12月1日(火)、朗読劇「ななしのルーシー」に主演する浅丘ルリ子と共演の六角精児による取材会が行われた。
リチャード・コネルによる短編小説「レピュテーション」を原作にした本作。デマや嘘に惑わされやすい民衆の姿や“世論”の脅威と危うさを演出家・星田良子が独自のユーモアとサスペンスを加えて描く朗読喜劇。
約3年ぶりの舞台となる主演の浅丘は、共演相手、六角の印象を聞かれ、「ドラマ『相棒』もずっと見ていましたし、1人旅のお酒飲みながら(『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』)っていうのも見ていますし、舞台も一度ご一緒して、テレビでもちょこっとご一緒して…。なんていうのかしら、普通の俳優さんにはない、ちょっと持ってないものをたくさん持ってらっしゃる。麻雀もやりましたし、いろんなところでご一緒したんですけど、なんか変な人です」と、六角の独特な個性を、ユーモアを交えて評した。
一方で六角は、共演が決まった時の思いを聞かれ、「(女優生活)65周年というのもありますし、いろいろな方と共演なさってきた浅丘さんと、自分なんかが申し訳ないなって気持ちがまず最初に沸いたんですけど、ただ、自分のできることをやらせていただこうという気持ちにすぐなったので、これから稽古に入って、リーディングで自分のできることを確かめながら浅丘さんのそばにいたいと思っています」と語ると、浅丘も「私もそうです!」と呼応した。
本作は、朗読劇だけでなく、第2部には、トークと歌のコーナーも予定されており、六角は2部ではギターを持って登場の予定とのこと。ギターの伴奏の話になると浅丘は、「バスの中であなたが伴奏して、みんなで歌いながら2時間ぐらいずっと過ごしたことがありましたよね?」とかつて二人が共演した時の北海道公演での移動中のエピソードを披露。
六角も「旅の公演で回ったときですよね。そのときにみんなで歌おうということになって、まるで修学旅行みたいな感じでした。浅丘さんは忙しかったから、修学旅行に行かれてなかったんですよね?“私にとってはこれが修学旅行をみたいでうれしいわ”とおっしゃっていて。すごく楽しそうにされていた姿が今でも私、忘れられないので、それをできれば今回復活したいな、と思ってるんです」と語った。
また、どんな曲をやることになるのか、という話になると、浅丘は「私は裕ちゃん(石原裕次郎)と旭(小林旭)、両方の方と40何本、30何本という(数の作品)をやってまいりましたので、まず、旭は『ギターを持った渡り鳥』。それで裕ちゃんは、いっぱいありますけど、『夜霧よ今夜も有難う』ができたらいいな、と」と、2大スターの名曲を候補として挙げた。
今回描かれる物語は、およそ100年前が舞台になるが、現代社会にも通じるものを感じさせるテーマを描く。浅丘は「この物語が持つメッセージは、今の世の人々へこそ届けるべき」と語り、六角も「今も昔も人間の心理や流れは変わらないんだなという気がしました。フェイクニュースというものに巻き込まれていく群衆が描かれてるんですけど、そういう部分をフィーチャーしたということは今やる意義があるんじゃないかなと思いました」と作品が持つ現代性を語った。
最後に本作に向き合う思いを聞かれると、浅丘は、「朗読劇というのは私、2回目なんです。前回は1人だけでやったんですけど、こんな怖いことない。助けてくれる人は誰もいない。本当に朗読劇は難しいですね。舞台にしたとしても、すごく難しい今回の物語です。本当に今までやった…156本の中で一番難しいかな。だから私は今からドキドキしています。読み込んで、こういう方(六角)に助けていただいて、やろうと思っています」と心情を吐露。
六角は、「やはりこういうとき(コロナ禍)ですと、なかなか直に人が集まるというのは難しいということになるんでしょうけど、直に人間が動いてるのをしっかり見られる、舞台というジャンルはいつまでもなくならないと思っていますし、自分でお金を払って、自分の責任で見に行くという、自分の足で歩いて行くことの大切さみたいなものは、これから先も絶対なくならないものだと僕は信じています。また今回、浅丘さんという、65年やっていらっしゃる、活躍していらっしゃる方をしっかりと目にできるっていうのは、素晴らしいことだと思いますし、僕もそれを横で見ながらお芝居のお供をさせていただけるのは光栄だと思っています」と、本作への思い、舞台への思いを力強く語り、締めくくられた。
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<公演情報>
2021年3月5日(金)~7日(日) なかのZERO大ホールにて上演
公式HP:https://sunrisepromotionto.wixsite.com/nanashinolucy