9月1日(水)、映画「ムーンライト・シャドウ」完成報告会見イベントが行われ、主演の小松菜奈、共演の宮沢氷魚、佐藤緋美、中原ナナ、原作の吉本ばななが登壇した。

この作品は、1989年に刊行された吉本ばなな著「キッチン」に収録されている同名の短編小説が原作。突然訪れる恋人・等(宮沢)の死をなかなか受け入れることができない、主人公・さつき(小松)の一人称の視点で描かれる、「さよなら」と「はじまり」のラブストーリー。

主演を務めた小松は「私が生まれる前から、原作のこの作品はあって。ばななさんは24歳の時にこの作品を執筆したということで、私が役を演じた時が24歳だったので、すごく運命的な感じがします。私にさつき役を演じてほしいと思ってくださって、とても光栄です」と感謝。

また、「生と死がテーマでもあるので、素直に演じたいと思いました。初日の撮影はランニングシーンから始まって、最愛の恋人を失ってしまった後からだったんですけど。さつきは走ることを見つけて、どんどんと自分の心が薄くなっていく、さつきの気持ちが自分の心とリンクしたときに、すごく感動的で寂しい気持ちに襲われました」と振り返った。

そして、「すごく晴れたり、きれいな朝日が見れたりと、撮影の環境も味方になってくれて、呼吸をすることさえも身に沁みながら、全身全霊で演じたいと思いましたし、まっすぐに現実を見つめたいと思いました」としみじみと語った。

原作小説の発表から33年の時を経て映画化された感想を吉本は「小説を書くときは頭の中の登場人物の思いを書くだけなのですが、小松さんがさつきを演じてくれて、『肉体が肉体を失ったんだな』と。『若い肉体が、若い肉体の温もりを失ったんだ』というのが伝わってきて『あぁ、こういう感じを書きたかった』というのを思い出せました」と明かした。

これに対し小松は「安心しました。原作の方と試写を見ることはなかったので、目の前にばななさんがいるっていうのは緊張感に押しつぶされそうで。生みの親であるばななさんに『よかった』と喜んでいただけることが幸せです。一生懸命やってきてよかったと思います」と笑顔で答えた。

映画の内容にちなみ「忘れられない出会い」について質問されると、小松は「友達Aさんがよく話していた、地方で古着屋を営む友達Bさんがいて。名前も場所も教えてもらっていなかったんですけど、その地方にたまたま行ったときに、一番最初に入った古着屋さんであった男性が、『友達Aさんが話していたBさんかも!』と思い確認したら。まさしくその人で、こういう引き合わせってあるんだなと。衝撃的な出会いを感じました」回答。

宮沢は、「舞台で3度共演した大鶴佐助くんという俳優がいて、僕の1歳上なんですけど仲良しで。その人がいるから今の自分がいると思うし、舞台をやるきっかけになった人でもあるんです。その人に初めて会った日が印象的です」と説明。

続けて「若手だけで舞台のリハーサルをしようとしたときに、スタジオの入り口にだぼだぼの古着に真っ赤な靴下で、サングラスをしてオールバックのすごく怪しい人がいて『この人とは絶対に仲良くなれない。気持ち悪いな』と思っていたら、マネージャーさんが『彼が、大鶴佐助くんです』と紹介されて(笑)。『どうしよう…。この人とうまくやっていけるかな?』と思っていたんですけど。稽古初日からすごく仲良くなっちゃって。『人は見かけによらない』というのを改めて知りました」と回想した。

吉本は「(イベント中に)座るって聞いていなかったので、この洋服ちょっと気を抜くとパンツが見えるので、今内ももが痛い…」と冗談を言い、会場を笑わせながら「自分の子どもを産んだときです。お腹にいるときは、超音波で姿は見れても顔はわからない。なにか組み合わせの妙ですごい苦手な顔が出てきたらどうしようと思っていて。それで、赤ちゃんを見たらすごく好きな顔だったので、よかったなと。一番忘れられない出会いですね」と答えた。

<あらすじ>

突然訪れる恋人の死をなかなか受け入れることができない、主人公・さつき(小松)の一人称の視点で描かれる、「さよなら」と「はじまり」のラブストーリー。

主人公・さつきの恋人・等(宮沢)は、全てを包み込むような優しさを持つ一方、ふといつのまにか、その場からいなくなってしまうような儚さがどこか漂う。

等のその優しさと雰囲気にさつきは惹かれ、2人は恋人として幸せな時間を過ごしていくものの、等は突然帰らぬ人に…。

映画「ムーンライト・シャドウ」は9月10日(金)より全国公開。

配給宣伝:SDP、エレファントハウス
©2021映画「ムーンライト・シャドウ」製作委員会

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