『推しの王子様』第5話完全版
航(渡邊圭祐)は、杏奈(白石聖)に誘われて食事に行く。その帰り道、杏奈は、ずっと好きだった、と自分の思いを航にぶつける。突然の告白に動揺する航。
一方、泉美(比嘉愛未)は、航に対する杏奈の思いを知り、応援すると彼女に約束したものの、航の帰りが遅いことが気になりどこか落ち着かない。と、日付が変わったころになってようやく航が帰ってくる。どこかいつもと違った様子ですぐに自室に入ってしまう航。泉美は、そんな航の態度に違和感を抱き…。
「ペガサス・インク」では、新作乙女ゲーム「恋する森の中へ」のプロトタイプ版のチェックが行われる。その出来栄えに納得し、これでアルファ版の制作に入れると判断する光井(ディーン・フジオカ)。しかし泉美は、どこか引っかかるものがあるという。
そんな中、ゲームの登場人物であるイケメン男子の「気づいたんだ…この気持ちを、『好き』って言うんだって」というセリフを見つめていた航が、ふと「『好き』って何なんでしょうね…」とつぶやく。航が、いままで人を好きになった経験がないと知って驚く有栖川(瀬戸利樹)と織野(谷恭輔)。
有栖川たちは、泉美やマリ(佐野ひなこ)も巻き込んで、航に誰かを“好き”になる気持ちについて教えようとする。織野は“編む”と“織る”の違いから、有栖川は戦国武将の逸話から、“好き”について語るが、ピンとこない航。その中で、「そばにいたいという気持ち」「会えなくても、気がつくとその人のことを考えてしまう」というマリの言葉には有栖川たちもうなずき…。
その夜、泉美は光井とともに行きつけのバーを訪れる。そこで泉美から、航に“好き”という気持ちについて教えることになったと聞く光井。その際、泉美から、光井ならどう教えるか、と問われた光井は、一瞬戸惑いながらも映画のセリフを口にする。
少し飲み過ぎてしまった泉美たちは、ともにふらつきながら店を出る。と、ふいに泉美を呼び止め、壁ドンする光井。泉美は、何かを言いかけた光井に、あごの角度と手の位置がケント様と違う、と言って修正する。気持ちが届いていないと分かった光井は、諦めて手をほどくと微笑んで見せ…。
翌日、泉美は航に「ラブ・マイ・ペガサス」をやるよう命じる。ケント様から恋愛を学べ、というのだ。
その後、ミーティングを始めた泉美は、プロトタイプ版に感じた違和感についてスタッフに話す。泉美が感じた違和感は、物語初期の分岐点にあった。選択肢はどちらも同じように魅力的でなければいけない、という泉美。それに対して光井は、登場人物に自分の境遇に重ねたかのように一度は泉美の意見に反論するが、すぐに落ち着きを取り戻し、有栖川に修正を指示する。
昼、泉美は杏奈をランチに誘った。そこで、航に自分の気持ちを伝えたことを打ち明ける杏奈。それに対して航は、何も言葉を返さなかったらしい。杏奈が、高校時代から一途に航のことを思い続けてきたと知った泉美は、その気持ちは伝わっていると思う、と声をかけた。
「ラブ・マイ・ペガサス」をプレイ中だった航の元へやってきた有栖川は、好きな相手と一緒に行こうと八景島シーパラダイスの前売り券を買ったが誘えなかった、と打ち明ける。と、ふいに航を誘う有栖川。「航くんが『好き』を学ぶために。そうだよ、これは研修!」。有栖川は、航にそう告げた。
その夜、航の元には、有栖川作成したが架空のデートの詳細なスケジュールが届いていた。泉美は、そんな航に杏奈の話を切り出した。悩んでいるという彼に、難しいことは考えずに自分の思った通りに動いてみれば良い、と助言する泉美。そのとき航は、好きな人はいるのか、と泉美に問いかけた。泉美は、即座に「ケント様」と返すが…。
航と有栖川の架空デートの朝、思わぬ事態が発生する。有栖川の部屋で水道トラブルがあり、デートに行けなくなったというのだ。そこで航は、今日は休みだという泉美を誘うことにする。
泉美と航は、有栖川が考えたスケジュールを参考にしながら、園内のアトラクションを満喫する。
ふと、航が他の客とぶつかり、泉美に壁ドンしてしまうアクシデントが。泉美は思わずドキッとしてしまうが、すぐに我に返ると、今のは角度も手の位置もケント様と同じだ、と言って誤魔化す。
架空デートを終え、出口へと向かう際、泉美は、うれしい時も悲しい時もいつもケント様を思い浮かべて頑張ってきたことを思い出した、と航に告げ、その人の笑顔が浮かんだらそれが“好き”ということなんだと思う、と続けた。そんな泉美に、今日もケント様が浮かんだのか、と尋ねる航。泉美は、動揺を隠しながら、浮かんだと返したが…。
買い物をしてから帰るという泉美と別れた航は、有栖川やマリたちの言葉を思い出すと、ふいに閉園直前の遊園地に戻り、泉美が気に入っていた様子だった犬のキーホルダーを買い求めた。
あくる日、会社で有栖川に会った航は、泉美と一緒に八景島シーパラダイスに行ったことを報告する。意外な展開に驚いている有栖川に、泉美との間には何もないが、“好き”という気持ちについては何となくわかってきた、と話す航。
航と有栖川の会話を立ち聞きしてしまった光井は、泉美の部屋を訪れると、プライベートの時間を割いてまで航の教育をする必要はあるのか、と問いかける。航を育ててみたらどうかと言い出したのは自分だか、それはあくまでも賭けだったのではないか、というのだ。泉美は、突然航の話を持ち出す光井に戸惑いながらも、賭けに決まっていると返すと、彼も育ってきたのだから早くレアグッズを渡してほしい、と告げた。
だが、ドアの外では、キーホルダーを手渡そうとしてやってきた航が泉美たちの会話を聞いており…。
泉美が帰宅すると、航がリビングで荷造りをしていた。賭けの話を切り出し、怒りをぶつけた航は、働く場所を与えてくれたことには感謝もしているが、泉美にはがっかりした、と言い残して部屋を出て行ってしまう。