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1990年の放送開始から今年で32年目となったフジテレビのアニメ『ちびまる子ちゃん』。

放送スタート当初からナレーションを務めてきたキートン山田が、3月28日（日）をもって番組を卒業、さらに声優業からも引退することが発表されていた。そんな中、キートン山田にとって、最後となる『ちびまる子ちゃん』の収録が行われた。

2月末、最後のアフレコが行われたスタジオには、キートン山田を慕う多くの人々の姿があった。TARAKOを始めとした『ちびまる子ちゃん』の声優やスタッフ、関係者などが、思い出を語らい、笑い合い、その都度、キートン山田は「あははは！そんなことあったっけ？」などと、楽しそうに盛り上がっていた。

そして、ほかの声優らが収録を終えた後に、キートン山田はナレーションブースへ。普段はひとりで行う収録だが、この日は、TARAKOが一緒だった。「いってきます！」と気合いを込めてブースへ。この日は、ナレーションに加え、あるセリフも収録して、最後の仕事を終えた。

フジテレビュー!!では、収録後のキートン山田を取材。動画では、メッセージとおなじみの「後半へつづく」をカメラ目線でもらった。

――今回のお話では、いつものナレーションとはちょっと違った登場をされますが、ナレーションと違い、工夫して表現したことはありますか？

ナレーション以外のセリフだったので…もともとナレーションよりセリフが好きなんですが、たった２言でしたが、難しかったです。でも、ナレーションでは出せない感情が出せて、役者に戻ったようでうれしかったです。

――これまで31年という長い期間、演じてこられましたが、一番の思い出といえばなんでしょう？

（原作者の）さくら（ももこ）さんが亡くなったことだね。実はさくらさんが亡くなったときには、僕の心の中で、「75歳になったら『ちびまる子ちゃん』を卒業させてもらう」って決めていたんですが、まださくらさんに言える段階ではなかった。

できれば今日、このときにさくらさんに言いたかったな。それが一番残念なことかな。実はさくらさんのお別れの会で、さくらさんの生い立ちをナレーションで語ったんです。TARAKOさんと2人で。でも、感謝するにはすでに遅く、一言「ありがとう」と言いたかった。ほかにも、亡くなった声優さんがいて。31年間ってそういうことなんだよね。

――ナレーション以外で演じてみたかった『ちびまる子ちゃん』のキャラクターはありますか？

ほとんど小学生の役だから、ないですが、“変なおじさん”とかやりたかったかな（笑）。そういうの好きだから。ナレーションは、本来苦手でやってきたから。ナレーションって声とか抑揚とか幅が狭くて、自分の間を作りづらい。尺にピタッと入れなければいけないし、自分を捨てないとできないし、「思い」を入れづらいので苦手意識がずっとありました。だから、いつも「なんとかしよう」という思いで、満足できなかったことが長く続けられた秘訣（ひけつ）かな。

――新しくナレーションを務められる方へひと言、お願いいたします。

まだ、どなたかわかりませんが、その人の世界で良いと思う。その方が僕も楽かな。潔く別の方だとわかるようにやってくれたら良いなと思いますね。「変わりましたよ！」という方が。これからは、お客さんとして見続けていきます。

――キートンさんの引退を惜しむ声がとてもたくさん寄せられているそうです。そんなファンのみなさまへメッセージをお願いいたします！

ファンのみなさんもですし、番組は大勢のスタッフで作られていて、特に『ちびまる子ちゃん』は31年間続ける上で、大勢のスタッフと関わってきたので、そのみなさん方に感謝したい。こんな長寿番組に出会うのは一生に一度あるかないかですよね。

ナレーションのお仕事の中で一番気を遣うのは『ちびまる子ちゃん』なんです。セリフの分量は少ないけど、勢いでできないから、体調とかも含めて一番気を遣う。この年までやってこられたことに、スタッフのみなさんに感謝です。