8月30日(月)に開幕する舞台「Le Fils(ル・フィス)息子」のフォトコールと取材会が同日、東京芸術劇場 プレイハウスで行われ、主演の岡本圭人、共演の若村麻由美、岡本健一らが登壇した。
本作は、現代においてもっとも心躍る劇作家といわれ、自身が初監督を務めた映画「ファーザー」では、第93回アカデミー賞脚色賞を受賞したフランスの若手劇作家、フロリアン・ゼレール氏が脚本を、深い洞察による緻密さとスタイリッシュさを両立させるラディスラス・ショラー氏が演出を手がけ、世界13ヵ国で上演された話題作。
主人公のニコラ役は各国を代表する俳優により演じられており、若手俳優の登竜門と呼ばれている。
そんな傑作が日本で初めて上演されることになり、悩める17歳のニコラに岡本圭人が扮するほか、ニコラの実の母・アンヌを若村、そして、ニコラの父・ピエールを岡本健一が演じる。
この日、報道陣に公開されたのは3つの場面。
まずは、息子・ニコラ(岡本圭人)がテレビを見ているところへ、父・ピエールが帰宅するシーンからスタート。一つのスナック菓子を2人で共有しながら、穏やかな時間を過ごす親子のありふれた日常だ。
そこへ、ピエールの新たなパートナー・ソフィア(伊勢佳世)が入ってきて、ベビーシッターが急病で来られなくなったことを告げる。困り果てるピエールとソフィアを見かねたニコラが、自分が弟の面倒をみると提案するも、ニコラのことを信用できないソフィアはこれを拒否。
父の新たな家庭のために気を利かせたニコラだったが、ソフィアが自身へ抱いていた本心を知り、みるみる険しい表情になっていく。
圭人は穏やかな表情から不安顔、そして、怒りの表情と短い時間で感情の変化を巧みに表現した。
続いては、ピエールの家を飛び出したニコラが、実の母・アンヌ(若村麻由美)宅で母の帰宅を待つ場面。最初は強がっていたニコラだったが、母のやさしさや愛情にふれ、堰を切ったように思いを打ち明けるシーンだ。
徐々に距離をつめていく母と息子の姿に、胸をギュッと鷲つかみにされるような、せつない感情がおそってくる。
そして、最後はニコラとピエールが互いの本心をさらけ出し、口論の末、取っ組み合いになる場面。
実の親子が演じる“親子ゲンカ”は凄まじい迫力で、その目には怒りや憤り、憎悪などあらゆるマイナスの感情があふれかえっている。
2人の白熱した芝居に、劇場内には張り詰めた空気が流れた。
10代でデビューした圭人は早くも“アラサー”と呼ばれる年齢になったが、その表情や佇まいはガラスのようなもろい心をもった17歳のニコラそのもの。ティーンならではの危うさとピュアさを全身から放った。
一方の健一は、うまくいかない親子関係に憤りを感じながらも、その瞳の奥にはニコラへの愛情を秘めた父・ピエールを感情豊かに体現。「息子・圭人がどんな芝居で攻撃してこようとも必ず受け止める」――父として、そして、先輩俳優としての余裕と風格をその姿勢から感じさせていた。
圭人にとって念願だったという親子共演の本作。公演は9月12日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスで開催される。
最新情報は、舞台「Le Fils息子」公式サイトまで。