芳根京子「パワーを良い方に使っていける人間でありたい」『ザ・ノンフィクション』の語りで感じたこと
12月13日(日)14時~『ザ・ノンフィクション』
12月13日(日)14時からフジテレビでは『ザ・ノンフィクション 悪ガキと ひとつ屋根の下で ~夢の力を信じた10年の物語~』が放送され、ナレーションを芳根京子が担当する。
東京・足立区の借家。そこでは4人家族と共に、血の繋がらない4人の男たちが共同生活をしている。彼らは、家庭や学校で問題を起こし、この家で生活するようになった。
そんな彼らの“父親代わり”をしているのは“会長”こと古川誠一(52歳)。自らジムを運営し、格闘家を育てるトレーナーとして評判が高い古川会長は、彼らを毎日、自らの格闘技ジムに通わせている。精神を鍛え直し、強い人間に育てているのだ。今、古川会長のジムは、子育てに行き詰まった親たちからの“駆け込み寺”になっている。
曽祖母に暴力をふるい、会長に引き取られた小学4年生のユウセイ。このままでは、暴力で問題を解決するような人間になりかねない。会長はユウセイに愛情と厳しさを持って、鍛え直すことにする。
小学5年生のコジロウは、家族に暴力をふるい警察を呼ばれる騒動に。苦悩する母親を救ったのが古川会長だった。コジロウを自宅で引き取ることにしたのだ。
そんな中、10年前から古川会長の自宅で共同生活を送る、かつての“悪ガキ”中野滉太が格闘技の世界で成長を遂げ、初のタイトルマッチが決定する。「チャンピオンになって会長に恩返ししたい」と語っていた滉太だったが…試合前日、“事件”が起きる。滉太が病院に担ぎ込まれてしまった。
子どもたちの力を信じる古川会長と、ひとつ屋根の下で暮らす“悪ガキ”たち。これは彼らの奮闘と成長を追った10年の記録である。
「ドラマの中のお話のよう」と、古川さんたちの物語に興味を持った芳根だが、「自分にとって赤の他人なのに、その人の世界に自分も一緒にいるような感覚に陥る」と、いつしか自分事に感じていたという。
いわゆる“悪ガキ”だった子どもたちが、いつしかチャンピオンを目指すところまで大きく変わっていく姿に、改めて感じるものがあったという彼女に、その思いなどを収録後に聞いた。
<芳根京子 インタビュー>
――今回のナレーション収録の感想をお願いします。
先に映像をいただいて家で見てきたのですが、すごく面白くて。この東京で、今もこんな風に他人と深くつながりながら生活をしている方たちがいるというのが想像つかないというか、ドラマの中のお話のようで、興味深かったです。
今回、(この番組のナレーションを担当するのが)2回目で(前回のインタビューはこちら)、収録の雰囲気も前回よりはわかっていたので、身構えるという感じもなく、楽しみにして来て、楽しくやらせていただいて、楽しく帰っていきます(笑)。
――前回の反響はありましたか?
高校のときの親友がこの番組を毎週録画して見ていて、お父さんと一緒に、毎回、誰がナレーションをしているか、わざと名前を見ないようにして、当てるゲームをしているらしいんです。その子から連絡があって「今回は速攻で当てたわ」って(笑)。
実は今晩、その子に会う予定があるので、今回は先に「今日は『ザ・ノンフィクション』行ってくる」って、連絡しちゃいました。
――声のお仕事は得意ですか?
もともとは自分の声がコンプレックスで、すごく嫌いで。滑舌も良くないし、よく言われていたのが、一見、頭が良さそうなのに、話すとそうじゃないとか(苦笑)。でも、アフレコや吹き替え、今回のナレーションのような声のお仕事をいただくたびに、それがコンプレックスではなく、個性だ、と思えて自信につながったんです。
普段、お芝居をする中でも、幅広くいろんな役をやらせていただけることで、声の使い方のようなものが自分でもわかってきて。映像で見返して、「私ってこういう声も出せるんだ」と気づくようなこともあって、少しずつコントロールもできるようになっているのかな、とも思います。
――今回の主人公である古川さんは、他人の子どもを引き取って共同生活をする、ということを、もう何年も続けています。芳根さんは他人と一緒に暮らす、ということは想像できますか?
たぶん、わりとできるタイプだと思います(笑)。一人の時間が1日何時間ないと無理、とかもないし、友達が家に来たときも、お互いに別々のことができたりもするし。
10代の頃に、撮影で地方に行ったときには、同世代の女の子3人で一つの部屋に1ヵ月間一緒に泊まって、朝起きるところから、ご飯も、お風呂も一緒、なんてこともありました。だから1週間ぐらいなら楽しめる自信はあります(笑)。ただ何ヵ月、何年と言われると、想像つかないかも。
――芳根さんには子どもたちにとっての古川さんのような、本気で叱ってくれる人はいますか?
私、怒られるのが嫌いなんですよ。なので、怒られるってわかったら、その前に逃げてきた人生なんです(笑)。でも唯一、ちょうどデビューしてから1年くらい経ったときに、それまで一緒にやってきたマネージャーさんから「やる気があるのか、ないのか、ハッキリしろ」って怒られて。それでこの仕事に対して、スイッチが入った、という経験があります。
そう思うと、その出来事があったから、私は今、ここにいられるので、叱られるのは悪いことではないし、叱ってくれる人がいる、というのは、すごく大切なことだと感じます。年齢を重ねるにつれて、叱ってくれる人って少なくなりますし。
だから叱られること自体はマイナスではない、とはわかっていますけど、叱られたらテンションは下がりますし、やっぱり好きではないですね(苦笑)。叱られて気付くのではなく、その前にコミュニケーションを取る中で気付けたらいいな、って思います(笑)。
――いわゆる“悪ガキ”だった子どもたちが、世界チャンピオンを目指すようになる、というのは、すごく夢がありますよね。
本当にそんな人生があるんだな、って思いますよね。今回のナレーションにもありましたが、古川さんの「乱暴な子ほど可能性がある」という考え方は、すごく面白いな、と思いました。
なんでも紙一重というか、その持っているパワーをどこに発揮するかで輝き方が違ってくる。ガキ大将になれるって、良く言えば、周りを引っ張っていく力があるわけで。それをいい方向に使えたら、すごく強くなりますよね。今回、改めてそう思いました。私自身もパワーを悪い方ではなく、良い方に使っていけるように。そんな人間でありたいな、と思いました。
――古川さんは夢の力を信じている、と言っていますが、その考え方はどう感じましたか?
私、夢や目標って言うだけタダだと思っているんです。私自身、15歳でこの世界に入って、16歳でデビューをして、19歳で朝ドラのヒロインをやらせていただいたんですけど、そんな人生は想像していなくて。でも、想像はしていなくても、「朝ドラのヒロインをやりたいです」って、口に出していたら叶ったんです。それは、夢って大きく持っていていいんだ、と思えるきっかけになりました。
もともとは(芸能界ではなく)料理の世界に入りたいと思っていたのに、今、私はこうやってこの世界にいて。人生って何が起こるかわからないって、私自身の人生をかけて証明できる、っていつも思うので。夢は大きく持った者勝ちだと。だからこそ、夢は言葉にすべきだな、と思うし、私は常日頃、こういうお仕事をしたい、こういう方と一緒にやってみたい、というのは口にするようにしています。
――では、芳根さんの来年の目標は?
何より今年は誰もがコロナで大変だったので、まずは健康第一。毎年、健康で楽しくお芝居ができたらいいな、と思っていましたけど、今年はそれをより強く感じる年末を迎えています。
毎年、前年の自分を超える、というのが目標の一つなのですが、今年は世の中の状況も含めて、もっと頑張りたかったな、と思う一年だったので、来年はこの一年の後悔や反省を全部チャラにできるくらい、頑張っていきたいな、と思っています。来年で24歳にもなるので、二十代前半でもうひと踏ん張りできたらと思います。
――最後に、芳根さんが感じた今回の見どころを教えてください。
(番組が古川さんに)10年も密着しているって…すごいことですよね。私でいったら10年前は13歳で、その頃から成長を見守ってもらっているってことで。前回のナレーションのときも感じたのですが、この番組って自分にとって赤の他人なのに、その人の世界に自分も一緒にいるような感覚に陥るんですよね。
今回、番組を通して、今起きている悪いことも、それが全部悪い結果で終わらないんだ、というのをすごく感じました。世の中的にもコロナのせいで気持ちが沈むことも多いけど、いつかその反動ではないですが、いい方向に向かうんだろうな、と。未来への希望のようなものを感じることができました。
収録後、芳根京子がナレーションの一部を披露してくれた。
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