9月1日(水)、映画「ムーンライト・シャドウ」完成報告会見イベントが行われ、主演の小松菜奈、共演の宮沢氷魚、佐藤緋美、中原ナナ、原作の吉本ばななが登壇した。

この作品は、1989年に刊行された吉本ばなな著「キッチン」に収録されている同名の短編小説が原作。突然訪れる恋人・等(宮沢)の死をなかなか受け入れることができない、主人公・さつき(小松)の一人称の視点で描かれる、「さよなら」と「はじまり」のラブストーリー。

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イベントでは、マレーシアにいるエドモンド・ヨウ監督がリモートでサプライズ登場する場面も。中国の通訳を挟みながら登壇者とトークを行った。

エドモンド監督は「僕が吉本ばななさんの『ムーンライト・シャドウ』を読んだのは22歳のころでした。吉本先生もそのころに本書を執筆したと聞いています。僕は日本文学にとても深い影響を受けて生きてきました。こうやって尊敬する先生の作品を映画化できてとても光栄です」とあいさつ。

また、「日本の早稲田大学に留学していた時に、新宿の本屋によく行って本を買ったり立ち読みしたりしていました。その時にも、吉本ばなな先生の小説を本屋で読み終わるようなことをしていました。日本に来て1年目の記憶では、それが一番深い思い出です」と振り返った。

それに対し吉本は「本屋で読み終わらないでください」とツッコんで、会場を笑わせた。そして、「もともと『ムーンライト・シャドウ』というのは、全部が夢だったのかもしれないというような話です。1人の女の子が見た悪夢かもしれないという話なので、監督の撮る映像の、夢のような感じが、本当にぴったりだったと思います。この人なら任せてもいいと心から思いました」と答え、エドモンド監督を喜ばせた。

エドモンド監督は小松について聞かれると「彼女がいなかったらこの映画は成立しなかったと思います。撮影期間中はあまり、皆さんと会話をしなかったと思うのですが、それは役者の皆さんに自由に演じてもらったり動ける空間を与えたかったからなんです。撮ったシーンを見返すたびに僕は毎日興奮していました。監督にこういう気持ちを与えてくれる役者というのはとても大切です」と回答。

小松は「監督が描くさつきと私が描くさつきというのは、少し差があったので、そこのすり合わせをしていきました。エドモンド監督はいつも楽しそうに笑顔で現場にいてくださったので、私たちは『エドモンドのためならいい作品にしたい』と思いました。監督がそういう風にいてくれたから、現場も和気あいあいとしながら、みんなで1つのものを作るパワーが集まりました」と明かした。

最後に、宮沢は「コロナ禍で、今皆さんの気持ちがちょっとダウンしていると思うのですが、この作品では必死に生きる人々が描写されています。皆さんの背中を押せるような作品になったらいいな、と思ってこの作品を作りました。この思いが皆さまに届いてくれたら、うれしいです。よろしくお願いします」と呼びかけた。

小松は「私がこの作品で好きなところは、過剰に描いていないところです。人間の内側にある、内面の感情だったりを監督が希望の光のようなキラキラとしたように撮っていただきました。この映画を見て『自分なりの一歩でいいんだな』と背中を押してもらった感覚になる映画です。見る人によって違うと思うのですが、私が届けたかったものが映っていると思います」と締めくくった。

<あらすじ>

突然訪れる恋人の死をなかなか受け入れることができない、主人公・さつき(小松)の一人称の視点で描かれる、「さよなら」と「はじまり」のラブストーリー。

主人公・さつきの恋人・等(宮沢)は、全てを包み込むような優しさを持つ一方、ふといつのまにか、その場からいなくなってしまうような儚さがどこか漂う。

等のその優しさと雰囲気にさつきは惹かれ、2人は恋人として幸せな時間を過ごしていくものの、等は突然帰らぬ人に…。

映画「ムーンライト・シャドウ」は9月10日(金)より全国公開。

配給宣伝:SDP、エレファントハウス
©2021映画「ムーンライト・シャドウ」製作委員会

最新情報は、映画「ムーンライト・シャドウ」の公式サイトまで。