4月3日に死去した俳優・田村正和さん。その唯一無二の存在感から、“正和さま”と呼ばれ、テレビ史に数多くの名作を遺した魅力について、彼の大ファンの編集者・信子(現在アラフィフ)とライターの庸平(現在38歳)が、語り尽くす。
まずは、田村さんの代表作のひとつ『ニューヨーク恋物語』(1988年/フジテレビ)と『古畑任三郎』シリーズを振り返る。
<信子&庸平の田村正和さん追悼対談 パート1>
――『ニューヨーク恋物語』は、田村正和さん演じる雅之をはじめとする、ニューヨーク(NY)で暮らす8人の男女の群像劇でしたね。
庸平:今回、正和さんが亡くなって初めて見たんですけど、すごく面白いですね。
信子:素晴らしい名作です。『恋物語』のとき、庸平くんは何歳?
庸平:5歳くらいです。『とんねるずのみなさんのおかげです。』(1988年〜1997年/フジテレビ)のコント「それ行けマサカズ!」は、記憶にあるんですけど。
信子:石橋貴明さんが正和さまのモノマネをしていました。
庸平:コントを見ていても、なんとなく“オトナのドラマ”っていう印象だったんですけど、改めて見ると、エッチなシーンはそんなにないのですが、正和さんのシャツの胸元がすごく開いてて、その色っぽさに驚きました。
信子:目が合っただけで妊娠してしまいそうな、妖艶さがあるのよね。井上陽水の主題歌「リバーサイドホテル」と、本多俊之さんが担当した劇伴のサックスもエロス全開で。
庸平:元エリート商社マンで、裏社会にも通じているという、雅之のキャラクターは、設定だけ聞いたらちょっと嫌味な感じがするんだけど、正和さんが演じると全然そんな雰囲気じゃなくて。“役者・田村正和”じゃないと絶対に成立しないキャラクターですよね。
独立記念日の夜、花火が上がる中の美しいキスシーン
信子:最終回で、岸本加世子さん演じる明子が雅之に髪を洗ってもらう有名なシーンがあるんだけど、これがもう美し過ぎて。当時、高校生だった私も「ああ、私も髪洗ってもらいたい〜!」って思ったくらい。
庸平:おませな高校生ですね。
信子:仕事で失敗した雅之が昼間からお酒を飲んで、廃人のようになっちゃうんだけど、明子が献身的にお世話をして、ヒゲを剃ってあげるの。そのお礼にって、正和さまが髪を洗ってくれるのよ!うっとりしますよ。
庸平:劇中でも、女性は全員、正和さんに射止められてますよね。五十嵐いづみさん演じる女子大生も雅之を好きになっちゃう。
信子:しかも、その女子大生は、雅之の昔の恋人の娘なのよね。
庸平:そんなちょっとありえないような展開でも、正和さんが演じるから説得力があるんですよ。
信子:岸本さんは、樹木希林さんとのCMの影響でコミカルなイメージが強かったんだけど、さえなかった明子がどんどん綺麗になっていくのが、ステキだった。
庸平:最初は、雅之と結ばれる気配は全然ないんですけどね。とてもよくできたシンデレラストーリーなんです。
信子:また、ふたりのキスシーンが美しくて。独立記念日の夜、花火が上がる中、雅之の部屋で明子が床に押し倒されて、唇を奪われるの!花火と独立記念日、そして「リバーサイドホテル」!
庸平:なんですか、その夢みたいなシチュエーション。
信子:ついに一夜を共にした朝には、正和さまがベッドにオレンジジュースと花を一輪持ってきてくれるの。その正和さまの匂い立つような色香と言ったら…。
庸平:信子さん、すごい!よく覚えていますね。
信子:クラスメイトが光GENJIに夢中になっている中、私はウォール街で働くビジネスウーマン役だった桜田淳子さんのモノマネをしてましたから。ニューヨーカーが通勤の時、スーツにスニーカーを履くのも斬新で。憧れだった。
庸平:全編NYロケなんですよね、すごくないですか!?映像もきれいですし、NYの四季の移り変わりもしっかり映し取っていて。そこに立つ、NYに負けない存在感の正和さん。ご本人が『恋物語』が一番好きだったって聞いたことあるけど、納得です。
信子:脚本は、鎌田敏夫さん。真田広之さんや柳葉敏郎さんも意外なキャラでいい味を出していました。
庸平:桜田淳子さんもとてもおきれいだし、芝居も見入ってしまいました。篠ひろ子さんが出た『男と女 ニューヨーク恋物語Ⅱ』(1990年/フジテレビ)もあるけど、1作目とはまったく違う作品なんですよね?
信子:コメディタッチなのよね。その後の『新ニューヨーク恋物語』(2004年/フジテレビ)には、竹内結子さんも出ていて。
庸平:すごく面白い物語だから、今後、別の俳優さんでやってほしい気もしますけど…。
信子:正和さま以外の人がやったら、コントになっちゃうかも。私は、正和さまの作品では、『恋物語』が一番だと思います。
――庸平さんは、『古畑任三郎』シリーズはリアルタイムで見ていましたか?
庸平:そうですね。放送が終わった後も、何度も見ています。ゲストが毎回本当に豪華で、トリックも面白くて、大好きです。信子さんは誰がゲストの回が好きですか?
信子:加藤治子さんの「偽善の報酬」(第18回)。彼女が布の袋に小銭を詰めたもので、絵沢萠子さん演じる妹を殴り殺すの。名脇役タイプの加藤さんをメインに据えたのが、新鮮でしたよね。
庸平:姉妹のやり取りが生々しくて、僕も好きな話です。
信子:あとは中森明菜ファンだったから、第1回の「死者からの伝言」。明菜さんが演じた小石川ちなみのエピソードは、『古畑』に何度も登場するんです。彼女の飼い犬は古畑が引き取ったんだけど、その後、津川雅彦さんが演じた小説家(第32回の犯人)に預けたという設定になっていたり。松嶋菜々子さんが一人二役を演じた「ラスト・ダンス」(第42回)でも、ちなみについて古畑が語っていました。
庸平:そう!明石家さんまさんが弁護士を演じた「しゃべりすぎた男」(第14回)では、ちなみが無罪になっていたことが明らかになるんですよね。僕、いろんなことを考えてしまって寝られない夜には、『古畑』を見て頭を作品のセリフでいっぱいにするのが“入眠儀式”なんですけど、特にさんまさんの回はよく見ています。
信子:逆に眠れなくなりそう(笑)。
庸平:僕が好きなのは、緒形拳さんの「黒岩博士の恐怖」(第27回)。監督が僕の大好きな鈴木雅之さんで、ちょっと他の『古畑』とは違うテイストの作品になっています。
信子:唐沢寿明さんの「VSクイズ王」(第19回)も面白かった。「古畑任三郎vs SMAP」(第26回)も名作でしたよね。
三谷幸喜さんの脚本を信頼しているからこそ、ムチャぶりにも
庸平:SMAPやイチロー(第41回「フェアな殺人者」)は本人役じゃないですか。リアルな人物を相手に古畑というキャラクターを成立させるって、すごいことだと思います。それまで刑事役を断っていた正和さんは、『古畑』の脚本が面白かったから受けたそうですよ。
信子:古畑は、セリーヌの高級自転車にまたがって登場しますけど、正和さまを自転車に乗せようと考えただけですごい!しかも、(東京郊外の)分倍河原から自転車で通っている設定も絶妙で、本当に面白かった!
庸平:三谷幸喜さんの脚本を信頼しているからこそ、パンストをかぶるというムチャブリ(第3回「笑える死体」)にも応えてくれたんでしょうね。
先日、イチローさん、松嶋菜々子さんが出演したスペシャルドラマの2作が追悼放送になりましたけど、ぜひ、『古畑』を知らない若い世代に、ほかの作品も見てほしいです。
FODでは、『ニューヨーク恋物語』シリーズ、『古畑任三郎』シリーズほか、田村正和さんの出演作を配信中
BSフジでは、5月31日16時~『総理と呼ばないで』が放送される。詳しくはBSフジの公式サイトまで
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