世界中で愛され続けている普及の名作「ピーターパン」。
やんちゃで、ちょっぴり意地悪で、空を飛ぶことができる、いつまでも子どものままの男の子・ピーターパンが、ウェンディ、ジョン、マイケルという3人の子どもと出会い、夢の国“ネバーランド”で冒険を繰り広げる物語だ。
ミュージカル作品としては、1904年に初演されて以来、多数の公演を重ねており、日本でも、1981年に初演。榊原郁恵(※)が主人公のピーターパンを演じ話題となり、以降、笹本玲奈、高畑充希、唯月ふうからが演じ継いできた。
※榊原郁恵の「榊」は、正しくは木へんに神
そして今年、40周年という記念の年を迎えた日本版「ピーターパン」は、10代目となる吉柳咲良が4度目のピーターパン役を演じる。
フジテレビュー!!は、公演初日まで1ヵ月を切った稽古場を取材。和気あいあいとしながらも、熱の溢れるフライング舞台稽古の様子をリポートする。
この日行われていたのは、劇場のステージを使った“舞台稽古”。取材班は、「ピーターパン」の物語で一番の盛り上がりを見せる、ピーターパン(吉柳)とフック船長(小西遼生)ら海賊が対峙するシーンの稽古を主に見学することができた。
海賊に捕らえられたウェンディ(美山加恋)を助けるために、ピーターパンをはじめとする子どもたちがフック船長らに戦いを挑むシーンということで、場内にはほとんどのキャストが集結。
フック船長を演じる小西は、ウェンディらの父・ダーリング氏役も演じる。そのため、ダーリング家の末っ子・マイケル役の子役らと談笑する微笑ましい姿が。他のキャストも場内のあちこちで十分な距離をとりつつ談笑しながらウォーミングアップをし、ここまでの稽古ですでに意気投合している様子だ。
ステージには、暖炉や大きなドクロの旗、舵を操作するハンドル(舵輪)、樽などを配置することで、フックの船上を表現。
フック船長が「世界で一番悪いやつは!」と叫び、海賊たちが「フック船長!」と歌い、踊るシーンでは、演出の森新太郎氏から「もう少し右に…」などと一人ひとりの位置に関して細かく指示が飛ぶ。それに対し小西が「(体を斜めにし)僕がこう立つとどうですか?」などと意見交換する場面も見られた。
周囲の目を盗み、捕らえられていたウェンディと入れ替わったピーターパンが、フックに対し「ピーターパン!」と名乗りを上げるシーンでは、カムフラージュで身にまとっていた黒いマントが吉柳を困らせる。
バサッとマントを脱ぎ捨てたいところだが、足にマントが絡まりうまく放り投げれなかったのだ。うまくマントがさばけず苦笑する吉柳は、続くフック船長と剣を交えるシーンのフライングにも苦労している様子。右へ左へ飛び、着地し、剣を交え、また飛び…という動きが、思うようにできず悩んでいた。
それでも、「あ~次はこっちに動くんだ…」などと確認しながら1人イメージトレーニングをしたり、スタッフから「こうしたらフライングのタイミング合わないかな?」と提案された動きをしてみたり、試行錯誤を繰り返す。
その中で、森氏から「吉柳、(戦っているときに)なんで声を出さない!?」と指摘されながら、「飛んでるときに両足を曲げて!飛んでるように見えるから」とアドバイスを送られ、元気に「はい!」と答える姿は、4度目の出演とはいえ、初々しい印象だった。
対するフック船長役の小西も、アクションを細かく確認。吉柳のフライングに合わせ、殺陣の振りが変わることもあったが、すぐに対応。時には、フック船長のトレードマークでもあるハットが落ちてしまうほどの激しい戦いも。1度シーンを通すと、マスクを着用していることもあり、息が上がる。
それぞれがフライングと殺陣の確認を終え、改めてアクションシーンを通していると、フライングしながら迫ってくる吉柳の動きが思いのほか早かったのか、小西が芝居をしながら思わず「早い…」とボソリとつぶやき、笑いが起こる場面も。
その流れで剣の一部が吉柳に当たってしまったようで、「ごめんね」と声をかけていた小西。すると、吉柳は「大丈夫です!」とマスク越しにもわかる笑顔で返していた。
この日は他に、舞台転換の動きの確認も。今回は、セットのほとんどを出演しているキャスト自身で転換。ステージ全体を隠すことができるカーテンの開閉もキャストが担当するが、波をイメージするような動きが出せないかと演出の森氏から指示が飛んだり、開け方によっては自身のスタンバイが間に合わないためどうすればよいかなどとキャスト間で相談したり。キャスト、演出家をはじめ、関係者の努力と情熱で一つひとつ丁寧に作り上げている舞台だということを痛感させられた。
<舞台稽古のもようは動画でも!>
最新情報は、青山メインランドグループファンタジースペシャル ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」公式サイトまで。