発売30周年を目前にして、まさに「第三次ブーム」の真っ只中。世代を超えて愛され続ける『たまごっち』の「絶対に変わらない」コンセプトとは…?
変わらない卵形のアイコン 進化と伝統のバランス
時代に合わせて赤外線通信やWi-Fi、タッチ液晶などの機能を搭載し、進化してきた『たまごっち』。それでも、卵形に四角い画面、3つのボタンというコンセプトは初代から変わっていません。

ブランディング戦略を担当するバンダイの佐藤さんは「世代問わず、形状を見ただけで『たまごっち』と認識されているのが大きな強み。初代(機種)を懐かしむ親世代が子供に勧めたことなどが、結果的に若年層へのアプローチにもつながった」と話します。
お世話をサボると死ぬ 唯一無二の世界観
『たまごっち』はあえて物理的なデバイスの中で育てるコンセプトにこだわり、日本と北米を中心にこれまで全世界で累計約9760万個販売されてきました(2025年3月時点)。
バンダイによると、Wi-Fi接続機能は150カ国以上で利用があるといい、世界共通の遊びとして受け入れられていることも伺えます。
欧米では、コロナ禍に親が子供のために『たまごっち』を買い、友達に会えない孤独を埋めたという話が多く聞かれたそうです。
お世話を怠るとキャラクターが死んでしまう残酷な一面もありますが、そのリアルさが他のおもちゃと一線を画す、生き物のような温もりのある“唯一無二の世界観”を生み出しました。
「デジタル上の生き物だけど、本物のペットと同じように愛情を持って育て、お世話を楽しむ。そのコンセプトだけは絶対に変わらない」(佐藤さん)
進化の中でも“変わらない”ことが、30年におよぶ異例のロングヒットを支えていました。