将来的なクラウドシフトを見据えた、新たな監査の仕組みを形に―データベース監査システム刷新プロジェクト
パーソルグループでは、中期経営計画2026において目指すべき方向性として「テクノロジードリブンの人材サービス企業」への進化を掲げ、グループの各事業・サービスがテクノロジー活用の取り組みを加速させています。
今回は、データベース監査システムを新しく最適な仕組みに切り替えるべく発足した「データベース監査システム刷新プロジェクト」をリードしたプロジェクトマネジャーの加来(かく)とプロジェクトリーダーの石榑(いしぐれ)にインタビュー。プロジェクト発足の理由や、今後の展望などについて聞きました。
パーソルホールディングスが運営するWebメディア「TECH DOOR」では、パーソルグループ内で取り組んでいるITプロジェクトを紹介しています。本記事と併せてぜひご覧ください。
データセンター廃止に伴うクラウド化を見据えたシステム刷新に着手
―まずはプロジェクトの概要から聞かせてください。
加来:これまで長年にわたり運用を続けてきたデータベース監査システムを、新しく最適な仕組みに切り替えるべく発足したプロジェクトです。このシステムの管理を担う私たちパーソルホールディングス グループIT本部と、グループ各社の中でもメインのユーザーであるパーソルテンプスタッフによる共同プロジェクトとして推進しました。
―どのような背景から、この取り組みが始動したのでしょうか。
加来:このデータベース監査システムの管理を2022年に別部門から引き継ぎ、システム管理を続けている中で、導入から時間が経っているハードウェアの故障が頻発しメンテナンスに多くの工数がかかったり、利用コストが膨らんだり、さまざまな課題が生じるようになっていました。
その中で新たな保守・運用体制を整備するとともに、なるべく手間をかけずに運用できる状態を実現するべく改善活動を実施しながらも「利用継続のデメリットが大きい」という私たちの考えと、「このままこのシステムを持ち続けていいのだろうか」というパーソルテンプスタッフの皆さんの課題意識が合致したことが、プロジェクト始動のきっかけになりました。
現在、データセンター廃止に向けてグループ全体でクラウド化を進めており、新たに構築する仕組みをオンプレ*1環境で利用可能な期間は短い状況でした。そうした事情をふまえ、なるべく手間や費用をかけずに切り替えられる方法をパーソルホールディングスでいくつか検討し、その中でもデータベースの標準機能とパーソルテンプスタッフで開発環境として用いているOracleCloud*2を活かした仕組みを採用することに。データベースはパーソルホールディングス、OracleCloudはパーソルテンプスタッフの管轄であるため、足並みを揃えて進めるためにも両社の共同プロジェクトとして取り組むことが決まったのです。
*1 オンプレ:サーバーやソフトウェアなどのIT機器を自社で保有・運用する形態
*2 OracleCloud:Oracle社が提供する、アプリケーション(SaaS)、プラットフォーム(PaaS)、インフラストラクチャ(IaaS)を備えたクラウドサービス
グループ会社との協業において価値を発揮し、困難を乗り越えて理想的なシステムのリリースを実現
―プロジェクトを推進するにあたって特に難しさを感じたのはどのような点でしたか? またその困難をどのように乗り越えたのか、意識された点についても教えてください。
加来:先に触れたデータベースの標準機能とOracleCloudの組み合わせによる構成は、当初から思い描いていたものではありませんでした。データベースの標準機能だけでは、取得したログを分析・レポートする仕組みが実現できないとわかり、どうにかこの仕組みを形にしようと検討を重ね作り込んだ過程が、今回直面した困難として印象に残っています。
石榑:私はコミュニケーションの取り方に難しさと工夫があったと感じます。プロジェクト開始当初は「どのタスクを誰が進めるのか」という両社の役割分担も明確でなかったために、タスクの進捗が思わしくない状況が生じていました。
この状況を改善するため、パーソルホールディングスのプロジェクトメンバーで週2回集まって進捗報告を行い、「このタスクが進んでいないので次の全体定例で聞いてみよう」「ここはチャットでの確認が必要だ」と認識合わせを意識して進めたことがポイントだったと思います。
加来:パーソルホールディングス内の定例ミーティングのほか、両社で進捗報告を行う全体の定例ミーティング、OracleCloudを扱うパーソルテンプスタッフの保守担当の方々と目線を合わせるための保守の定例ミーティング、ベンダーに入っていただいて技術的な点を見る定例ミーティングなど、さまざまなレイヤーで顔を合わせる場を設けて丁寧にコミュニケーションを図りましたね。
両社にそれぞれのプロジェクトマネジャーがおり、そのもとにプロジェクトリーダーとメンバーがいて、またベンダーからも見解をいただく……と関係者が非常に多い取り組みを主導するのが難しい点でもあり、この連携が成功の要因の一つなのかなとも感じます。
―このプロジェクトは部門内でも高く評価をされているようですが、どのような点が評価されたと思いますか?
加来:パーソルホールディングスのテクノロジー組織(グループIT本部、グループテクノロジー推進本部、グループデジタル変革推進本部)全体で、「取り組みを形にすること」を2024年のテーマとして進めてきました。今回、標準機能だけでは求める仕組みが実現できないとわかった中でも諦めず、プラスアルファのつくり込みをおこなって新たなシステムをリリースできたことが、この「取り組みを形にすること」を体現した成果だと評価いただけたのではないでしょうか。
また前例の少ないグループ会社との共同プロジェクトを完遂し、一緒にプロジェクトを進めた方々から「率先して取りまとめ、積極的にタスクを巻き取ってくれた」と評価の声をいただけたことも、一つのポイントだったかなと振り返ります。
―今回のプロジェクトを通して感じたこと、得られた学びや気づきを教えてください。
石榑:私にとっては、プロジェクトリーダーとしてはじめてグループ会社と共に取り組む機会で、初めは何をすべきかがわからなかった中、自分にできることを探して情報の漏れや認識の齟齬を防ぐ対話、議事録作成、進捗管理などを担当しました。
この経験を通して「この規模のプロジェクトではどのような頻度でミーティングが必要か」「この領域で情報共有が必要なメンバーは誰か」といったプロジェクトを進めるにあたっての考え方や、ベンダーさんとのやりとりの仕方など、基礎を学べた手応えがあります。
加来:私は、プロジェクトを進める中でさまざま生じる課題を一緒に乗り越えて「やりきった」という感覚を共有できた結果、パーソルテンプスタッフの皆さんとの関係がより良く、深くなったことが何よりよかったと感じます。
パーソルホールディングスの立場からではグループ各社の課題に対する温度感が見えづらいところも多いのですが、「ここの温度感が私にはわからなくて」と相談できる関係性ができたことはとても大きいなと。今回のプロジェクトは終わってしまいましたが、データベースも監査システムも使い続けていくものですから、何かあったときには意見交換や対話をしていきたいところです。
プロジェクトを進める中で「コミュニケーションをしっかりと取らなければ」「要望を汲み取らなければ」というプレッシャーや難しさもありますが、今回のように良いものを作って嬉しいお声をいただき、結果として良い関係性が築けると大きなやりがいを感じます。
石榑:「あるプロジェクトを完遂して終わり」ではなく、「一生お付き合いしていくグループ各社と共につくり上げる」「関係構築をしながら長期的にシステム改善に取り組める」というところ、そしてそれによってグループ各社に大きな影響を与えられるところは、パーソルホールディングスの立場ならではの魅力ですね。
“よりグループ各社に喜ばれるクラウド化のあり方”を皆で考え、力を尽くす
―最後に、ご自身の業務やキャリアにおける今後の抱負を聞かせてください。
石榑:未経験からIT領域の担当者となり、初めは会議で交わされる言葉もまったく理解できないようなところからのスタートでしたが、今回入社2年目でプロジェクトリーダーを任せていただきました。初めはそのスピード感に驚いたものの、「まずは試しに挑戦してみよう」「失敗したらフォローするから」という文化が当たり前のものとして根付く環境がせっかくあるので、早いうちにたくさんの経験をして、失敗するところは失敗して学んでいきたいなと思っています。
また現在はデータセンターの廃止に向けて動いており、今後グループ各社との機器撤去の調整などが発生するため、今回のプロジェクトで学んだ連携の仕方を活かして頑張っていきたいと思います。
加来:今回のプロジェクトで「クラウド化を見据えてシステムを導入し、新たなソリューションをつくる」という実績ができたため、この知見を、チームを超えて他の室にも積極的に横展開できたらと思っています。
また、最近では女性メンバーも増え、産休・育休を取得される方や、お子さんがいて時短勤務をしながらもさまざまなプロジェクトをリードして活躍される方が増えたので、先輩のロールモデルも増えて、長く勤めていけるという安心感も得られています。男性社員の育休取得者も増えていますし、多様な方々がはたらきやすい環境づくりにチームリーダーとして取り組みたいと思っています。
※2025年1月時点の情報です。
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