お笑いコンビ・天竺鼠が、1月29日（金）に単独ライブ「高級ジャンピングボレーライブ」を“無観客・無配信”で開催する。

もともとは同日に観客を入れて開催する予定だったが、緊急事態宣言を受けて中止に。天竺鼠本人たちの意向で、“無観客”のうえ、“無配信”で、“誰も見ていない”ライブという異例の試みへ舵をきった。

通常は有料配信のチケット代で開催費をまかなうところ、配信を行わないため、クラウドファンディングで費用の支援を募っている（2月7日23時59分まで実施）。

1月15日（金）にクラウドファンディングを開始すると、2時間ほどで当初の目標金額45万円に到達。その後も支援は増え続け、1月29日（金）現在、1187人のサポーターから総額270万9000円の支援を獲得している。

フジテレビュー!!は、そんな天竺鼠にリモートインタビューを実施。“無観客・無配信”でのライブ開催に至った経緯や、気になるライブの内容、クラウドファンディングの支援者に送られる各種「リターン」について、さらに近年勢いを増し続ける2人の今後についてなど、たっぷりと語ってもらった。

今回、リモートでの取材に応じてくれた天竺鼠。ムービーを撮影していることを告げると、川原克己は「上、着てきていいですか？」と、一旦フレームアウト。トレードマークともいえる“なすび”の被り物をかぶって再登場するという、サービス精神豊富な一面を見せた。

当初は有観客で開催予定だったライブが中止になったことについて、2人は「残念だけど、状況的に仕方がなかった」と振り返る。

配信をすることでネタの内容や使用する音楽に制限が生じてしまい、何よりライブの独特な空気感が伝わらないという恐れから、観客の有無にかかわらず、「配信をする」という考えはなかったという川原。「やるなら“無配信で”」と提案した際、スタッフからは「バカなのか？」という反応しか得られなかったそう。

相談を受けた相方・瀬下豊も、そんな川原の突飛な提案について、「最初はほんまにボケやと思いました」とコメント。「その案を通した吉本（興業）もすごい」と、事務所の柔軟さにも驚いたという。

そして、自腹を切る覚悟もあったが、「少なからず支援してくれる人がいるかも」と、クラウドファンディングで支援を募ることに。

支援者に送られる各種「リターン」の中には、3500円の支援で得られる「スタッフが携帯で撮影した公演動画」というものもあるが、これは10〜15分程度の短尺の動画。

そうした、ほとんど誰にも見られないライブだが、内容としてはこれまでで一番豪華になると語る2人。通常の単独ライブではネタを5、6本行うところ、今回は10本に。さらに「今一番忙しい」シークレットゲストも迎えるという。

クラウドファンディング開始前、「ライブ開催にかかる50万円がギリギリ集まるかどうか」と予想していたと、川原。フタを開けてみればその数倍もの金額に到達していた。「僕と同じように頭のおかしい人がたくさんいた」と語る川原に、瀬下が「そんなこと言うな」とツッコむ一幕も。

また、川原は「汗水垂らして稼いだお金を、なんの意味もない“無観客・無配信”のライブ支援に使ったことについて、育ててくれた両親へ感謝と謝罪をしてほしい」と、支援者へ意見した。

前述した「リターン」の中には、ライブのグッズやサイン入りポスターのほか、「セシタマンにあなたのお悩みを退治してもらう権利」や「生ラッキーゴリラをしてもらえる権利」「証拠を見せたら来世の半ばまでの期間、心を込めて『ありがとうございます』と言います」といった、個性豊かなプランも並ぶ。

「セシタマンにあなたのお悩みを退治してもらう権利」は、瀬下が自身のYouTubeチャンネルで展開している「セシタマン」となり、支援者の悩みを解決する動画（3分以内）を撮影し届けるというもの。

リターンプランの中で最も安い500円という価格設定もあってか、1月29日現在、200人以上に購入されている（インタビュー時点では180人ほど）。瀬下は支援者への感謝を述べつつも、「膨大な時間を費やしてリターンを返さなきゃいけない」と苦笑い。

一方で川原も、とっておきの持ちギャグを披露する、「生ラッキーゴリラをしてもらえる権利」を1万円支援のリターンプランとしているが、これには「『出待ち（※）が解禁されたら、生で“ラッキーゴリラ”を見たい』という強い気持ちが、新型コロナの収束につながるはず」と、プランに設定した意図を明かした。

※出待ち…ファンが公演後、会場出入り口で出演者が出てくるのを待つこと。芸人とファンが直接交流できる機会の一つだった

2020年、体を張った仕事が増えた瀬下と、吉本興業との契約体系を「エージェント契約」に変更した川原。変化が多かった1年を振り返ってもらうと、2人のハングリー精神が明らかに。

瀬下はケガや病気に備え保険を見直し、ワンランク上のものに加入したという。「（体を張る仕事が多くても）つらくないし、今、めちゃくちゃ楽しい」と話し、「2021年もこの流れに乗って駆け抜けたい」と意気込んだ。

一方、川原は「3種類の契約書におしっこをかけたら、たまたまエージェント契約のものが一番黄色かっただけの話」という例え話で、エージェント契約に変更した理由をあっけらかんと明かし、「個人として自由にできるようになった分、誰も行ったことのない、道なきところへ行きたい」と語った。