心にトキメキと潤いを与えてくれるイケメンを紹介する「眼福♡男子」Vol.69は佐々木喜英(ささき・よしひで)が登場。
佐々木は、端正なビジュアルと確かな演技力、歌唱力を武器に、ミュージカル「テニスの王子様」の白石蔵ノ介役や、舞台『刀剣乱舞』の宗三左文字役、舞台「鬼滅の刃」の鬼舞辻?無惨役など、作品ごとにまったく違った顔をみせているほか、同時に、アーティストとしても多くの活動を行ってきた。
そんな彼が、アーティスト活動10周年を記念したアルバムを2レーベルから同時リリース。
マーベラス盤「DIMENSION」では2.5次元舞台挿入歌&キャラソンカバー+新曲、Hide Records盤「EMOTION」ではJ-POP&ボカロ曲カバー+新曲という、アニバーサルイヤーを飾るにふさわしい豪華な内容。アルバムの聴きどころや制作秘話を聞いたほか、この“10年”への思いを尋ねた。
引き出しが増えたことで、歌を届けたいという思いがより強くなった
――まずは、今回のアルバムをリリースすることになった経緯を聞かせてください。
僕は2017年に出演していた舞台の本番中にケガをしてしまい、手術をして2年間のリハビリ生活を送っていたのですが、歩けないことで、音楽にふれる時間がとても増えたんです。小学生のころに習っていたピアノをもう一度きちんとやってみようと練習を再開し、そして、YouTubeに弾き語り動画をアップするようになりました。
動けない分、自分の声とも向き合う時間が増えて、それまで歌わなかったような曲を歌う中、これまでリリースしてきたオリジナルアルバムとは違うテイストの曲を歌ってみたい、それにはカバーアルバムを出すことがいいのではないかと考えるようになりました。
そして、10周年のタイミングでマーベラスさんから声をかけていただいて、「DIMENSION」のリリースに至ったというわけです。
――それぞれの収録曲はどのようにセレクトしたのでしょうか?
リハビリ期間に好きな曲を歌って、YouTubeにアップしていたのですが、同時にファンの皆さんへ「僕に歌ってほしい曲はありますか?」とアンケートをとってみたんです。そこであがった曲、そして、僕自身が歌ってみたかった曲を収録したのが「Hide Records盤」です。
そんな中、マーベラスさんから「これまで出演した舞台の劇中歌を歌ってみては?」と提案があり、「ぜひ、歌いたいです!」と。それで、マーベラス盤も同時リリースすることになりました。
――それは、作品のファンの皆さんにとってもうれしい出来事ですね。
10年間、アーティスト活動と同時に俳優活動も行ってきて、歌にも演技にも同じぐらいの時間をかけて表現してきたので、舞台の思い出の曲を形にできることがうれしいです。
――そして、マーベラス盤には佐々木さんが作詞を手がけた「灯」が収録されますね。
作詞自体は2度目で、コロナ禍の現状で抱えたもの、リハビリ生活を送っていた中で感じたことを歌詞にしたためました。
――詞を書くうえで、苦労したことなどはありませんでしたか?
初めての作詞は、アーティストデビュー前にリリースした「MEN’S DVD」の収録曲だったのですが、その時はこれから何かが始まることを予感させるような、希望に満ちあふれた曲でした。
今回、アーティストとして詞を手がけたことで感じたのは、穏やかな日常を書くより、壁を乗り越えた後や、昨今のコロナのような苦難と向き合ったときのほうが、いろいろなフレーズが浮かんでくるんだなと。1曲とはいわず、もうちょっと書きたかったというのが本音です。
――現在の佐々木さんにはどのような“灯”がともっていますか?
ケガをして以降、僕の得意とするパフォーマンスのジャンルが明らかに変わった気がするんです。以前はとにかく動き回って、ライブをやるにしても「どういうライブにしたい?どういう楽曲にしたい?」と聞かれたとき、「とにかく踊れる曲をつくってほしい」とお願いしていました。
今ももちろん踊りたいという思いはありますが、ピアノもそうですし、自分の引き出しが増えたことで「より、歌を届けたい」という思いが強くなっています。
10年間の活動は宝石箱のように見えるけど、経験を重ねたことで複雑な色に
――「DIMENSION」に収録されている「ORANGE SKY~10th Anniversary ver.~」は10年前にリリースした楽曲で、今回改めてレコーディングしたんですよね?
この曲を聴くと僕は、学生時代に同じ夢を目指して歩いていた友達のことを「今、どうしているかな」と思い出すんです。さらに、療養期間、会うことはできなかったけれど、同じ空を見ながら時間を共有しているファンの皆さんにも重なる部分があった。
もともと大事にしていた曲ではありましたが、ライブの最後に歌うなどして10年間、皆で育てた曲になったので、今だからこそ歌える「ORANGE SKY」を届けたいと、改めてレコーディングすることにしました。
――10年前と今とでは、歌っている最中に感じることの変化もあったのではないですか?
自分のことながら、いろんな歌い方ができるようになったなと感じました。歌っている側からすると、以前の音源を聴くのって恥ずかしいものがあるじゃないですか(笑)。でも、今回はその変化を聴き比べてほしいという思いもありますし、成長を感じとっていただきたいです。
――ひと足先に“聴き比べ”をしましたが、やはり10年前は声が若いですね。
10年前のライブでこの曲を披露するとき、スタッフさんからどんなふうに表現したいかを聞かれ、「いつかピアノで弾き語りをしてみたいです」と伝えたところ、「やめておけ」と言われたんですね。
それはもちろん、僕のスキル不足というか、弾き語りで1曲披露するところまで実力が達していないことが大きかったと思うのですが、ここ最近のライブで「ORANGE SKY」の弾き語りに挑戦したときには「やっと披露できるようになったのか」と感慨深いものがありました。
――振り返ってみて、どのような10年でしたか?
いろんな色に彩られた10年でした。楽しい時間=明るい色のときもあれば、ケガをして活動できなかった2年間=暗い色のときもあった。今回のアルバムは色もテーマにしているので、これからファンの皆さんと一緒に新たな色を塗っていけたらと思います。
――10年間を1色で表すならば何色ですか?
いろんな色があり過ぎてなんと表現したらいいのか(苦笑)。色って混ぜ合わせることでどんどん複雑な暗い色になっていくじゃないですか。蓋を開けてみたらいろんな色が宝石箱のように現れるけど、それを混ぜ合わせて最終的には黒になるんじゃないかな。
――今年の初めに舞台「『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵-大坂冬の陣-」を観たせいか、佐々木さんといえばピンクの印象が強いです(笑)。
ピンクですか!?普段は黒い服ばかり着ているので、自分自身では黒のイメージなのですが、役柄で振り返ると紫色や赤色の瞳の役が多かった気がします。
――2年間の療養期間でご自身にも変化はありましたか?
今、2017年のケガをもう一度経験するか、それとも、ケガをしないまま、これまで通りに過ごすか――どちらか選べると言われたら、僕はケガをして苦難を乗り越えるほうを選択します。もちろん、大変なこともたくさんありましたが、この2年間で多くのものを得ることができたのは、僕にとって貴重な体験でした。
好きな作品を「舞台化しないかな」とワクワクしながら見ています
――最近の“おうち時間”をどのように過ごしていますか?
コロナ前は俳優仲間と食事に出かけたりしていましたが、コロナ以降は自炊をするようになったので、家での時間がメインになりましたね。リモートで打ち合わせをしたり、自宅でレコーディングをして、その音源をスタッフさんへ送ったりしています。
――佐々木さんの眼福な存在について聞かせてください。
アニメ・漫画・ゲームでしょうか。二次元の世界はとても美しいので、ああなりたいなぁ、こんな役を演じてみたいな、舞台化しないかなという目線で、ワクワクしながら見ています。
――もし、舞台化されるとしたら、立候補したい作品はありますか?
「呪術廻戦」や『ツイステッドワンダーランド』など、話題の作品はとても気になりますね。特に「ツイステのヴィル様をやってほしいです」という手紙を多くいただいて、実際に作品のキャラクターを見てみたら、なるほど僕にピッタリだなと思いました(笑)。
――現在、佐々木さんの原動力になっているものは何でしょうか?
Twitterデビュー後にいただくようになったファンの皆さんからのリプライ、そして、ファンレターを読むことが楽しみの一つになっています。「え!ここまで細かく見てくれているんだ」と驚いたり、お気に入りのシーンを何度も見てくださったことが書いてあったり、皆さんの声をいただけることがとてもうれしいです。
――ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
最新アルバムは僕の10年間をそのまま詰め込んだ1枚です。楽しかったことや大変だったことも含め、ありのままの10年間を皆さんに感じとっていただければと思いますので、何度も聴いていただけたらうれしいです。
最新情報は、佐々木喜英10周年記念特設サイトで。
撮影:河井彩美
ヘアメイク:古橋香奈子
スタイリスト:SACHICO.
衣装協力:チャイナシャツ/FREAK’S STORE、Tシャツ・パンツ共に/JOINT WORKS、シューズ/DANNER
問い合わせ先:JOINT WORKS (03-5363-7572)、DANNER( 03-3476-5661)、FREAK’S STORE 渋谷 (03-6415-7728)