Bunkamuraシアターコクーン×作・唐十郎×演出・金守珍の第3弾となるCOCOON PRODUCTION 2021「泥人魚」の上演が決定。宮沢りえ、磯村勇斗、愛希れいか、風間杜夫らの出演が発表された。
唐十郎と蜷川幸雄を師とした金守珍がシアターコクーン3作目の演出
「泥人魚」は、2003年4月「劇団 唐組」により初演され、第五十五回読売文学賞 戯曲・シナリオ賞、第三十八回紀伊國屋演劇賞(個人賞)、第七回鶴屋南北戯曲賞、および第十一回読売演劇大賞 優秀演出家賞を受賞。「独特の詩情と叙情とユーモア。すぐれた劇詩人で舞台の魔術師、唐十郎の集大成」と井上ひさし氏が絶賛した傑作戯曲だ。
初演以来18年ぶりの上演となる、演劇史に残る傑作の演出を務めるのは、唐、蜷川幸雄の両虎を師とし、アンダーグラウンド演劇に真正面から取り組んできた劇団・新宿梁山泊主宰の金守珍。
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2016年、シアターコクーン芸術監督・蜷川幸雄の遺志を継ぎ、森田剛、宮沢りえ、荒川良々という布陣で上演された追悼公演「ビニールの城」、2019年、窪田正孝、柚希礼音をW主演に迎え、耽美なビジュアルとダイナミックな演出で見事に唐の世界観を描きだした「唐版 風の又三郎」に続き、シアターコクーン3作品目となる演出に挑む。
キャストは宮沢りえをはじめ、曲者ぞろい!磯村勇斗&愛希れいかは唐作品初参加
「下谷万年町物語」、「盲導犬」、「ビニールの城」に続き、本作が4作目の唐作品への出演であり、現代のアングラ演劇界のミューズと呼び声の高い宮沢が、2019年に上演した「死と乙女」以来約2年ぶりに舞台に登場。
共演は、NHK大河ドラマ『青天を衝け』の徳川家茂役でも話題となり、いまや若手実力派俳優の中でめざましい活躍を遂げる磯村、宝塚歌劇団月組トップ娘役として人気を博し退団後は舞台を中心に活躍、本作で初のストレートプレイに挑む愛希が共に、唐作品に初挑戦。
2019年の「唐版 風の又三郎」で唐作品に初参加ながら、金演出に深い感銘を受け、テント芝居へも出演するなど飽くなき探求心の持ち主・風間杜夫が初演の唐が演じた役で出演。さらに、岡田義徳、大鶴美仁音、渡会久美子、広島光、島本和人、八代定治、宮原奨伍、板倉武志、奈良原大泰、キンタカオ、趙博、石井愃一、金守珍、六平直政という、本作に相応しい曲者が結集した。
今回、情報解禁と共に公開されたビジュアルでは、本作のキーワードとなる桜貝を散らせた空間で、メインの4人がなまめかしいポーズをとり、深淵な美しさを表現。 唐作品の幻想的な美しさが表現されたビジュアルからも、作品への期待感が高まる。
<宮沢りえ コメント>
唐十郎さんの世界は、私自身が一番深く呼吸できる場所。唐さんの言葉たちが自分の中を通って、口からポンと生まれる瞬間は理屈抜きの心地よさがあり、掃き溜めの中でも生き生きと生きる術を持っている唐作品のヒロインを、再び演じることが出来ることに大きな喜びを感じています。
前回の「ビニールの城」は、蜷川幸雄さんを突然失った不安の中、演出の金守珍さんはじめ、みんなのパワーが凄かった。今回は、前回とはまた違う状況なので、アクセルを一段と踏み込まないといけないと、ピリッとした感覚があります。
磯村さんは何本か作品を拝見して、役に憑依する人という印象があります。唐さんの台詞を吐くというのは、頭の中のプランを壊していかなければならないので、同志として頼もしく感じる一方で、風間さんは壊すのが得意な方だと思うので安心しています。愛希さんとは初共演ですが、宝塚出身の方が入ることで、多彩な世界がより深みを増すのではと楽しみです。
迷宮のような唐作品の世界を、想像力を駆使して見てほしいですし、豊かな時間のためには、私たち全員がこの戯曲を心から溺愛して作り上げていくことが大事だと思っています。
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<磯村勇斗 コメント>
出演が決まった時には、すごいところに足を踏み入れるなと思いました。唐十郎さんの作品で、演出は唐さんを知り尽くしている金守珍さん。この未知の世界に飛び込むのはうれしさと同時に怖さもありますが、今の自分の力をどこまで出しきれるのか、俳優としてステップアップをするためにも挑まなければならない大事な作品だと思っています。
物語は難解ですが、唐さん独特の世界観はすごく感覚的なもの。その中に諫早湾のギロチン堤防が織り込まれており、それら社会的問題をストレートに伝えるのではなく、唐さんのユーモアと比喩表現で裏側の背景もしっかりと描かれておられるので、その意図を汲み取りながら演じなければ、「泥人魚」の世界を生きられないと感じています。
宮沢りえさん、愛希れいかさん、風間杜夫さんとがっつり舞台で共演するのは初めてなのでとても楽しみです。先輩方の背中を見ながらいろいろと吸収して、作品と向き合っていきたいと思います。
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<愛希れいか コメント>
ストレートプレイには以前からとても興味がありました。唐十郎さんの「唐版 風の又三郎」を拝見した時には、理解しきれないけれど、興味深くて、この世界観を体験したいと思いました。今回、不安と緊張が大きいですが、とにかく学びたい知りたいという気持ちが強くあります。
唐さんの戯曲は、複雑な思いが盛り込まれていて全てが未知のもの。金守珍さんの演出も初めてなので全てを委ねて、新しい自分に出会いたいです。そして、宮沢りえさん、磯村勇斗さん、風間杜夫さんなど共演者の皆さんは素晴らしい役者さんばかりなので、とにかく学ばせていただこうと思っています。
この 1 年半、舞台は生でお客様が入って下さってこそ完成すると実感させられました。生で観る舞台にエネルギーをもらえると思っていただけるように、精一杯努めて参ります。
<愛希れいかが出演したミュージカル「The Illusionist-イリュージョニスト-」レポート>
<風間杜夫 コメント>
「唐版 風の又三郎」で唐さんの世界を体現して面白さを知り、金守珍さんの圧倒的な演出力に魅入られて、志願して新宿梁山泊のテント芝居「ベンガルの虎」に出演しました。なので、また金さんの演出で唐作品に出られることは率直にうれしいですね。
今回は詩人の伊東静雄の詩がモチーフで、諫早の干拓問題などを含んでいますが、唐作品は理論じゃなくて詩ですから。金さんが入れ込んでいて、「ベンガルの虎」の稽古中に、オープニングのプランを実演してくれました。アイデアをたくさん持っている人なので、今度も期待しています。
(宮沢)りえちゃんと久しぶりの共演だし、「唐版 風の又三郎」で一緒だった六平直政さんや石井愃一さんたちも出るので心強く、一緒にテントに出た人たちもいて、楽しみが多い舞台です。
面白くなること、必須ですから。コロナ禍で大変な年の締めくくりとして、これを見て希望をもってもらえたらと思います。
<風間杜夫「第46回菊田一夫演劇賞」大賞を受賞>
<ストーリー>
港の町を去って、今は都会の片隅にあるブリキ店で暮らす蛍一(磯村勇斗)。店主の静雄(風間杜夫)は、まだらボケの詩人だ。陽が落ちると急にダンディな夜の詩人と化す。
ある時店に現れたのは、詩人を「先生」と呼ぶ男、しらない二郎(岡田義徳)。二郎は詩人静雄の元門下生であり、蛍一とは、長崎の諫早漁港で共に働いた仲だった。
干拓事業の賛否に揺れる漁港では、湾を分断する「ギロチン堤防」が内側の調整池の水を腐らせ不漁が続き、池の埋め立てに反対だった仲間の漁師が、次々と土建屋に鞍替えしていく。そんな現実に絶望した蛍一は、港の町を去ったのだ。
一方の二郎は、実は港に派遣された「さぐり屋」だった。依頼主は、月の裏側を熟知しているとのたまう女、月影小夜子(愛希れいか)。二郎の裏切りを蛍一がなじっていると、蛍一を探して、やすみ(宮沢りえ)という女が現れる。少女時代、ガンさんという漁師に海で助けられ、その養女となった娘だ。「ヒトか魚か分からぬコ」と呼ばれるやすみは、ある約束を果たしに来たと言う。
「人の海の貯水池で、言ったとおりの人魚になれ」と。
蛍一の前で見せた片方の足には、一条のきらめくものがはりついていて──。
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