7月17日(土)よりFODにて配信開始された、キヅナツキの大ヒットBL漫画が原作のドラマ『ギヴン』。2019年6月にフジテレビにてアニメ化、2020年5月にはアニメ映画化もされた人気作。今回は初のドラマ実写化となる。

高校生にして優れたギターの腕前を持つ上ノ山立夏(鈴木仁)と、天才的な歌声を持つ同級生・佐藤真冬(さなり)の恋模様を中心に、ドラムの梶秋彦(井之脇海)、ベースの中山春樹(栁俊太郎)を含めた4人組ロックバンド「the seasons」が織りなす青春群像劇だ。

撮影を終えた「the seasons」のメンバー4名に、撮影を終えての感想やお互いの意外な印象について聞いた。

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井之脇海「若者は身近に、大人は懐かしく感じる物語」

――それぞれの役どころと、演じる上で心がけたことを教えてください。

鈴木:僕が演じた立夏は、高校生とは思えないほどの、ギターの腕前を持っています。音楽への情熱を忘れていたんですが、偶然聞いた真冬の歌声に惹かれて、特別な感情を抱きます。大人びて落ち着いてますが、ギターに対するアツい思いは大切にしながら演じました。

さなり:ボーカルの真冬は、無口で何を考えているか分からない“不思議くん”だけど、実は素晴らしい歌声の持ち主。自分の感情を表に出したり、積極的に動いたりはしないので、思っていることを、すべて表情で表さないといけなくて難しかったですね。

ベース担当の春樹はバンドで最年長の大学院生。秋彦に好意を持つという設定だったので、撮影現場でも秋彦役の海くん(井之脇)に支えてもらっていました(笑)。実年齢でも僕が最年長なんですが、みんなしっかりしているので、僕自身は自由にお芝居ができたかなと思います。

井之脇:ドラムの秋彦は大学生ですが、クールでもっと大人に見えて、男女問わずモテます。大学ではヴァイオリンを専攻していて、バンドの精神的支柱のような役回りなので、僕自身も撮影現場では、みんなのことをちゃんと見るように意識しました。

――この作品の一番の魅力はどこでしょう?

鈴木:バンドメンバーの年齢がバラバラなところです。高校生バンドでも大人だけのバンドでもなく、ボーカルとギターが高校生で、2人を支えるベースとドラムが大学生・大学院生という構成が面白いなと思います。

さなり:僕は、真冬の音楽に対する気持ちや、歌詞が書けなかったり、でもライブで大成功したりといった場面が、すごく印象的でした。僕自身も音楽活動する中で、歌詞が書けなくなる時期があったので、真冬に共感できる部分があります。

バンド仲間、かつ男性同士の恋愛ということで、いろいろな感情が入り組んだ繊細な物語だと思いました。漫画だとコミカルに見える部分も、実写だと予想以上にデリケートに感じる。そこは、実写ならではの面白さだと思うので、注目していただきたいですね。

井之脇:物語に、メンバーの親など大人が出てこないのが印象的でした。若者を中心に話が進んでいくからこそ、若者はより身近に、大人の方はより懐かしい気持ちで、ストーリーに共感できるのではと思います。

――三木康一郎監督からは、どんな言葉をかけられましたか?

鈴木:今回、モノローグ(心の声)がすごく多かったので、「芝居をモノローグの中でつなぐことを意識して」と言っていただきました。それを心がけつつ、表情はワンパターンではなく、微妙な変化を表現できるように意識しました。

さなり:僕は初めてのドラマ撮影ということもあり、本当にいろいろなアドバイスをいただきました。「このセリフを言った後は、こう見上げるといい」とか、目線の使い方や細かな表情について指導いただき、ちょっとずつ理解していきました。

栁:僕は三木監督と何度かご一緒していますが、監督は“細部の動きをしっかり決めてから感情を乗せる”というお芝居を演出されるので、改めて勉強になりました。カメラマンさんなどスタッフさんへの指示も明確で、学ぶことが多かったです。

井之脇:監督は本番前に毎回「1つひとつね」と声をかけてくださいました。1つひとつの動きを大切にして、ちゃんと気持ちが動いてからセリフを発するように、丁寧に演じてほしいと常々おっしゃっていたので、登場人物それぞれの関係性も繊細に見せられているのでは、と思います。

栁俊太郎、LINE暴露され「すっげぇ恥ずかしい(笑)」

――“バンドらしさ”を出すために、何かしましたか?

井之脇:栁くんが最初に「グループLINE作ろうよ」って、みんなに声をかけてくれました。

でも、クランクイン前にみんな一言ずつ送ったきり、次はそれぞれが「昨日クランクアップしました」って打って終わりました(笑)。撮影でほぼ毎日会っていたのもあって、あまり活用できませんでしたね…。

鈴木:現場で直接しゃべっていましたからね。でもリハーサルとかで、みんなで楽器の音を合わせた時間が、バンド感を出すのに1番重要だったと思います。

井之脇:合わせられるタイミングは1〜2回しかなかったんですが、各々が自主練している姿を想像しながら、お互い見えないところで刺激し合っていましたね。

――改めて、撮影を経てのそれぞれの印象は?

さなり:グループLINEでそれぞれ「クランクアップしました」と送ったときに、栁くんが「!」をたくさん入れてて、すごく意外でした(笑)。どちらかというと「。」を使ったり、「!」は入れても1つだけ、絵文字はナシかなと思ってたので…。

栁:すっげぇ恥ずかしい(笑)。普段から、怒っていないのに「怒ってる?」と聞かれることがあるので、せめてLINEでは絵文字やマークを入れて“本当は明るい人だよ”って伝えたくて。

さなり:逆に仁くん(鈴木)は、「!」は使わないですね。もし、1つでも入れてたら驚きます(笑)。普段から、どこか冷めている感じ。

鈴木:「。」すらも使わないですね。でも、さなりも面白くて。『ギヴン』のキャラクター名は、春樹、立夏、秋彦、真冬と、みんな季節が入っているんですが、さなりは撮影終盤まで気づいてなかったんです(笑)。

さなり:そうですね(苦笑)。

鈴木:バンド名も「the seasons(季節)」なのに、全然気づいてなくて!気づいたときは「そういうことだったんですね!」って驚いていました。

さなり:結構、感動しました(笑)。

鈴木:あと、さなりは撮影が早く終わると、毎回めっちゃ笑顔で帰るんです。「バイバイ!」って幸せそうに。

井之脇:弁当食うのも、めっちゃ早いよね。俺はまだ半分くらいしか食べていないのに、さっさと食べてどこかへ行っちゃう。

栁:いつも、どこ行ってるの?

さなり:音楽聞きながら散歩しています。ずっと同じ場所にいるのが、あんまり好きじゃなくて…。でも、家では寝たりダラダラしたり、1人でずっと過ごすのも好きですよ。

<『ギヴン』ストーリー>

プロ顔負けのギターの腕前を持つ高校生の上ノ山立夏(鈴木仁)は、大学生の梶秋彦(井之脇海)と大学院生の中山春樹(栁俊太郎)の3人でインストバンドを組んでいる。

以前はあんなに音楽にのめりこんでいたのに、何もかもがくすんで見え始めていたある日、立夏が校内で誰にも邪魔されないいつもの場所へ向かうと、壊れたギターを抱えた佐藤真冬(さなり)に出会う。

仕方なく弦を直してやると、真冬からギターの弾き方を教えてほしいと頼まれる。はじめは渋っていた立夏だが、真冬の透き通るような歌声を聞いて衝撃を受け、「バンドに入らないか?」と誘うが、真冬から断られてしまう。いつしか立夏は、真冬の存在が気になり始め…。

最新情報は『ギヴン』公式サイトまで。

撮影:河井彩美