54歳の若さで亡くなった、歌手で俳優の中山美穂さん。
2024年12月8日、死因について所属事務所が「入浴中に起きた不慮の事故によるものだった」と明かしました。
歌手として生みの親が絶賛した「表現力」、華々しい成功の裏に隠された“本音”とは。ファンを魅了してやまない”歌手・俳優”誕生秘話を取材しました。
ヒット曲『世界中の誰よりきっと』誕生秘話 漏らした“本音”
1985年、14歳で人気ドラマに出演、俳優としてデビューを果たした中山さん。同じ年に、歌手としてもデビュー。
デビュー曲の『C』は、日本レコード大賞の最優秀新人賞を受賞するなど、“ドラマの主演をつとめ、主題歌も歌うアイドル”の先駆け的な存在として人気を博しました。
1986年に映画『ビーバップ・ハイスクール』で、不良高校生のマドンナ役を演じた時は、「ドラマ・映画・歌で一番好きなのは?」という質問にこう答えていました。
中山美穂さん(当時16歳):
全部好きです。歌、ドラマ。
――どんな役をやってみたい?
やっぱり、すごく今をときめく少女の役とかね、今度は反対にすごーい思いっきり本当のツッパリとか。今はアイドルしてて、大人になってから女優さんと、良い歌手になりたい。
まだあどけなさが残る少女が語った夢は、瞬く間に現実になっていきました。
中山さんを歌手として見いだした、元キングレコードの福住朗さんは、その圧倒的な“表現力”を感じたといいます。
元キングレコード音楽ディレクター 福住朗さん:
“歌を乗りこなす”、乗馬みたいなもんですよ。“歌を乗りこなす”って言い方を私勝手に作って言ってるんですけども、そういう感じだったと思います。
だから、とっても生き生きと、すごくかわいくてチャーミングで、楽しく歌ってるっていうのがありありと伝わってくるような歌い方。
(中山さんは)割とね無口な人だったんですよ、子供の頃は。なので、よく手紙を書いてくるんですよ。「これ合ってる?」とか「こっちの方がいい感じがするけどな」とかって感想も。
歌詞の意味など、手紙を交わしながら理解を深めあったことで、“歌を乗りこなす”歌手に成長。そんな二人の手紙のやりとりで生まれたのが…ミリオンヒットを記録した、『世界中の誰よりきっと』でした。
元キングレコード音楽ディレクター 福住朗さん:
とにかく詩を書かせたんです彼女に。自分の気持ちを残しておいて、思いついたらってノート持ってましたし、それに書いて。それでもう手紙の嵐です、私に対して。
「これ、どう?」って、多分そういうことが、自分がやるべき役割っていうふうなことが分かってきたんだと思う
(歌詞の冒頭)「まぶしい季節が」って普通夏かなと思ったりするじゃないですか、だけどそうじゃなくて、「クリスマスのイルミネーションがキラキラしている様子を、そういうふうに表現したらどうかな」っていうのは彼女のアイデアだったんですよ。画期的だったというふうに考えてますね。
今やラブソングの定番ともいえるこの曲の歌詞は、クリスマスの時期に放送されたドラマに合わせ、イルミネーションが彩る街の風景を、中山さんが感じたままに表現したといいます。
その後も、数々のヒット作に出演し、歌手としても俳優としても一時代を築く中、中山さんが本音を漏らした瞬間があったといいます。
元キングレコード音楽ディレクター 福住朗さん:
一回だけね。一回だけ、たった一回ですよ。「一生懸命仕事して、ママを幸せにするんだ」っていうのは言ってました、一回だけ。やっぱりママが相当苦労したってことは、自分で言わないけど、そういう文脈というかことで…言ったのかなっていう気がしてましたね。
「世間から自分が遠くに置かれているような」
2002年に結婚を機に、日本での仕事をすべて辞めフランス・パリへと移住を決断した中山さん。
移住から7年後の2009年にフジテレビのカメラが密着取材した際、日本での華やかな姿とは異なる“普通の日常”についてこう話していました。
中山美穂さん(当時39歳):
普通にこうやって買い物できるのがすごくうれしいです。
誰もがすることをやってます。当たり前ですね。今までそういうことをやらなさすぎていたんだと思うんですよね。だから…初めてできるようになって。
10代から、歌手や俳優として活躍し、多忙を極めていた中山さん。世間と自身との間に“イメージのギャップ”があったといいます。
中山美穂さん(当時39歳):
何事もイメージじゃないですか。イメージでガチガチに固められて。それは私が作ったものではないものの方が、多分確実に多いと思うので。その中にいるのが割り切れなかったですね、いつまでも。
もう一直線ですからね。あとは自分で判断するとか、選択するとかという以前にいろんな事が決められているので。ある意味レールの上ですしね。
すごく遠くに置かれちゃっているような気がして、世間から自分が遠くに置かれているような気がして、そういうのはちょっと寂しかったですね。
中山美穂さん(当時39歳):
小さな事を積み重ねていくコツコツ系なんですね、私は。人にとってはどうでもいいことがすごく幸せだったりするので。何て言うんでしょうね。
でもそうですよ、歴史ですよ。生きてきたということですよ、ちゃんと生きてきたんだなって今思えてるんだと思うんです。
(『めざまし8』 2024年12月9日放送より)
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