8月24日(火)、大阪松竹座 十月花形歌舞伎「GOEMON 石川五右衛門」の制作発表が行われ、片岡愛之助、今井翼が登壇した。

この作品は、伝説の大盗賊として知られ、歌舞伎にもたびたび登場する石川五右衛門が、“実は赤毛でスペインの宣教師の血を引いていた”という奇抜な設定とスタイリッシュな演出が展開する舞台。2011年に徳島県の大塚国際美術館「システィーナ歌舞伎」で行われた初演から10年、大阪松竹座では7年ぶりの上演が決定。

愛之助が初演から引き続き石川五右衛門役を演じ、五右衛門の父・神父カルデロンと五右衛門の修行仲間であった霧隠才蔵の2役を、今井が演じる。

愛之助は「また、私が五右衛門を務めさせていただくのですが、本当にこういう世の中なので舞台をやらせていただくことが本当に大丈夫なのだろうかと、しっかりと話し合いました。感染対策等しっかりとやらせていただいております。なので、安心して役に務めさせていただきますし、安心して見に来てください」と呼びかけた。

そして、「日本とスペインのハーフの五右衛門。赤毛の五右衛門をやらせていただいています。それにちなみ今回のお洋服も五右衛門色にしてきました(笑)。初めて歌舞伎をご覧になる方にはもちろん、普段から歌舞伎を見に来られている方にも、いろいろなお芝居のパロディが含まれていますので、それを見つけていただければと思います」とアピールした。

今井は「僕は今回で3回目の出演となります。僕自身はもともとフラメンコをやっていまして、僕が出演させていただく前年度の公演も、フラメンコのご縁から松竹座に見に行かせていただきました。そのときに、この五右衛門がスペイン人のハーフだと知り、奇想天外なストーリーながら歌舞伎の面白さを感じた作品でした。客席で見ていたら、愛之助さんのファンになりまして、おこがましくも終演後に楽屋にお邪魔しまして『僕はこの作品が大好きで、愛之助さんも大好きです』という話をしたら、『それならば来年一緒にやろう』という話になりました。愛之助さんは有言実行な方で、翌年の2014年に初めて出演させていただきました」と振り返った。

続けて、「僕にとって2回目の作品の際には、愛之助さんから『五右衛門の父・カルデロンだけでなく、歌舞伎の芝居もしてみないか?』というお話をくださいまして、僕も身を引き締まる思いがある中、『ぜひ、やらせてほしいです』と、歌舞伎のお芝居というのをやらせていただきました。今回は、見ていただける皆さんのエネルギーになるという作品のテーマとして、歌舞伎のお芝居をさせていただきます」と意気込みを語った。

愛之助、フラメンコの振り付けに必死!「翼くんは余裕な感じですけど…」

初演から10年目を迎えた感想を愛之助は、「新しいものを作るときは、もう一度、再演がかかるような作品を作りたいと常々思っています。この作品が再演されるというのは、本当にうれしいことです。こんなに同じ役を務めさせていただいたことはないですね。初演から10年歳を取ったということで、体の方もきつくなってきましたけど。出来れば同じメンバーでやっていきたいです」と笑顔でコメント。

舞台中に踊るフラメンコについては「毎回毎回パワーアップしていまして、レベルが上がった振り付けをしています。翼くんは余裕な感じですけど、僕らは必死なので(笑)。そのたびに課題を与えられて、それに張り付いていくという感じです」と語った。

3度目の出演について今井は、「1回目も2回目も今回も毎回緊張感というか、日本の伝統芸能を守られている方々の世界に僕自身を入れてくださるわけですから、もちろんフラメンコはライフワークでやってきていますが、歌舞伎のお芝居に向かっていくことは必死ですね」と明かした。

お互いの印象を聞かれると…?

「今回で3度目の共演ということで、お互いの印象」について質問されると、愛之助は「翼くんとたまたま行く美容室が一緒なんですね。僕が入る前に、翼くんがついさっきまで行っていたと聞きまして、普通なら『よろしく言っておいて』という感じになるか、メールとかLINEで『さっき美容室に行ってました。また会いましょう』みたいな感じになると思います。しかし、お手紙を置いていってくれて。なかなか最近手紙って珍しくないですか?翼くんの真面目さというか、思いがすごくうれしかったです。熱い男ですね」と絶賛。

それに対し今井は「『お先に失礼します』と非常にシンプルな内容だったんですけど、僕は好きだと思う方にはちょっとしたメモやお手紙を書くというのを、勝手ながら大事にしたいのでやらせていただきました」と説明。

今井は愛之助に対して「先日舞台の『ゴヤ -GOYA-』をやらせていただいたときに、公演のメインは東京でしたけど、幸いに名古屋で4日間公演することが出来まして、そのときも愛之助さんが日帰りで名古屋に見に来ていただきました。この世界の大先輩でもあり公私に渡って明るく気にかけてくれるお兄ちゃんと言ったら失礼ですけど、いろんな事をお話しできる先輩ですね」と語った。

<あらすじ>

豊臣秀吉による天下統一がなされたころ。キリスト教布教のため日本に訪れていたイスパニアの神父・カルデロンは、明智光秀の家臣の娘である石田局と運命的な出会いを果たす。2人は子宝に恵まれ、友市と名付け親子3人で幸に暮らしていていた。

しかし、秀吉が切支丹禁止令を打ち出したため、カルデロンは国外へ追放されてしまう。その後、石田局も命を落とし、天涯孤独の身となった友市。

時は流れ、友市は天下にとどろく大盗賊・石川五右衛門となっていた。

最新情報は、大阪松竹座 十月花形歌舞伎「GOEMON 石川五右衛門」の公式サイトまで。