2021年2月より、5都市で舞台「Oslo(オスロ)」が上演されることが決定。坂本昌行が主演、安蘭けい、福士誠治、河合郁人の出演が発表された。
舞台「Oslo」は、2017年トニー賞の演劇作品賞をはじめ、オビー賞、ドラマ・デスク賞など数々の演劇賞を総なめにし、アメリカ演劇界を席巻した話題作。1993年、世界中の注目が集まる中、イスラエルとパレスチナの指導者たちが初めて和平交渉に合意した「オスロ合意」。その歴史的瞬間を生み出した1人の男と、彼の熱に突き動かされた人々の5ヵ月を描いた人間ドラマだ。
主演は、舞台やミュージカルで圧倒的な存在感と確かな演技力で魅せる坂本。共演は、安定した演技と華のあるしなやかさをもつ元宝塚トップスター・安蘭、映画・ドラマ・舞台とジャンルを問わず活躍し、幅広い役を硬軟自在に演じ分ける福士、A.B.C-Zのメンバーとしてライブやバラエティー番組にも出演し、俳優としてはドラマ、舞台にと躍進している河合が務める。
そして演出は、第22回読売演劇大賞最優秀演出家賞、第56回毎日芸術賞・千田是也賞を受賞するなど、その演出手腕が高く評価されている気鋭の演出家・上村聡史が担当。
史実をもとに描かれた重厚な人間ドラマが高い評価を得て、ニューヨーク、ロンドンで上演され、満を持して日本初演を迎える本作を、どんな演出で見せるのか。注目が集まる。
<坂本昌行 コメント>
ちょうど僕がニューヨークに行っていたときに上演されていたのがこの「Oslo」で、とても話題になっていたことを覚えています。題材になっているオスロ合意に関しては、ニュースでしか知らなかったので、いろいろと調べていくうちに、さまざまな背景がある作品にお声がけいただいたんだなと改めて認識しました。
当時の新聞記事に「忍耐と信頼」とありました。僕らも良く使う言葉だけれど、実際に経験された方から出る、重みを感じます。人が動くことで国をも動かす大きな話ですが、その人物の根底にある、軸にあるものを表現できたらと思います。
河合くんとは、作品で共演するのは今回が初めてです。同じステージに立ったら、当たり前のことですが、先輩後輩は関係なく、一役者として向き合いたいので、自由にやってほしいですね。
舞台上で生きる、生でストーリーが展開していくというのは、唯一無二の機会だと思います。その喜びを感じながら、この作品のストーリーをお客さんにお届けできたらと思います。
<安蘭けい コメント>
このような作品に呼んでいただき大変うれしく思っています。この作品の世界観を表現できるよう、よりわかりやすく伝えられるよう、世界の情勢も学びながら、稽古場で話し合いを重ねて作っていきたいです。
遠く離れた国に起こった実話で、なかなか馴染みのない話かもしれませんが、坂本昌行さん演じるテリエと私の演じるモナという夫婦の、ふたりで世界を変えようと一歩踏み出した“信念”の物語でもあります。国や世界という大きな話ではなくとも、自分ではなく人のために、という想いはきっと皆さん持っていらっしゃると思います。ぜひ劇場で、同じ時間を共有しながら、彼らの熱い想いを一緒に感じてください。
<福士誠治 コメント>
歴史的にこういうことがあったと演劇を通して知っていただけることや、立場の違う人たちがいろいろな感情をむき出しにしながら良き答えを導き出そうと繰り広げる討論、会話劇はとても魅力的で、刺激的な舞台になると思います。難しく考えずに、劇場に足を運んでいただけるとうれしいです。キャストの皆さんとの関係性、人間性の化学反応も楽しんでいきたいです。
舞台が出来なかった期間を経て、演劇をライブでお客様に届けるという行為が、とても贅沢な時間だと改めて知りました。来ていただくからには、非現実の世界を味わって楽しんでいただきたいと思います。僕もあまりプレッシャーに感じず、キャスト・スタッフとともに楽しんで、挑んでいきたいです。
<河合郁人 コメント>
台本を読み進めていく中で、セリフの量はもちろん、長セリフが数多あることに驚きました。しかも二役。二役とも交渉を行っていくという責任感のある役ですが、実際の生活では経験したことが少なく、使うことの少ない言葉も出てきますが、僕の役どころ、キャラクターを考えると、明るく出来るのかな、と想像しています。あまり硬くなりすぎずに、決めるところは決める、というのを出せたらいいなと思います。
また、坂本さんという舞台界において一流の先輩とご一緒できるのも心強いです。これまでミュージカルや舞台で沢山経験されたお話を聞かせていただき、近くで勉強したいと思います。
生で演じる舞台でお客様がいらっしゃるとうれしい、楽しいというよりも、観劇しに来て下さると”安心する”、と今年の舞台では感じられました。観に来られる方にも、安心して楽しんでいただけるように努められればと思います。
<あらすじ>
「リスクを冒す価値はある 成功すれば、世界を変えることになる!」
ノルウェーの社会学者テリエ・ラーシェン(坂本昌行)は、仕事上イスラエルやPLO(パレスチナ解放機構)に知り合いが多く、風土や人々を魅力的に感じていた。外交官の妻モナ・ユール(安蘭けい)のカイロ赴任に伴って中東各地を旅して回っていたある日、夫妻は2人の少年がにらみ合って武器を手にしている光景を見かける。憎しみにあふれた瞳。しかし、その奥に抱えているのは2人とも同じ恐怖なのだと気づいたそのとき、彼は決意する。
「中東に和平を。少年同士がこんなことをしないで済むところへ」
当時、イスラエルとパレスチナは長らく緊迫した状態にあり、公人同士が会えば法に触れる。PLOに至っては死罪と決まっていた。誰もが無茶な話だと一笑に付すなか、モナの上司であるノルウェー外務副大臣のヤン・エゲラン(河合郁人)に思いを説いて協力を得られることに。しかし、極秘裏に準備を進めていた両代表の面会がいよいよ明日に迫ったある日、大惨事が起きてしまう…。
そして、降りかかるさまざまな難局をどうにかくぐり抜けようと模索するテリエに、ついに、待ち焦がれていた連絡が入る。これまで非公式に進めるために民間人が派遣されていたイスラエル側の代表が、外務省事務局長のウリ・サヴィール(福士誠治)に代わる、と…。