できちゃった結婚』(フジテレビ)と併せて、“結婚3部作”なのです。)監督が演出する、シンメトリー(左右対称)な画面…その中で、登場人物がカメラ目線でしゃべる!人物がドアップ!エキストラもドアップ!しかもドアップ連打!!そして同じシーンなのに、後ろから前から、右から左から、なんなら上からも撮るフリーダム!!!…という、それまで、“お話”にしか注目してこなかった僕が、ユニークな“画面”にも、魅かれていった…。こんな面白い映像があるんだ!と、テレビドラマの奥深さに気づかせてくれたのが、鈴木雅之監督なのです。

だから、僕はそれから、監督の作品を追い続け、映像関係の大学を選んだのも、学校紹介に載っていた大学教授のコメント…「注目している人物:鈴木雅之監督」と、書いてあったから…僕と同じじゃん!!気が合うじゃん!!(何様)と思ったから…なのです。僕の人生は監督と共にある…と言っても過言ではありません。

で、そんな大好きな監督作品の中で、一番の思い出は、2002年7月期から2003年1月期にかけての連続3作。『ショムニFINAL』(江角マキコ主演/フジテレビ)、『天才柳沢教授の生活』(松本幸四郎=現・松本白鸚主演/フジテレビ)、『熱烈的中華飯店』(鈴木京香主演/フジテレビ)です。この3作、何がすごいかって、大抵、鈴木監督は年1でしか担当作品なかったのに、やたらこの年に限って、新作撮るじゃん!!ってのはもちろん、どの作品も個性的で、色合いも違って、やっぱり大好き!!…ってだけでなく、この3作の何が、僕を、ことさら、思い出深くさせるのか…と言うと…。それは、なんと、どれも、第1話の、オープニングが、“地球”!!!!!だからなのですッ!!(鼻息)『ショムニFINAL』は、急に始まるオープニングタイトルが地球!『天才柳沢教授の生活』は、教授の規則性を表すように秒針と共にカチカチと動く地球!!『熱烈的中華飯店』は、隕石衝突を回避!という描写で地球!!!なのです!!(正確には、『ショムニFINAL』は月をチラ見せしてからの地球だし、『熱烈的中華飯店』は最初にタイトルバックがあるから、ど頭ではないんだけれど)テレビドラマ史上、3作連続で、ほぼ“地球”から始まる作品…って、かつてあったでしょうか?ね?ないでしょ?ね?ね?ないでしょ!?(誰に)だから、僕、その当時、その3作を目の前にして、あまりの歴史的発見に興奮を鎮めることができず、だけどその興奮の事実、あまりにマニアックすぎるもんだから、通じる人がいるはずもなく、誰に話すこともできず、話したとて「で?」と言われることが怖ろしく、そのまま、その興奮を無理に胸にしまい込み、おっさんになっていったのです…。

そこから時を経て、2019年1月…(え?まだ続きますけど?)。鈴木雅之監督×木村拓哉さんのゴールデン『HERO』コンビ作、映画「マスカレード・ホテル」が公開されるわけですが…。そう!こないだ、テレビでもやってたから、記憶に新しい…、え!?!まさか!?!と、さすがに、気づいた方も、数名、いらっしゃることでしょう!そう!!そう!!!そうなのよ!!!!!(急に)「マスカレード・ホテル」の、その、オープニングも、“地球”ーーーーー!!!なのーーーーー!!!!!!しかも、ちゃんと、あの、“地球”が、物語の、伏線に、なってた!!でしょ!?でしょ!?!!?気づいてる人、いるっしょ!?!?!(お願いだから誰か気づいて!)もうね、これね、僕、映画館で見てたんすけど、そのオープニング、ど頭の、“地球”ーーーーー!!!ってのに興奮しすぎて、周りの観客に、ねぇ?!みんな、見た?!!あの地球!!あの地球!!なんだよーーー!!!!って、叫びたくって、その後の映画の展開、記憶になかったよね。ニヤニヤが止まらなくって、もうあの“地球”オープニングですでに、大・満・足!だったよね…。(とはいえ、あの映画、最後の最後まで超面白いんだから、とんでもない)

それから、数ヵ月…(え?長い?まだあと少し続くよ?)。2019年6月…。なんと、長年の夢が、叶い。鈴木雅之監督、本人に、お会いすることができたのです!!!(感涙)

そして、これまで誰にも言えなかった、それら3作の“地球”と、集大成となる(?)「マスカレード・ホテル」の“地球”問題を、直接、お伝えすることができた…それもまさか、本人にお伝えすることができた…のです。鈴木監督曰く、『天才柳沢教授の生活』以外は地球だった記憶がなく(涙)、「マスカレード・ホテル」は「地球というよりは、日本だよね」とのこと…。でも、でも、その“地球”問題の興奮を、この字面以上に、異常なテンションと、興奮と、飛沫上等!でお伝えしたところ、「ちょっとバカにしてるでしょ!」と、返していただいた…。そのお言葉…、その時の笑顔…。一生忘れません…。僕…、鈴木雅之監督が、大好きなんです!!!なんで、みなさんも、大ヒット上映中の新作、映画「マスカレード・ナイト」も、ぜひ、ご覧になってください!!今回のオープニングは一体何なのか!?またしても、“地球”、なのか!?…は、いいとして、“大晦日のカウントダウン仮装パーティで繰り広げられる…”っていうあらすじの、“カウントダウン感”が、もう、ものすごいの!!ネタバレになるからそれ以上は言わない!!とにかく、大大大エンターテインメント作品なの!!!だから、観て!!!!!

っと、ついつい、今回は“ラジハ”だっつってっんのに、冒頭にタイトル入れただけで、以降ガン無視、思い出に終始…。終いにはいくらフジテレビ制作とはいえ、映画の宣伝まで入れてしまい、もうこの時点で2400文字…。大変、申し訳ございませんでした…。

で、そんな僕の(どんな)、ラブ!鈴木雅之監督!!目線で、今回の『ラジエーションハウスⅡ~放射線科の診断レポート』第1話、見たわけですが…。

いやー、完ッ璧、でしたね!!!

うん、なにが?って、そら、画面!画面の美しさよ!!(結局そこ)鈴木雅之監督の様式美炸裂!!毎シーン、毎画面くぎ付けで、まばたきすら許されない、“THE鈴木雅之画面”の連続!!「はー、ここでこんなシンメトリー」「右から!左から!」「上から!!!」「こっち見てしゃべってる!!」「何そのアングル!」「エキストラ多い!!」って終始興奮しきり。特に、今回、第1話特別映像だった!(かは知らんけど)“島”の描写がホントに美しかったですね。前作は病院内でのシーンが多かったから、大自然ロケってだけで、もうすでに新鮮なのに、その造形と、鈴木雅之監督らしい、丁寧にシンメトリーに切り取られた、“島”が、美しいのなんの…。あの前半だけで、もう僕、満足しちゃってたよね…。だって、あのシーン、エピソードとしては、ホントは別に、なくてもいい、ただ、五十嵐(窪田正孝)が杏ちゃん(本田翼)のお父さん(佐戸井けん太)に“わざわざ”会いに行ったってだけ。それだけのシーンだからね。その“わざわざ”を、“島”にする必要ないわけじゃん。だけど、鈴木雅之監督にどんな画を撮ってもらいたいか?前作にはなかった、新鮮な画はないか?…って、その答えが、“島”in鈴木雅之監督…ってわけなんですよね…(多分違う)。とにかく、あんなに美しい映像見せていただいて、眼福!ごちそうさんでした!!

しかも、物語的にも、シーズン1終了後、散り散りになってしまったメンバーが再び集結していく…。それぞれの今を、さりげなく伝えながら、改めて自己紹介をしつつ、“共通の思い”を持って、自然と集まっていく、あの感じ…、もう『ショムニ(第2シリーズ)』の第1話やないですかーー!!放送から2年も経っちゃうと、それぞれの特性とか忘れちゃうけど、ちゃんと適材適所の場所に散らばってるもんだから、もっかいメンバー紹介が自然とさりげなくできて、集まっていく時の、それぞれのメンバーの、目には見えない“共通の思い”が視聴者にはちゃんと伝わって、見事に最強メンバーが完成していく…。あの過程!!に、興奮しないわけ、ないじゃないですか!!ラジハファンにはおさらいの意味があり、初見の人にはわかりやすい紹介となり、鈴木雅之監督ファンにとっては『ショムニ』のエッセンスを感じる…。うーん、だからこそ、完ッ璧!!なのです。

あと、やっぱり前作『ナイト・ドクター』から続く医療モノで、群像劇、恋も青春もあり…って、ここまで、骨格一緒なのに、全く違う、全然別物の世界観!やっぱり、さすがの鈴木雅之監督!!(しつこい…。それだから、監督に、「バカにしてるんでしょ!」って言われるんだわ…でもでも、ホントにそうなんだもん!!)特に、冒頭のバイオリニスト(田中みな実)が倒れるあのシーン。通常の医療ドラマならもっとスピーディに、スタイリッシュに、カットを割りまくりの、医療モノ第1話あるある、最初の掴みエピソード(言い方)として、もっと大げさに演出するのが普通…。それなのに、さすがの鈴木雅之監督。実に落ち着いてて、世界観を損ねることなく、じっくり、丁寧に、淡々と演出してたのが見事だったわ…。

って、ついつい演出に終始して、お話の部分、無視しちゃってたけど、脚本もちゃーんと気が利いてたよね。渚先生(和久井映見)が、今回やたら推してた“七味”のくだりとか、前作から続くナレーション「ここに1つの○○がある…」を、今回は“手紙”にして、五十嵐らしいエピソードで微笑ましくオチつける…とか、ホントに第1話として、見事な出来栄え。

で、心配してた、新メンバーの田中さん(八嶋智人)も、もうすでにずっといたかのようなキャラクター性と馴染みっぷりで、灰島ちゃん(髙嶋政宏)(言い方…)も、え!?前作からいなかったっけ?って、ちょっとウィキペディアで確認したくらい、ラジハの世界観、鈴木雅之監督の画に、なんら違和感なく馴染んでたわ…。ダメな続編あるあるの、邪魔な新キャラが一切なくって、前回そのままの安心感がありつつ、だけど新鮮な空気感もある…その匙(さじ)加減が絶妙でした。

で、で、今回新たな縦軸(全体にまたがるエピソード)と思われる…かなり仰々しく、意味深に、ミステリアスなBGMと共に、何かある感満載でデコレーションされた、長い廊下をヌーン!!みたいなあの映像(わかります?)と、その奥から怪しげに現れた“謎の患者”…とほほ笑む渚先生…。渚先生は前作からきっと何かあるはず!あの落ち着きっぷりと、それとは裏腹の、意外と持っている権力…に、何かある!って、ずっと思ってたんだけど、それが、ついに、明かされる…のかな??それを表すための、まず最初のインパクトとして、ああいう映像=長い廊下をヌーン!!で表現しちゃう、鈴木雅之監督、ホント、もう、大好き!!一生ついていきます!!

って、ついつい主人公含む、キャラクターのあれこれに触れる前にこんな字数になってしまいました…。だけど、つまり、僕が言いたかったのは、物語を追いかけるのはもちろん、監督がどんな画を切り取るのか?にも注目すると、『ラジハ』がもっともっと面白くなるに違いない!ってこと。で、でね、それがまた、鈴木監督じゃない、違う監督さんの回も、それはそれで、楽しいんですよー…。(長くなるので自重)つまり、もう、全話、毎シーン、毎画面、何から何まで見逃せない!ってこと!!

text by 大石庸平(テレビ視聴しつ 室長)