映画「鳩の撃退法」の完成披露イベントが7月12日(月)、都内で開催され、藤原竜也、土屋太鳳、風間俊介、西野七瀬、タカハタ秀太監督が出席した。

本作は、第157回直木賞受賞作「月の満ち欠け」など、佐藤正午の数ある傑作のなかでも最高到達点との呼び声高い同名小説を映画化。

原作は、小説表現の臨界点を超えた先の読めないストーリーが展開されるため、映画化が発表されると、ネット上ではすでに原作を読んだ人や予告品を観た人から「これ、どうやって映画化するの!?」「予告編観たけどめちゃくちゃ気になる!」と話題を集めている。

天才作家・津田伸一を演じた主演の藤原は、観客を前にして「来月公開できるのをうれしく思います」と感慨深い様子で明かし、「僕らも現場で、難しいと思いながらやっていた内容。僕(津田)が書いた小説が現実のものになって、小説なのか、現実なのか、苦労したところもありましたが、ここにいるメンバーと監督のもと楽しく撮影し、ステキな仕上がりになったと思います」と自信をのぞかせた。

津田の担当編集・鳥飼なほみを演じた土屋は、「女優としても、映画ファンとしても、ここまで謎が多い作品はあまりないのではないかと思います」と明かし、「難しい状況ではありますが、心の中は自由ですので、自由に謎にまみれて、深堀り(物語の考察を)を楽しんでもらえたらと思います」とニッコリ。

家族と共に姿を消したバーのマスター・幸地秀吉を演じた風間は「このように完成した映画を皆さんに観ていただけることが、まず幸せだと感じています」と口にし、「この作品は、皆さんが観終わった後に『私はこう思う』など、いろいろな考察が生まれるような、皆さんの頭の中で考えていただいて進化していく映画だと思っています。観終わった後も物語のことを考えて楽しんでいただけたら」とアピール。

津田と秀吉が出会ったコーヒーショップの店員・沼本役の西野は、「この映画の台本をいただいた時に、私は1回ではすっきり理解できなく、複雑で。試写で自分で観たときに、『なるほど』って思うこともすごく多かったです」と振り返り、「何も知らない状況から体験できる皆さんがうらやましいです。おおいに楽しんでもらえたら」と笑顔を見せた。

昨年3月、コロナ感染者が出ていなかった富山県で撮り終えた本作。タカハタ監督は「スタッフ、キャスト、現地でお手伝いしていただいた皆さんに本当に感謝しています」としみじみ。

撮影期間中のエピソードを問われた風間は、「何が現実なのか、何が虚構なのか、観ていただいた方に答えがあるような作品。現場でも現実なのか、津田が書いた物語の中なのか、フワフワした中で撮影をするという初めての経験でした。それが奇妙な空気で面白かったです」と笑顔で回顧。

藤原とは初共演になるが、「会って一緒にお芝居できるのが楽しみだった」とはにかみ、「(役柄で)混じり合わない2人がシンパシーを感じながら、どこか違うペースでしゃべり続けるという、今までにないお芝居の感覚を楽しめました」と振り返った。

土屋も藤原とは初共演になるが、「私は竜也さんのお芝居を観て育ってきて。(昔)スタジオでお会いした時に握手してくださって、打ち上げで『這いあがってきたね』と言ってくださり、『もっと這いあがろう』と思って。今ここに立っています」と感慨深い様子で告白。

劇中では、藤原演じる津田とのバーでのシーンが多いが、「竜也さんのセリフのスピード感、リズム感に私自身もハラハラドキドキして。ちょっと舞台を観てるような感覚になるのも、この作品の見どころの一つかなと思います」と観客に呼び掛けた。

また、富山で、藤原に紹介されたバーに行ったら、そこに藤原がいたと言い、「すごく馴染んでいらして。さっきまで撮影にいたのに、また撮影に戻ってきたという感覚になりました」とはにかみながらエピソードを披露した。

藤原は苦笑いしつつも、「長期の滞在だったので、どこかいい店を見つけておここうとしていて。それを、太鳳ちゃんに教えました」と苦笑いしつつ、「コロナ前だったので、わりと撮影が早く終わった時は、みんなでいろんなお店に行って楽しい時間を過ごせました」と当時を振り返った。

また共演者との距離について「縮まりました。もっともっと富山いたかったですね」と明かすも、土屋は「竜也さんは、新幹線との戦いでしたよね?」と暴露。

20時45分までに現場が終われば、東京行きの新幹線の最終に間に合うとのことで、風間に「その時間に終わらせることを目標としてた?」と突っ込まれると、藤原は「いや、終わらせるとかじゃなくて」と弁明。

だが、タカハタ監督からも「現場(スタッフ)は、竜也さんを最終の新幹線に乗せないといけないと意識してましたよ」と追い打ちをかけられ、「帰ることしか考えてないみたいじゃないですか!?」とタジタジになりながらも「新幹線との戦いもありました」と認め、笑いを誘っていた。

本作は、謎だらけの奇妙な出来事が複雑に絡み合うストーリーということで、謎を感じた奇妙な体験を明かす一幕も。

藤原は「風間くんとお互いにとって謎の話がある」と切り出し、風間が「竜也くんと共演は初めてなんですけど、昔しゃべったことがあって。過去に竜也くんが出てた映画に出ていた僕の友人と電話をしていた時に、竜也くんが電話を代わって。『どうも藤原竜也です』って言うので、『風間俊介です』って返したら、『風間君か。ありがとう』って言って、電話をその友達に戻したんです」とエピソードを告白。

藤原は今朝、風間に言われるまでそのことを全く覚えていなかったそうで、風間に「あれなんだったんですか?」と聞かれると、「僕も謎なんです。何10年も前で、記憶に全くないです。風間くんと話したかったんだろうね」と苦笑いしながら答えていた。

映画「鳩の撃退法」は、8月27日(金)全国ロードショー。

最新情報は、映画「鳩の撃退法」公式サイトまで。