今年の大晦日もこの人はめちゃくちゃ忙しい!12月31日(木)に開催される「RIZIN.26」のリングサイドを巨大なカメラを3台持ちしながら、試合の全てを撮影する公式カメラマン、保高幸子さんをご存知だろうか?

保高さんはRIZINが旗揚げした2015年から公式カメラマンを務め、試合はもちろん、時間を見つけてはバックステージへ。さらに記者会見や公式イベントの撮影も行っている。

12月29日(火)、保高さんは、公式ビジュアルや放送にて使用されるファイターの写真を撮影していた。今回の「RIZIN.26」は出場選手の数が多いので、まさに分刻みのスケジュールで次々と撮影していく。

撮影自体に慣れていない選手が多い中、「いいですね!」「今の顔決まっていましたよ」と盛り上げる。またファイターらしい姿を1枚でも多く収めようと「ここに向かってパンチする感じ」「うわーっとにらむ感じ」など細かい指示も忘れない。

保高さんは、とにかくパワフル。大きな声で、よく笑う。撮影中もずっと立ち放しで、次から次へと選手がやってくるので休憩する時間はほとんどない。でも、楽しそう!

アトランタ五輪のレスリングを見て衝撃「何が起きたの?」

中学時代は陸上部に所属していたが、先生とうまが合わず写真部へ。高校2年のときにアトランタ五輪のレスリングをテレビで見ていて「グレコローマンの48キロ級の試合で、選手が宙を舞ったんです。何度も。何?何が起きたの?かっこよすぎる!」と衝撃を受けたという。

大学は日本大学芸術学部写真学科へ進学。ルールもわからなかったレスリングにとにかく魅せられてしまった保高さんは、レスリング協会へ電話し「レスリングの写真を撮りたいんです!」とまさにラブコールを。日大レスリング部の練習から撮影し始めた。そしてついに日本レスリング協会のオフィシャルカメラマンになってしまったというから驚きだ。

選手を撮り続け日本レスリング協会公式カメラマンに!

格闘技雑誌のカメラマンをしていた経験から、格闘技イベント「HERO’S」や「DREAM」などの撮影を任されていた保高さん。そのつながりで「RIZIN」公式カメラマンに。RIZINファンの間でも保高さんは知られた存在で、会場ではよく声をかけられている。「フレンチスリーブが好きなの~!」だそうで、RIZINのTシャツの袖をセルフカットして着用するのが“保高スタイル”になっている。

RIZINが信頼する保高さんの写真

笹原圭一RIZIN広報部長は「5年前の写真と比べるとその変化に驚きます。今の保高さんの写真は、試合で選手が次にどんな動きをするのか、ちゃんとわかっている撮り方。バックステージでも、選手それぞれのパーソナルな情報やバックグラウンドを知っているからこそ撮れる表情になっていると思います」と絶賛する。

保高さんに聞くと、そのこだわりが。「公式の写真って、芸術作品ではなく起きたことを全部撮る、そしてその写真全部が使えるというのが大事なのです。後から試合を振り返って、あの場面が重要だったね、とわかるシーンを撮らなくてはならないから、選手の動きは予測するようになりました。今、腕を取りたいだろうからこっち側に回ろう、とか。次はあっちに動いておいた方がいい画が撮れるな、とか。瞬時に考えて動きます」

「芸術作品ではなく“全部使える”写真を」(保高さん)

RIZINの試合当日は選手より早く現場に入り、選手が会場に入るところから撮影がスタート。1試合300枚は撮影するとのことなので、今回は全16試合で5000枚ほど撮影することになる。

試合当日は、必ず腕に黒いテーピングを貼ってくる保高さん。「疲れるし、その疲れを回復させる時間もないから。私は朝が弱いので、夜テーピングを貼って髪の毛も編み込んでから寝て、次の日に備えるんです(笑)」

保田さんが注目する大晦日の一戦は…やはり!

また大晦日がやってくる!保高さんの注目の一戦は?

「やはり太田忍選手と所英男選手の闘いですね。忍はリオ五輪でも撮影しているし、所選手はHERO’Sなどで撮っていたので。かわいいヤンチャ男子が、ベテランと闘う…なんとも感慨深いです。どっちにも勝ってほしいです」

そして、RIZIN公式カメラマンをいつまで続けたいですか?と聞いたら…なんと「70歳くらいまで!やれるところまで続けたい」そうだ。「どこも痛いところがないし、3年前よりもパワーアップしているような気がする」と、また笑っていた。取材班にもエネルギーを分けていただいた一日だった!